ニューヨーク・シティー・オペラ

シティー・オペラと私

2002 / 2003 シーズン

チケット

State Theaterニューヨーク・シティー・オペラ

ニューヨーク・シティー・オペラはリンカーン・センターの一角に立つニューヨーク・ステート・シアター New York State Theater (右写真)を本拠としている。 この劇場はまたニューヨーク・シティー・バレーの本拠地でもある。 そのシティー・バレーの方はわが国でもかなりの知名度があると思うが、シティー・オペラの方はメットの影に隠れてほとんど知られていないのが現状だろう。 その理由の一つに、シティー・バレーと劇場をシェアーしており、しかもそのシェアーの仕方が月替りということもあるだろう。 日替わりでシティー・バレーとシェアーしておれば、ニューヨークに1周間も滞在すれば2〜3回は見る機会も出来るのだが、月替りのため1週間滞在してもステート・シアターではバレーしかやっていないということが往々に起こってしまうのである。
ステート・シアターの中に入ってみよう。 1階正面にはボックス・オフィスがある。 その広いホールの両翼にある階段脇でチケットのもぎりを受け、その階段を上ると、さらに広い最上階まで吹き抜けのホールに達する。 そこがオーケストラのレベルであり、中央にはスーベニア・ショップが開店する。
その両翼に第一リング 1st Ring から第4リング 4th Ring への階段があり、トイレは各階階段を上りきったところにあり、わかりやすい。 この階段をぜひ最上階の第4リングのレベルまで登ってみよう。 ここから眺めるその吹き抜けが何とも美しいのである。 第4リングのレベルの入口から観客席に入ると、第4リングの観客席がはるか上方まで並んでいる。
このステート・シアターは、最近有楽町スバル座で封切られたニュー・ヨークのトップバレースクールを舞台にダンサーたちの挫折と栄光を感動的に描いた映画「センターステージ Center Stage」の随所に現れる。 お奨めできる映画だ。

ニューヨーク・シティー・オペラは「明日のスター」を見る場所と位置付けており、ここを巣立っていった著名な歌手にはジューン・アンダーソン、ルネ・フレミング、シェリル・ミルンズ、サミュエル・ラメイ、フレデリカ・ホン・シュターデなどがおり、またプラシド・ドミンゴやホセ・カレーラス等もその初期の段階にここで貴重な機会を与えられている。
その演目はスタンダードな演目を中心に、忘れ去られていた18世紀の作品や現代の作品を果敢に織り交ぜると言う構成になっている。 音楽監督はジョージ・マナハンである。

シティー・オペラと私

かく言う私も、最初はスーパー・スターの登場するメトロポリタン・オペラのみに目が行き、シティー・オペラなど全く眼中に無かった。 メットのチケットが買えなかったらニューヨーク・フィルでも聞くかと言うスタンスだったし、また幸か不幸かソルド・アウトとなっていても何とかチケットが手に入っていたのである。 ある時、ふっとメトロポリタンで十分満足したことがあっただろうかという問いが頭をかすめた。 良く考えてみたら否であった。 そして次第に機会があったらシティー・オペラでも観てみてみようかと言う気になったのだが、行ってみるといつもバレーの月で、なかなかその機会は訪れなかった。やっと2000年3月、その最初の機会が訪れた。 演目が私の最も好きな作品の一つ「トスカ」であったこともあって、すんなりとシティー・オペラに向ったのであった。 その「トスカ」は非常にしっかりとした作りで、ソリスト、オーケストラそして合唱のどれを取っても申し分無く、調和の取れたものであり、おおいに楽しめるものであった。

2000年3月31日 プッチーニ 「トスカ」
  Tosca Amy Johnson   Cavaradossi Alfredo Portilla
  Scarpia Mark Delavan   Angelotti George Cordes
  指揮 George Manahan   演出 Mark Lamos
  美術 Michael Yeargan   衣装 Constance Hoffman
2000年4月1日 ビゼー 「カルメン」
  Carmen Angela Horn   Don José Carl Tanner
  Escamillo Brian Davis   Micaëla Barbara Shirvis
  指揮 Gary Thor Wedow   演出 Jonathan Eaton
  美術 Paul Shortt   衣装 Eduardo V. Sicangco

そしてその翌日もシティー・オペラに足を運ぶことになったのだが、その「カルメン」の出来も大満足で、同じ日にメットのマチネーで観たドミンゴの「ヴァルキューレ」とは大違いだった。 この2公演を観て、すっかりシティー・オペラファンになった私であった。

2001年4月5日 ヘンデル 「エイシスとガラテア」
  Acis William Burden   Galatea Christine Brandes
  Polyphemus Dean Elzinga   Damon John Tessier
  指揮 Jane Glover   演出 Mark Lamos
  美術 Paul Steinberg   衣装 Constance Hoffman

