チューリッヒ歌劇場へ 2000 / 2001 シーズン
Opernhaus Zürich チケット
チューリッヒ歌劇場と私 旅のヒント
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チューリッヒ歌劇場へ

チューリッヒ空港を始点に説明をしていこう。 空港の地下のチューリッヒ空港駅 Zürich Flughafen はチューリッヒとヴィンタートゥール Winterthur を結ぶ幹線上にあり、頻繁に列車が発着する。 チューリッヒ中央駅 Zürich Hauptbahnhof へはIC等の急行で一駅目10分、各駅停車利用でも12分程度と至近である。
オペラ・ハウスは中央駅の南方向、約1500mのチューリッヒ湖 Zürichsee のほとりにある。 中央駅のプラット・ホームの反対側(東側)の出口を出ると、市電の停留所があるので、そこから4番の南方向(中央駅を背にして右側)に向う市電に乗り、オペラ劇場前まで行くのも良いし、タクシーを使っても良いのだが、美しいチューリッヒの町を堪能しながら歩いてみよう。
市電の乗り場に通じる東側の出口から表に出ると右側に大通りがあり、その大通りの反対側にコープの建物が見える。 この道をとろう。 コープを過ぎるとすぐ橋にさしかかるが、ここがチューリッヒ湖から流れ出るリマト川 Limmat をまたぐバンホーフ・ブリッケ Bahnhof Brücke で、この橋を渡ったら右に曲がり、リマト川に沿ってリマト・クヴァイ Limmat Quai 通りを南に向う。 上の写真は対岸の見晴台リンデンホーフ Lindenhof からリマト川とリマト・クヴァイを望んだものである。 川の両側にはいくつものすばらしい教会や歴史的建造物が並び、リマト川とそれらがマッチしてLimmat River人の目を楽しませてくれる。 そのうちの一つ、対岸のフラウミュンスター Fraumünster ではシャガール Marc Chagall のステンド・グラスを楽しむことが出来る。 左の写真はそのフラウミュンスター前のミュンスター橋から中央駅方面を望んだもので、右側の川にせり出した建物がラータウス Rathaus である。
約1km程でチューリッヒ湖とリマト川を分けるクヴァイ・ブリッケ Quai Brücke に達する。 正確に言うとこの橋の少し手前のY字路からはウト・クヴァイ Uto Quai と通りの名前が変わるが、気にすることは無い。 橋を右に見ながら直進すると左側にチューリッヒ歌劇場が見えてくる。 なおY字路を左に取るとテアター・シュトラーセ Teater Strasse で、こちらを行くと劇場は右側に見えてくる。
もう一つの行き方はホームの先端部分をホームを背に右側(南)の出口を取ると、前方にバーンホーフ・シュトラーセ Bahnhof Strasse が線路と直角方向に南に向っている。 この通りはチューリッヒ一の高級商店街である。 ウインドー・ショッピングを楽しみながらチューリッヒ湖にぶつかるまで進む。 湖岸の通りの直前左側の広場では土曜日にフリー・マーケットが開かれ、多くの人が出ている。 そこからは左手前方にクヴァイ・ブリッケが見えている。 その橋を渡った右側方向に劇場が見える。

Opernhaus Zurich

Opernhaus Zürich

このオペラ・ハウスは1891年、「ローエングリン」でこけら落しされた。 1937年第3幕未完成のままベルクの「ルル Lulu」がここで初演され、翌1938年にはヒンデミットの「画家マチス Mattis der Maler」もここで初演された。
現在の総監督はアレクサンダー・ペレイラである。 彼はその最初のシーズン 1991/1992 シーズン、その年は当歌劇場の百周年にあたる、を「ローエングリン」で開幕した。
この劇場は一応馬蹄型の配置をしてはいるが、2階席および3階席が平土間のガレリーエの上に同じ奥行きで乗っているタイプではなく、日本Inside the theaterの演奏会場によく見られるように、平土間のガレリーエよりも列数の多い席が、だんだん舞台より遠くの位置から始まる構造となっている。
客席数はパルケットが16列計416、パルケット・ガレリーエ Parkett Galerie が111、その両翼のパルケット・ローゲン Parkett Logen がおのおの51、2階席中央 Erster Rang Mitte が5列計68、その両サイドがおのおの70、3階席中央 Zweiter Rang Mitte が7列計142、その両翼がおのおの105、しめて1,189席と小ぶりである。 なおパルケット・ローゲン、エルスター・ラング・ローゲンおよび3階席両翼後方の座席は通常の劇場用の椅子ではなく、1つづつ独立した椅子である。
2階には室内楽のコンサートが出来そうなホールがあり、開演前に当日上演オペラの解説を行うことがあるので、参加してみるのも良いだろう。
一時期公演数の減った時期もあったようだが、現在は9月から翌年7月までほぼ毎日公演が行われ、日曜日には通常2公演見られるのもうれしい。

