2段式水ロケットを作ろう!

筑波水ロケット研究会編

1.はじめに

 水ロケットは、水を吹き出すいきおいで飛んでいくロケットです。ペットボトル1つだけで飛ばす1段式の水ロケットは、簡単に作れてよく飛びますが、ここでは、もうちょっと難しい2段式の水ロケットに挑戦してみましょう。一段式よりも用意する材料が増えますが、近所のホームセンターでそろえられるものばかりです。

2.水ロケットの作り方

 モデルロケットや本物のロケットでは、燃料を燃やして発生したガスを噴き出して飛んで行きますが、水ロケットは、空気をぎゅうぎゅうにつめて、この力で水を噴き出して飛んでいきます。

 あっというまに飛んで行きますが、何回も使えて、お金もかかりません。

2.1 用意するもの

 多段式の水ロケットの、材料は、こんなものです。頑張って用意しよう。

2.1.1 ロケットの機体部分の材料たち

ロケットの機体部分は、ペットボトルを使います。安定した飛行を目指すなら尾翼の材料も必要でしょう。

@炭酸飲料の入っていたペットボトル(1。5g、1gどっちでもいいです。)

 最低2個は、用意しましょう。(○×サイダーとか○×レモンとかがグッド)

 実は、これを用意するのが一番大変です。頑張って飲みましょう。また、炭酸ペットボトルには2通りありますが、注ぎ口の白い、下部に樹脂が巻き付けてあるタイプのペットボトルの方が成功率が高くなります。

A清涼飲料水用のペットボトル最低1個(烏龍茶とか紅茶とかがグッド)

Bプラスチック製段ボール(普通の紙の段ボールでもいいけど、水で濡れるからすぐ使えなくなるよ)図−1

2.1.2 2段式分離機構部分の材料たち

分離機構部分には、こんなのが必要だ。自転車のチューブは、近所の自転車屋さんで分けてもらおう。穴のあいた捨てられる運命のチューブでいいんだぞ。

@耐寒ゴムホース(太さ18mm)、Aホースバンド(太さ18mm用)、Bワッシャ(M8用、2個)、C自転車のチューブ(2本、金属のパイプ部分のみ使う)、D虫ゴムセット、Eスペシャルバルブセット.Fチューブ固定用ナット、Gゴム製スポンジシート(厚さ5mm)、Hステンレスワイヤー(太さ0.4mm)、Iゴムシート(厚さ1mm)

2.1.3 用意する工具たち

 工具も必要だ。リーマーがなけりゃ頑張ってカッターで穴をあけよう。

@きり、Aリーマー(きりで開けた穴を広げるために使うもの)、Bガムテープ、Cはさみ、Dカッター、Eペンチ、Fゴム用ボンド、G大きめのねじ回し、H事務用書類綴じ用の2穴パンチ、Iニッパー

2.2 切り離し機構と発射機構部分の作り方

2.2.1 用意するもの

  長さ20cm程度のゴムホース、自転車のバルブ、虫ゴムバルブ、厚さ1ミリのゴムシート、太さ0.35から0.45ミリのステンレス製針金

2.2.2 使うゴムホース

 ゴムホースには、そそぎ口の白いタイプのペットボトルにぴったりなので、ダンロップ社製直径φ18mmの外側が青で内側が白のものを使います。このホースは、内圧に7[kgf/cm2](大気圧の7倍)かかると、膨れてしまい、元に戻らなくなり、その後数回の使用中に破裂するので注意が必要です。ホースは、ジョイフル本田で1m120円のものを使用。長さは約15cmで十分です。

