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ちいさな木の工房だより
2002年3月号
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今月のアイテム
木の工房KAKUのアイテムよりpick upしてご紹介させていただきます。

[dining table]ダイニングテーブル


大きな木の板がある。
何十年、何百年と自然の中で生きてきた命。

その樹を伐って
善いものなのか、悪いものなのか
ちいさな私は答えをだせずにいる。


ただ、伐られた命に敬意を払い
思いを馳せて
今日もつくり続けています


<トチの一枚板ダイニングテーブル


<じぶんちショールームのテーブル>


<桧ダイニングテーブル>

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●今月の木
木の工房KAKUで木工材として使う木を独断と偏見的解釈でご紹介いたします。(間違ってたらごめんなさい)

[ブナ/山毛欅:ブナ科:広葉樹/散孔材]
ケヤキ板目写真
<板目>
ケヤキ写真
<柾目>

ブナって漢字、木へんに無って書くのだけど、パソコンだと変換されない。いつも普通(木に関わる人として)に目にするけれど、この字ってどういうこと?
このブナの木の林は、一昔前には当たり前にあったらしいのだけど、戦後に杉や桧を植林するための拡大造林のために、かなりの量が伐られたみたいです。建築材のそれらと違い、乾燥による変形の激しいブナ等の広葉樹は、材料資源として価値を低く見られ、「ブナ退治」の名のもと、無惨に伐られていったそうです。今では、広葉樹の天然林は、保水等、環境に対する重要性が認知され、戦後の拡大造林が間違った方法であったことも理解され、山を手入れしていこうという方向になってきています。
日本の木の問題はそこに輸入材の存在も絡んできて奥が深く、僕程度の知識でろくろくお話できるものではないのですが、何気なく見ている山、林、森なんだけど、実は重い病気にかかっていて、その病気は僕達の日常と全く無関係じゃないってこと、今の僕達だけじゃなくて、子供達、孫達の未来にも深く関わっているそのことだけでも伝わってほしい。少しでも、その問題に興味を持っていただければ、わかりやすい本もでているので、ぜひ、一読いただきたいと思います。

ブナの話に戻りますが、僕が工房をやりはじめた時に、材料を探していて、たまたま通りかかった製材所で、中途半端な大きさで埃をかぶって積まれていたブナをみつけた。話を聞くと、だいぶ前に注文があって挽いたのだけど、キャンセルになってそのままになっているそうだ、幅は250〜400mmとバラバラで、長さも500mm程度で、あんまり用途がなく放っとかれていたのだが、丸太から挽いていて、材が揃っているのと、耳がついている部分が多かったので、手ごろな値段だったらと思い聞いてみたら、予想以上に手ごろな値段だった。ラッキーと思い、そこにある分まとめて買うことにした。もともとブナは腐りやすく、そこでの保存状態もあまりよくなかったので、一部腐りが入っていたけど、値段を思えば損するほどでもなかった。この木を使い、工房初の椅子を数脚つくった。その椅子は、結局買い手がつかず、今でも手元にあるが、ダイニングセットのご注文をいただいた時にその中の一脚と同じデザインの椅子を6脚、その木を使ってつくり、もうこの材はほとんど手元に残っていない。そんなこんなで、ブナにはちょい思い入れがある。

僕とこの工房から見える、和泉葛城山には、天然記念物に指定されたブナ林があるそうです。どんなとこだか見たことはありませんが、いま、これを書きながら、一度いってみようと思っています。

■木の工房KAKU■
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