チューリッヒ歌劇場と私

この歌劇場は私の最も好きなヨーロッパの歌劇場の一つである。 したがって相当数のオペラをこの劇場で観ていると思っていたのだが、最近何とわずか6公演しか観ていないことに気づいた。 なぜこの歌劇場に好感を寄せるようになっかのであろうか。 恐らく最初にここを訪れた1974年初春に見た3公演のいずれもがすばらしかったからではないだろうか。 この歌劇場を余り注目していなかった私が、この年に次々と3本も観てしまったのだから。

1974年2月26日 19:45  ヴェルディ 「仮面舞踏会」
  Renato Kari Nurmela   Ameria Eva Illes
Riccardo Glade Peterson   Ulrica Carol Smith
指揮 Nello Santi
演出 Werner Kelch   美術・衣装 Max Röthlisberger
1974年3月3日 14:00  モーツアルト 「魔笛」
  Tamino Rüdiger Wohlers   Pamina Marion Gassmann
Pappageno Rudolf A. Hartmann   Pappagena Inge Weissenberger
Die Königin Maria-Despina Koronmantzou   Sarastro Werner Gröschel
指揮 Matthias Aeschebacher
演出 Leopold Lindtberg   美術・衣装 Max Röthlisberger
1974年3月3日 20:00  レハール 「微笑みの国」
  Graf Gustav Paul Späni   Lisa Wilma Lipp
Sou-Chong Frans van Daalen   Mi Ina Dressel
指揮 Erich Windl
演出 Martin Markun   美術・衣装 Toni Businger

このレハールの「微笑みの国」 Das Land des Lächelns が何ともすばらしい舞台だったのを未だに覚えている。 たくさんの色鮮やかなちょうちんをディスプレイした非常に明度の高い舞台は目も彩で、当時としては画期的なものだった。 タップ・ダンスを随所に織り込んだ演出は斬新で、実に楽しいものだった。 すばらしいタップ・ダンス踊ったのが恐らくリーザ役のウイルマ・リップだと思う。 彼女の舞台を再度見たいものだと思っていたがそれは実現しなかった。 

1985年11月16日 プッチーニ 「ラ・ボエーム」
  Rodolfo Alejandro Ramirez   Mimi Cristina Rubin
Schaunard Jozsef Dene   Marcello Thomas Hampton
Colline Hans Franzen   Musetta Ruth Rohner
指揮 Michel Tabachnik   演出 Claus Helmut Drese
美術 Toni Businger   衣装 Jan Skalicky
1986年9月24日 R・シュトラウス 「サロメ」
  Salome Carmen Reppel   Jochanaan Alfred Muff
Herodes Wolf Appel   Naraboth Peter Straka
指揮 Ralf Weikert
演出 Jorge Lavelli   美術・衣装 Max Bignens
2000年10月28日 ワーグナー 「ラインの黄金」
  Wotan Jukka Rasilainen   Loge Francisco Araiza
Alberich Rolf Haunstein   Mime Volker Vogel
指揮 Franz Welser-Möst
演出・美術 Robert Wilson   衣装 Frida Parmeggiani

2000年晩秋、ヨーロッパ旅行企画中にチューリッヒで「ラインゴール」が上演されるのを見つけて、旅程を変え、また全席完売と言うことを承知の上、リスクをおかしてまでかけつけたのであったが、その衣装にまずおおいに失望させられた。 また期待していたアライザにも満足できず、くたびれもおけと言う観をぬぐえなかった。

2000−2001シーズン

2000/2001シーズンは9月2日の「Approaching Cloude」で始まり、7月15日のベッリーニの「テンダのベアトリーチェ」とヴェルディの「マクベス」で終了する。 その間に上演されるオペラとその公演回数は次の通りである。