2.2.3 使う針金

 針金には、ステンレス製の針金を用います。鋼の針金は、工作中にすぐ切れてしまい、完成までにやり直しを数多く必要としますので、使わない方が良いでしょう。

2.2.4 組み立て方法

 発射機構には、ゴムホースの中に虫ゴムを使用した自転車用チューブの金属部分のバルブを組み込みます。

 製作は、以下の手順で行います。

1.自転車のチューブから金属部分を取り出します。ゴム部分を残さずにはさみできれいに切り取るのが良いでしょう。

2.虫ゴムタイプのバルブを組み込みます。袋ナットはきっちり締め付けましょう。また、虫ゴムも奥までしっかり挿入しましょう。ピン側をちょっと濡らしてから入れると比較的すんなり装着することが出来ます。虫ゴムが打上げ作業中に飛んでしまう事故がよく起こりますから注意してください。虫ゴムが外れると殆ど作りなおしになり、手戻り作業が多くなります。

3.ロール状のゴムシートを幅が虫ゴムを組み込んだバルブのネジ部分に合うように合わせて切ります。

4.幅に合わせて切ったゴムシートを虫ゴムを組み込んだバルブのねじ部分に巻き、ゴムホースの内側にぴったり合うような長さに切ります。このとき、差し込んだ状態でゴムホースを外から眺めたり撫でたりして、膨れていたり隙間があったりしないようにします。長さを合わせて切る時に、そぐような気持ちで切ると段差が少なくなるので、後で漏れが少なくなります。はさみをゴムシートと平行になるぐらいまで寝かして使用するとよいでしょう。

5.長さを合わせて切ったゴムシートにゴム系の接着剤をつけて5分程度乾燥させましょう。(ボンドの使い方の通りですけど。換気に注意!)

6.バルブにゴムシートを巻いて、ゴムホースに差し込みます。挿入方向は、バルブの袋ネジ部が、ホースの内側に入るように入れます。外側には、黒いゴム部分が出ることになります。巻いた方向に廻しながら差し込んでいくと上手に差し込む事ができます。

7.ゴムホースに差し込んだバルブをステンレスの針金を使って固定します。まず、針金を50cm位取り、2つに折って、2重に巻き付けます。手で2回位ねじって、巻き付けた針金を揃えましょう。次ぎにラジオペンチを使ってねじりましょう。針金をペンチで強く握り締め、引張って針金を伸ばしながら、ねじりましょう。力を入れて引っ張らないとねじった部分がきれいにねじれないのでねじれが大きくなって、団子状態になると、発射時や1段と2段の切り離しの時に引っかかり、発射失敗や切り離し失敗の原因になるので注意が必要です。

8.ホースに針金が食い込むくらいねじり、ねじりを1から2ミリ残して切ります。切る場合にねじりをいったん、バルブの方向に倒してから切ります。こうする事によって引っ掛かりを少なくすることが可能です。残ったねじりは、バルブ側に曲げて押さえつけておきましょう。針金は2箇所ぐらいねじるといいでしょう。使用するステンレス針金は、細目のものがいいでしょう。

9.この部分は壊れ易いので、予備を数個用意すると良いでしょう。交換は、比較的楽ですよ!図−2

2.3 分離部の作り方

 2段化する場合の分離部を作って行こう。

2.3.1 用意するもの

 自転車のバルブ、バルブのネジ、スペシャルバルブ、φ8mmのワッシャー(M8って書いてあるものだが、大きすぎるとペットボトルに入らない)

 厚さ1ミリのゴムシート、厚さ5ミリのゴムスポンジ、ペットボトル

 長さ20cm程度の発射機構組み込み済みのゴムホース(作製済み)

 10[kgf/cm2]耐圧のホースバンド(高圧タイプという表示のあるもの、手でねじるタイプは止めたほうがいい)

2.3.2 組み立て方法

1.ゴムスポンジに2穴ファイルに閉じるときに使う穴開器(大きめの穴開機でないと隙間に入りませんが)で一つ穴を開けその周囲1cm位に切ったパッキンを作ります。(すきまに入らなかった場合には、キリで小さな穴をあけておいて、伸ばしながら無理矢理はめ込むという方法も有ります。ただし、漏れやすくなるので飛びが若干悪くなります。)

2.ペットボトルの底のドーム部にパイプにぴったりの穴を開けます。キリで穴を開けてから、リーマーで広げます、その後バリをカッターやはさみで丁寧に取り去ります。(バリは、空気漏れのもとです。)

