日本で使用している乗用車の海外での使用について

日本で使用している乗用車の海外での使用について


 ヨーロッパを歩いていると、実に様々な国の車が走っていることに気がつきます。これらは、EUだけにがぎった制度ではなく、アメリカや日本からの利用も可能です。
 日本から持ち込みの場合の手続きについて簡単に紹介したいと思います。基本的には、持ち込む車の陸運事務所で、「登録証書」を発行してもらい、「海外仕様ナンバープレート」に付け替えれば、持ち込みが可能です。さらに、持ち込み期間が1年以内の短期の滞在者には、持ち込んだ国での関税を免除する制度があります。一般的にヨーロッパでの輸入車に対する関税は、高いのでこの制度を使うことになります。この制度の利用には、国際的に決められた書類が必要で、日本では「JAFカルネ」(Carnet de passages en douane)と呼んでいます。(表紙中身)この書類作成および手続きは、日本自動車連盟「JAF」が行っています。

手続きについて

 車の輸送会社に連絡を取り、ヨーロッパへ行く船があるかどうか確認を取ります。日本通運などでは、自動車専用輸送船を持っていないのでコンテナを使い車を輸送するので、容量が増加し輸送費が約60万円と高額になります。(船便の場合、輸送料は容量で決定します。)日本郵船の場合には、全体で約17万円が発生しました。参考までに内訳は、運賃103,427円、取扱い料15,000円、通関手数料5,900円、船積み料20,000円、保税輸送料20,700円、消費税450円です。
 パスポートと印鑑と車検証を持って陸運事務所へ行き、登録証書を発行してもらいます。登録証書は、無料で、すぐその場で発行してもらえます。
 JAF各地方本部のカルネ担当に連絡を取り、必要な手続きを行う。(JAFに頼むので、JAFの会員であることはもちろんのこと、JAFの会費の有効期限内に当該車両が現地へ到着する必要があるようです。)費用は、発給手数料が2万円、国際ナンバープレートが6,700円発生します。カルネはその発給枚数によって発給手数料が異なりますが、筆者は10枚発行してもらいましたがEU連盟とスイスではカルネを見せるだけで税関を通過出来る(筆者は、最初の陸揚げ地で1枚しか使用しなかった。)ので最低枚数の5枚で十分だと思われます。また、保証人が一人必要で本人と保証人の戸籍抄本が必要になります。この保証は万が一車を持ち込んだ人がその車を売却してしまった場合に輸入先の国から関税の請求がJAFにあった場合の保証です。この他に、カルネ保険をかけてその損害をJAFに対して保証することもできます。筆者の場合には、車の価格が新車時340万円現在の価格204万円(最低が新車時価格の6割と決まっている)に対して関税保険金額648,720円で保険料は19,460円でした。これらの手続きは、10日間程かかるので、輸送会社に車を引き渡す日に注意する必要があります。この他に、旅行中のJAFの事務手続きの保証金として3万円JAFに預けることになります。
 ヨーロッパでは、車の輸送会社が作成してくれた書類を指定の業者に持っていくと車をくれます。車は物理的にはすぐに走り出せますが、日本の自動車保険はヨーロッパでは効力がありませんから、事故などのことを考えるとヨーロッパの自動車保険に入らなければならないので注意が必要です。保険は、現地の自動車と同じように加入します。(5年以内の車には、盗難警報機をつける必要があるとか制約事項があるようです。)なお、現地の自動車保険や車検などは、日本の車なので関係ないことになります。(フランスの自動車税は、結構高額です。)

お薦めする持ち込む車

 何といっても、ヨーロッパに持ち込むのですからヨーロッパ車です。メインテナンスなどの問題は、まずありません。特に右ハンドルの車だったりすると、非常にめずらしがられますが、問題はないようです。筆者の場合、ベンツを持ち込みフランス・ドイツ・イギリスで点検や修理を行いましたが、部品代が日本の約1/3と大変安価でしたし、サービス内容も申し分ありませんでした。