Composer Title Conductor Main Singers No. of P.
Berg Lulu Welser-Möst Aikin, Kallish, Friedli, Ferri; Straka 4
Verdi La Traviata Welser-Möst Mei; Araiza, Zancanario 6
Donizetti Lucia di Lammermoor Carignani Rey; Aronica, Zancanaro, Colombara 4
Massnet Werther Welser-Möst Kaluza, Kotoski; Giordano, Muff 4
Bizet Carmen Weikert Baltsa, Mosuc, You, Friedli; Lima 4
Tschaikowski Pikowaja Dame Fedoseyev Kozlowska, Kaluza, Schmid, Janková 3
Wagner Das Rheingold Welser-Möst Kalisch, Chalker, Ferri, Janková, Araiza 8
Verdi Il Trovatore Arena Crider, Lipovsek; Scicoff, Alexejev 7
R. Strauss Salome Gergiev Friede, Naef; Dohmen, Schashing 6
Montemezzi L'amore dei tre re Viotti Marrocu; Ramey, Bruson, Palombi 7
Gluck Orfée et Euridice W. Christie Orgonasova, Janková; van der Walt 5
Berg Wozzack von Dohnányi Kringelborn, Ferri, Goerne 3
Giordano Fedora Ranzani Freni, Magnuson; Merighi, Chausson 5
Berlioz La Domnation de Faust von Dohnányi Nikiteanu; Todorovich, Silins, Duminy 8
Verdi Simon Boccanegra Santi Gauci; Pons, Polgár, La Scola 8
Lehár Die Lustige Witwe Neuhold Nadelmann, Gfrerer; Weber, Beczala 7
Knussen Wo die wilden Kerle wohnen Cleobury Montalvo, Asher, Muth; Amacher 5
Mozart Die Zauberflöte Welser-Möst Mosuc, Janková; Polgár, N.N. 10
Verdi I due Foscari Santi Prokina, Schmid; La Scola, Nucci 2
Verdi Nabucco Santi Valayre, Kaluza; Pons, Scandiuzzi 4
Verdi Don Carlo Welser-Möst Prokina, d'Initino, Friedli; Cura 10
Mozart Don Giovanni Harnoncourt Rey, Murray, Nikiteanu; Flifry 10
Rossini La Cenerentola A. Fisher Bartoli, Jankovaá, Friedli; Saccà 4
Verdi Falstaff Santi Mei, Rey, Ferri; Pons, Zancanaro 7
Verdi Attila Fedoseyev Zampieri; Raimondi, Nucci, Zvetanov 4
Shubert Alfonso und Estrella Harnoncourt Hartelius; Odinius, Mohr, Muff. Bär 7
Puccini Madama Butterfly Carigan Kabatu, Schmid; Lutsiuk, Davidson 5
Rossini Il Barbiere di siviglia Santi Kassanova; Macias, Lanza, Chausson 11
Donizetti Don Pasquale Santi Hartelius; Dumini, Iuliano, Widmer 3
Gluck Iphigénie en Tauride W. Christie Galstian, You; Glifry, van der Walt 8
Verdi Ernani Santi Kozlowska; Armiliato, Fronrtali 4
Holiger Schneewittchen Holiger Babse, Kalisch; Kirch, Widner 4
Wagner Der Fliegende Holländer Weilert Kringelborn, Ascher; Muff, Seiffert 4
Wagner Die Walküre Welser-Möst Schnaut, Friede, Kalisch; Rasilainen 7
Bellini Beatrice di Trenda Viotti Gurberova, Kaluza; Volle, Beczala 6
Verdi Macbeth Welser-Möst N.N., Hampson, Scandiuzzi, La Scola 4
Opernhaus Zurich at night
1シーズンチューリッヒに滞在すれば何と37本ものオペラに接することが出来るわけだ。 ヴェルディだけでも10本もある。 この他にヴェルディの「レクイエム」、かなりの数のバレー公演等々がある。 わずか1,100余りの座席しか持たない劇場としては驚異ではあるまいか。 おまけに指揮者、歌手ともなかなかの陣容を備えている。
また上演の機会の少ない作品にも果敢に挑戦しているのにも好感が持てる。
2001年4月、メトロポリタン・オペラでとなりあわせたブラジルから来たという中年女性、この女性はメットにはしげく足を運んでいるようであった、も、このチューリッヒ歌劇場を高く評価していたことを付け加えておこう。
公演のスケジュールは次のURLから見ることが出来る。 http://www.kulturinfo.ch/Theater/opernhaus.html

チケット

チケット売り場は「Opernhaus Zurich」の項で掲げた昼間の劇場の外観写真右下のレンガ色部分にある。 前売りは月曜日から土曜日の午前11時から公演のある日は公演開始時まで、公演の無い日は18:30まで。 アーベント・カッセは公演開始時間の1時間半前に開く。
チケットの価格は次の表の通りで、オペラの場合はおおむねプライス IV から VI と思えば間違い無いだろう。