3.バルブにワッシャーを通し、さらにスポンジパッキンを入れます。

4.ワッシャーとパッキンのついたバルブをペットボトル入れ、さきほど開けた穴に通します。この時、直径3ミリ程度の長い棒が道具としてあると便利です。棒にパイプを被せて入れるのです。

5.ボトルから飛び出たバルブにスポンジパッキンを追加します。さらにワッシャーを入れた後に、パイプ用のナットを使って締め上げます。ナットが回らなくなるくらいまで固く締め付けます。ただし、あまり強くまわすとパイプが、変形したり、割れたりしますので、程々に。

6.スペシャルバルブを通常とは逆方向の丸まっている方を外に向けて挿入し、袋ナットを締めていきます。袋ナットは、締め付けるのではなく、パイプの上部に付いている切り込みを1mm程度残す位ゆるく締めるのがこつです。スペシャルバルブは、振るとかたかた音を鳴らすぐらいにゆるく取り付けられます。

7.工作した金属パイプのスペシャルバルブを取り付けた袋ナットとナットの間のネジ部に幅に合わせて切ったゴムシートを巻いていきます。

8.ゴムシートの量は、ホースにぴったりとはまるまで、巻いてかまいません。

9.ホースバンドをつかって、発射機構を組み込んだホースとペットボトル部分に組み込んだバルブ部分を組み立てます。ねじ回しできりきりに締め上げます。図−3

図−4

2.3.3 機体の組み立て方法

1.清涼飲料水のペットボトルをつかって、1段と2段をつなぐ中間部分を作ります。

2.カッターやはさみを使ってペットボトル下部の円筒部分を切り出します。

3.1段と2段を組み立てて長さを見ます。この間にきっちりはまるような長さに中間部分の長さを調節します。(切ることしかできないよ.....短くなりすぎたらやり直しだね!)

4.段間部をガムテープやビニールテープを使って固定します。

5.安定するようにプラスチック製段ボールを用いて尾翼を作ります。形は、全体的にロケットのよう見えるように作れば何でもいいです。大きすぎると重くて飛びが悪くなります。

6.好きな形に、2〜4枚段ボールを切り出します。

7.尾翼と取り付ける位置を考えます。1段2段両方に付けてもいいですし、また、まったく付けなくてもかえってよく飛ぶかもしれません。うそ。

8.作った尾翼をガムテープで固定します。固定は、羽がふらふらしないようにガムテープをピンと張って、張り付けます。
図−5

9.出来上がり。
図−6

10.発射場に急ごう。急ぐ前に、作ったロケットを組み合わせた状態で紙飛行機を飛ばす様に投げてみよう。まっすぐ飛んでいくなら、きっと打上げてもきれいに上がるでしょう。でも、そうじゃなかったら?、コミック部門に出場だ!2段だけでも、同じように試してみよう。

2.4 多段式水ロケットへの拡張

 今作った、1段ロケットを2つ重ねて作れば、3段式ロケットになります。

 段々重くなるので、あまり飛ばないかもしれませんが、飛びかたは、より本物のロケットぽくなって、おもしろいです。出来る人は、チャレンジしてみるのもいいとおもいます。

2.5 より高く飛ばす水ロケット

 より高く飛ばすために、ペットボトルを2本以上継なげて作る水ロケットもあります。これは、ペットボトルに入れられる空気の量が2倍3倍と増えるので、その分、噴き出す水の勢いを高めることができるものです。

 この作り方は、自転車のパイプを分離機構の時とまったく同じようにつけますが、ペットボトルのふたに穴を開けて、ワッシャーと共締めします。

 ペットボトル上部に付いた、ふたにもう一つ、ペットボトルを付ければ出来上がります。

 

3. うまく飛ばない水ロケットの直しかた

 注意して作ったつもりでも、意外とうまく飛ばないものです。飛ばなかった場合の原因と直し方を伝授しましょう。これで、本物のH−Uロケットも難しいんだ!とか思ってくれれば、ラッキイものです。本物でも「リークチェック」という漏洩点検を、十分にやって漏れが無いことを見てから打上げています。漏れがあると大変な苦労をして、パッキンやシールといったものを交換します。

3.1 1段2段がうまく組み付かない

 作ってすぐに組み付けようとしても、組み立てられない事が多いです。水ロケットなので、水が付くとスルッと入る場合がありますので、一旦ホースを濡らして見てください。入ったでしょう?