持ち込みのメリット・デメリット

 メリットは、何といっても自分の車なので、良く解っているということです。ヨーロッパでの車の調達にお金がいらない。また、滞在期間中の思い出を日本に持ってかえられる。(持ってかえらねばならないのが本当ですが)帰国時の船の心配をしなければなりません。帰国した海外短期滞在者の話を聞くと、滞在中にいろいろなところへ行った車は意外と可愛く思えて、現地で手放すのは、心苦しいとの感想を聞くことがあります。自分の車なので、日本での心配はいらないし、思い出も持ち帰ることが可能です。
 デメリットは、ヨーロッパで車を調達し、帰国時に売却して帰る、または、リース車を使用する場合に比べて、多少高価になります。また、自分の車は、日本に持ってかえって再度使用するので1年ならということで維持整備をまったくしないわけにはいかないということです。(こういう人が多いので、逆に中古を現地の日本人から買う場合には注意が必要です。)リース車は、新品なのでこのような心配はありません。ほとんど、維持費もかからないでしょう。(年間2から3万キロも走行するのにオイル交換さえしない人が多いようです。)

持ち帰り  フランスから日本へ

 持ち込んだ車は、1年以内に持ち帰りが必要です。筆者の場合、持ち込みの業者に確認したところ要求した時期に船の便が無いということで、別の業者を紹介してもらいました。
 持ち帰りの費用は、フランス・横浜間が530US$で、業者の取扱い及びフランス側の付帯費用が840FFと日本からの持ち込み費用の半額程度となりました。この値段は、ヨーロッパで購入した車を日本に持ち帰る時にも参考になるかと思います。

日本での手続き

 荷揚げ業者から連絡があると、通関手続き等をどうするのか聞かれます。実際、カルネを使っての再入国は手続きが簡単だというので自分でやるのもいいかと思います。
 私の場合には、横浜港の大黒埠頭に着いたので、取りに行きました。
 はじめに倉庫に行ったところ、荷揚げ業者の手数料を払う手続きをしてないので、やってくれと言われ、2つの業者を廻りました。一つは、フランスから車を受け取った業者で、ここでは、書類の交換だけ行いました。フランスで受け取っていた送り出し書類を交換しました。その後、この業者が使った車の荷揚げ業者=倉庫の業者に輸送船と倉庫間の車の輸送代として、1万4千円かかりました。
 この後、通関手続きを行います。ユーザーのすることは、殆どありません。税関の職員が30分ほど掛かって書類を作って、決済してもらっていましたが、ただ待っているだけでした。

仮ナンバーの事

 国外を走るときに、国際ナンバーを付ける為に、日本のナンバーを取り外してしまっているため、再度日本を走るためには、日本のナンバーの封印が必要になります。したがって、倉庫で受け取ってすぐに走るためには、いったん仮ナンバーを付けることになります。
 封印は、陸運事務所に行けばすぐにやってもらえます。封印代が少し取られます。

JAFへの手続き

 JAFへカルネの返還を行います。この後、クレーム処理預かり金3万円の返還がありました。
 最後に陸運事務所に登録証書を返して終わりです。

各種連絡先

陸運事務所:各人の自動車の所属する陸運事務所

(社)日本自動車連盟:JAF各地方本部のカルネ担当

関東近県の輸送会社
郵船フレシュチェーン(株)引越事業部横浜営業所 (神藤)
           電話:045−453−0771
           FAX:045−453−0822

日本郵船の問合わせ先
日本郵船名古屋支店自動車部:052−963−5430

フランス国内での郵船フレシュチェーンの代理店(実際には、ここは使いませんでした) Oriental Service : Gare Routiere de Pantin - 201
Avenue Jean Lolive -1
Rue Ernest - Renan
93500 PANTIN
TEL:1-48 91 91 32 FAX: 1-48 40 03 87

シェルブール港での荷揚げ会社 (担当 : P. TREILLES)
Cherbourg Maritime : Zone Portuaire des Mielles
BP 61 - 50110 TOURLAVILLE
TEL : 33 88 66 00 FAX: 33 44 28 97

ルアーブル港での取扱い会社 (担当 : Bruno FONTAINE)
TRANSCAP INTERNATIONAL : 550 Boulevard Jules Durand
76600 LE HAVRE
TEL : 35 53 55 55 FAX : 35 26 38 34