2001年4月5日、夕方早くに仕事から解放されたので、滞在先のニュージャージーからマンハッタンに出ることにした。 この日の出し物はメットが「トロバトーレ」、シティー・オペラがタイトル名さえ聞いたことの無い「エイシス」。 この「エイシス」にするか、それとも思いきってまだ観たことの無い「キャバレー」か「ライオン・キング」でも観るか、ニュージャージー・トランジットの列車に乗っても決断がつかなかった。 しかしAcis and Galateaニューヨークのペン・ステーションに着くや、私の足はシティー・オペラへと向っていた。 それでもボックス・オフィスの前に立つと、ヘンデルの全く聞いたことも無い作品だと言うこともあって、はずれということもおおいにあり得るということで、オーケストラで聞くことを常としている私がめずらしく5階席中央の25ドルの席を購入した。 5階の25ドルの席は13列もあり、その後ろから2列目の席であったので、舞台は遥かかなたであった。 あらすじはたわいの無いもので、こんなものをよくオペラにしたと変な感心をしてしまったが、コンティニュオを含めたオーケストラ、ソリスト、そしてコーラスが本当のヘンデルの音楽を奏でたのには感激した。 ちなみにソリスト達はこの時代の作品のスペシャリストとでも呼ぶべき人々を集めていた。

2002年4月4日 ビゼー 「カルメン」
  Carmen Paula Rasmussen   Don José William Joyner
  Escamillo Michael Chioldi   Micaëla Elena Kolganova
  指揮 George Manaham   演出 Jonathan Eaton
  美術 Paul Shortt   衣装 Eduardo V. Sicangco

社内トレーニングの最終日は米国各地へ帰る人々のために早めに講義が終わる。 この日のメットは観る気のしない「マダム・バタフライ」だったが、せっかく早く開放されたのだからともかくマンハッタンに行ってからどうするか考えようとNJトランジットの列車に乗り込んだ。 とりあえずタイムス・スクエアのTKTSに向かう。 そこで何とシティー・オペラのチケットが50%引きで売られていることを発見。 2年前に同じ演出で見て満足したので、これにすることにした。 オーケストラの席ではあったが、後方サイドで良い席ではなかった。 どうもTKTSには最も高い席の中でも最も悪い席を卸しているようである。 演奏のほうはまあまあと言う感じで、特に記憶に残った歌手もいなかった。

2002/2003 シリーズ

Composer Title Conductor Singers
Adamo Little Woman George Manahan Jennifer Dudley
Bizet Carmen Josef Rescigno Katharine Goeldner, Carl Tanner
Britten The Rape of Lucretia Daniel Beckwith Marina Groop, Anthony Dean Griffey
Chabrier L'Etoile George Manahan Robert Orth, Jennifer, Rivera
Handel Flavio George Manahan Bejun Mehta, David Walker
Heggie Dead Man Walking John DeMain Joyce DiDonato
Humperdinck Hansel and Gretel George Manahan Jennifer Rivera, Kellu Kaduce
Mozart Don Giovanni George Manahan Mel Ulrich, Kevin Burdette
The Marriage of Figaro Steven Masteller Nathan Berg, Ying Huang
Puccini Il Trittico George Manahan Maria Kanyova, Mark Delavan
La Bohème Gerald Steichen Angela Maureen Marambio
Madama Butterfly Brent McMunn Chen Sue Panariello, Scott Piper
Rossini The Barber of Seville David Agler Angela Turner-Wilson, Bruce Sledge
Sondheim A Little Night Music Paul Gemingnani
R. Strauss Salome George Manahan Eilana Lappalainen, Mark Delavan
Verdi La Traviata Steuart Bedford Pamela Armstrong, Jorge Pita
Rigoletto Willi Anthony Waters Louis Otey, Luz del Alba Rubio

チケット

2002/2003 シーズンのチケットの価格はおおむね次の通り。 サブスクリプション・プランは公演と日にちが固定のスタンダード・シリ−ズ、日にちの自由に設定できるカスタム・シリーズその他ディレクターズ・チョイス・シリーズがある。 どの公演でも選べるカスタム・シリーズなどは1週間のニューヨーク滞在でも使えそうである。

  Individual Ticket Subscription
Custom Series Director's Choise
Tu. - Fri Tu. - Sun
Tu. - Fri Tu. - Sun 4 5 4 5 DCI
7
DCII
6
Orchestra 92 98 304 345 328 375 483 414
1st Ring Center 98 105 328 405 356 440 567 486
1st Ring Sides 90 95 296 330 316 355 462 396
2nd Ring 75 80 260 315 280 340 420 360
3rd Ring 65 70 224 275 244 300 357 306
4th Ring, Rows A, B 55 60 196 260 216 265 322 276
4th Ring, Rows C-K/Sides 35 40 120 145 140 170 189 162
4th Ring, Rows L-O 25 30 80 95 100 120 133 114
数字は公演数。 この他にスタンダード・シリーズの火曜−金曜型は4、5、8公演の3種、火曜−日曜型が4、5公演の2種類、カスタム・シリーズには6公演の価格が設定されている。 この他$10の立見席がある。

シティー・オペラのURLは、http://www.nycopera.com/www/index.cfm で、このサイトからチケットの予約が出来るが、座席の選択までは出来ない。