 それでも入らない場合は、まず、分離機構の先端部の太さを調べます。ゴムシートの巻きすぎで、太くなってしまっていると思います。もったいないですが、ステンレス・ワイヤーを切って、中身を出してやり直しましょう。

 また、ステンレス・ワイヤーが太かったりすると、ワイヤーの部分で引っ掛かっている事もあります。この場合は、ワイヤーを再度巻きなおしましょう。

 ワイヤーのねじりが引っ掛かっていることもあります。きれいによじれていないで、団子状によじってしまった場合には、あきらめて巻きなおしましょう。

3.2 1段に空気を入れている途中で2段が抜けてしまう(飛んでいく)

 少し怖いですね。次の4つの原因に分けられます。

1)そもそもホースがゆるい

 ペットボトルの口が透明なものを使用してしまった場合によく起こります。

 CCレモンとか口の白いパンツ付きのペットボトルを使ってみてください。こちらの方が、口が狭いので漏れが少なくきっちりとまります。

2)ホースの先端から空気漏れ

 1段機体の注ぎ口にかぶりついて、息を入れてみてください。ワイヤーを巻いたあたりから息が漏れて来ませんか?口で吹いたくらいで漏れがあるようですと、全然だめです。ワイヤー巻きをやり直しましょう。

3)1段機体接合部から空気漏れ

 1段機体の注ぎ口にかぶりついて、息を入れてみてください。ホースバンドを巻いたあたりから息が漏れて来ませんか?口で吹いたくらいで漏れがあるようですと、全然だめです。締めなおしましょう。

4)分離部先端に仕込んだ虫ゴムが外れた、又は、入っていない。

 1段機体の注ぎ口にかぶりついて、息を入れてみてください。金属パイプの出口の黒いゴムのあたりから息が漏れて来ませんか?口で吹いたくらいで漏れがあるようですと、全然だめです。これは、分離部分の作りなおしになります。

3.3 2段がうまく切り離しないー落ちて来て分離するー

1段上部に入れたスペジャルバルブ部のガタが少ないようです。ホースバンドを緩めて、切り離し部を分解して、切り込みが1o残っているかどうか確認します。また、スペシャルバルブがかたかたと音を立てて動くかどうか振ってみます。

 袋ナットにスペジャルバルブとの組み合わせが悪いと動きが渋い場合があります。渋い場合には、袋ナットも交換してみましょう。

3.4 2段がうまく切り離しないー1段に水が残っているのに分離するー

 2通りの原因が考えられます。

1)分離部のホースと2段機体の口がゆるい。

 ペットボトルの口が透明なものを使用してしまった場合によく起こります。

 CCレモンとか口の白いパンツ付きのペットボトルを使ってみてください。こちらの方が、口が狭いので漏れが少なくきっちりとまります。

2)分離部のスペジャルバルブがゆるい又は入っていない。

 1段上部に入れたスペジャルバルブ部のからの空気の漏れ量が多い場合にも起こります。まず、切り離し部分のホースバンドを緩めて、切り離し部を分解して、スペシャルバルブが入っているかどうか確認します、また、袋ナットの締め込み部分の切り込みが1o残っているかどうか確認します。また、スペシャルバルブがかたかたと音を立てて動くかどうか振ってみます。

3.5 飛び立たない

 2通りの原因が考えられます。

1)あちこちの空気漏れが多くて空気が入らない。

 空気は、入っているようでしたか?漏れが多い場合には、空気が充填されないので打ち上がりません。

2)打上げ設備の調子が悪い

 これは、しょうがないですね。文句を言って直してもらいましょう。

以上

筑波水ロケット研究会 技術資料