2000-2001 チケット価格表 (スイス・フラン)
公演カテゴリー 座席カテゴリー
1 2 3 4 5
Preise I 92 76 65 43 16
Preise II 141 126 113 56 20
Preise III 169 152 130 56 20
Preise IV 198 173 152 92 32
Preise V 230 196 168 95 35
Preise VI 270 216 184 98 38
Volksvorstellung 59 45 33 16 10
Kinderoper 31 25 19 12 8
Konzert / Liederabend 70 60 45 30 10
Legi-Preise I - III 30 22 17 15 10
Legi-Preise ab IV 40 28 22 17 11
なお上記の価格表の例外もあるので注意の要あり。 例えばマクベス公演は45-380フランである。

パルケットの全席、パルケット・ガレリーエおよびパルケット・ローゲンの1列目、2階席の1列目は座席のカテゴリー「1」で、全席の約5割を占める。 「2」はパルケット・ガレリーエの2列目、エルスターラング・ミッテの2、3列目のみで約60席ほどである。
上記のウェブ・サイトからスケジュールと座席表を見ることは出来るが予約が出来ないのが残念だ。 したがってチケットを持たずにチューリッヒに乗り込んだ場合には、まずチケット売り場に急行することをお奨めする。 チケットは完売だと言うことを承知の上で訪れた2000年10月、アーベント・カッセでないと取り合ってくれないかなと思いつつも11時に窓口で「今晩のチケットありませんか。」と聞いたところ、運良くパルケット・ローゲの1列目(座席カテゴリー「1」)のチケットが入手できた。

旅のヒント

鉄道のチケットの手配とピック・アップ スイス国鉄SBBのサイト http://www.sbb.ch/ から、ヨーロッパの鉄道チケットを簡単に予約できるのをご存知だろうか。 出発点から目的地までの地名を入れることによって時刻表が表示され、列車を選んでいけるので簡単に予約が出来、1等2等の別は勿論、座席のプリファレンスも指定できる。 受け取り場所は指定をしたスイス国鉄の駅または郵送も可能だ。 私は2000年10月にこのシステムを使い、チューリッヒ空港駅からフィレンツェ、ナポリへの往復を、特急券、座席指定券ともども購入した。 空港駅で名前を言うと、さっとチケットの束が出てきて非常に効率よくチケットを購入できた。
1つ残念なところは、問題無くチケットが取れたときには何のコンファメーションもこないので、本当に取れているのか不安になることだ。 
チューリッヒ中央駅 中央駅は外観こそ旧来からの面影をそのまま残しているが、その地下に大ショッピング・センターが開店している。 ホームの反対側(東側)のエスカレーターを堀割のような地下に降りると、コイン・ロッカーが延々とあり、しかも明るく安全そうだ。 ここにスーツ・ケースを預けて、深夜劇場が引けた後に夜行列車で移動する場合に便利だ。 また有料トイレとシャワーもあって気持ちよく使える。
オペラが引けてからの食事 オペラの前に食事をしてワインなど飲むと、アルコールに強くない私はすぐ眠くなってしまう。 そこでオペラが引けてから食事と言うことになるが、チューリッヒの場合には前出のリマト・クヴァイ通りを一本奥にはいったニーダードルフ・シュトラーセ Niederdorf Strasse に行くと何軒か開いている。 Santa Lucia というイタリアン・レストランはリーゾナブルな値段と味だった。
チューリッヒのホテル かなり何回も訪れているチューリッヒだが、定宿としているところは未だ無い。 古い話だが1982年に泊まった劇場の近くのホテル・オイローペ Hotel Europe はなかなか良いホテルだった。 このころは予約無しで現地に行き、旅行案内所で紹介してもらうのが常だったが、最近はインターネットの普及もあり、かならず事前に予約をするように変わった。 簡単にホテルを見つけるにはホテル・チェーンのサイトを利用するのが便利で、ヒルトンやシェラトンの無いヨーロッパの小都市の場合には加盟ホテルの実に多いベスト・ウエスタンをよく利用している。 なおチューリッヒ空港の近くにはヒルトンもシェラトンもあり、シェラトンはもう1ヶ所あるが、町の中心部に無いためいずれも利用したことが無い。
チューリッヒでは最近そのベスト・ウェスタン加盟の三ツ星ホテル、ホテル・チューヒャーホーフ Hotel Zücherhof (ニーダードルフ・シュトラーセよりもう一本奥のゼーリンガー・シュトラーセ Zähringerstrasse 21)と、駅裏側で駅の端から3分と近いが薄暗くさびしい一角にあるホテル・モンターニャ Hotel Montagna (Konradstrasse 39)に泊まった。 一泊朝食税金込みでそれぞれSFR160と170であった。