アンテロープ・キャニオン  アッパー・アンテロープ・キャニオン内部
 ツアー  ロワー・アンテロープ・キャニオン
 アッパー・アンテロープ・キャニオンへ  天候に注意

アンテロープ・キャニオン

ペイジ Page の東数マイル、ナバホ・インディアン・リザーブ Navajo Indian Reserve 内に位置するアンテロープ・キャニオン Antelope Canyon は、風雨により細く深く削られた谷、スロット・キャニオン Slot Canyon の一つだ。 ナバホ・サンドストーンが長年月にわたり降雨やそれに伴う洪水により削り取られ、またその谷を吹きぬける風による侵食によりアンテロープ・キャニオンは形成されていった。 ここはスロット・キャニオンの中で最も美しいものとして広く知られる。
このキャニオンは南からレイク・パウェルに注いでいるのだが、現在は枯れ沢で雨が大量に降った場合のみ流れが形成される。 アッパー・アンテロープ・キャニオンはその上流部に位置し、ページからのツアーも多く催行されていて、日本人観光客の占める割合は非常に多い。 ロワー・アンテロープ・キャニオンは幅の広いキャニオン部分を挟み、その2−3マイル下流に位置する。
アンテロープ・キャニオンの名称はかつてプロングホーン・アンテロープ Pronghorn Antelope がアッパー・アンテロープ・キャニオンに自由に出入りしていたということから名づけられたという。

ツアー

アッパー・アンテロープ・キャニオン Upper Antelope Canyon もロワー・アンテロープ・キャニオン Lower Antelope Canyon もガイドを伴わなければ見学することが出来ない。 したがって通常ツアーを利用するわけだが、アンテロープ・キャニオンへのツアーについて記述している文書は少なく、また記載されていても誤った情報を掲載しているガイドブックがあるので気をつけよう。
ペイジの町にある旅行社で催行しているツアーはアッパー・アンテロープ・キャニオンへのツアーだ。 往復約1時間半のツアー料金はおおむね1人$20.00(税抜き)で、この他にナバホ・ネーション・トライバル・パーク Navajo Nation Tribal Park への入園料が別途必要だ。 キャニオンに2時間とどまるフォトグラファーズ・ツアーは同様に$35.00ほどだ。 ロワー・アンテロープ・キャニオンへのツアーはペイジからは出ていない。
アンテロープ・キャニオンの入り口はペイジから州道98号線 AZ98 を車で10分ほど走ったところにある。 ここからもツアーが出ているので、レンタ・カーで来ている場合にはペイジ市内でツアーの申し込みをするのでなく、ここまで自身で出かけることを奨める。 私たちは2003年9月にこの方法でアッパーとロワーの双方を見学した。 なおピーク・シーズンは事情が違うかもしれないのでホテル等で相談すると良いだろう。
ロワー・アンテロープ・キャニオンは危険だといってボート・ツアーを推奨しているガイド・ブックがあるNavaho Power Plantが、これは全くの誤った情報だ。 このツアーはレインボーブリッジへ行くツアーと同様にワーウィープ・マリーナから出てロワー・アンテロープ・キャニオンをさかのぼるだけのボート・ツアーで、私たちのイメージしているスロット・キャニオンは一切見ることはできない。 このツアーについては「ワーウィープ・マリーナとボート・ツアー」のページを参照のこと。

Gate to Upper Antelope Canyuoアッパー・アンテロープ・キャニオンへ

ペイジから州道98号線をカイベート Kaibeto 方面に約10分ほど走ると、ナバホ・ジェネレーティング・ステーション Navajo Generating Station (写真上右)が左側に近づいてくる。 その手前右側にナバホ・ネーション・トライバル・パークのゲート(右写真)が見えてくるので、右折してゲートに向かう。
ゲートで1人$6.00を払って前方の駐車場に車を止める。 ここの入園料は1日有効で、国立公園同様ブローシュアーにレシートをセロファン・テープでとめたものをくれる。 なおこの入場券でロワー・アンテロープ・キャニオンも訪れることが出来る。
入り口を入ったところの左側に掘っ立て小屋のツアー・デスク(Anterope Canyon Navajo Tours)があるのでここでツアーの申し込みをする。 ここのツアー料金は1時間のものが$12.50で、2時間のものが$20.00。 ナバホ・インディアン・リザーブ Navajo Indian Reserve の内部なので税金は必要ないようだ。 ここには簡易型のトイレがある。 アッパーおよびロワー・アンテロープ・キャニオンで唯一のトイレなので覚えておくと良いだろう。
ある程度人数が集まるとトラックに乗って出発だ。 アッパー・アンテロープ・キャニオンの入り口にはIn front of the Canyon Entranceここからダートの道を疾走するトラックに揺られて5分ほどで到着する。 左写真は入り口前に停車したツアー用車両。 割と良い車はペイジからのツアーのものだ。

Entrance of thr Upper Anterope Canyonアッパー・アンテロープ・キャニオン内部

今走って来た道がアンテロープ・キャニオンの底部で、かなりの幅を持っているのだが、この入り口地点からその幅は激減する。 右の写真がその入り口で、上の写真と比べるとアッパー・アンテロープ・キャニオンを出たところでいかに谷幅が急激に広まるかお分かりいただけるだろう。 この部分で地質が激変しているのである。
この入り口部分 The Crack はナバホ語では Tse bighanilini、「水が岩から出てくる場所」、と言われる。 またここをカテドラル・キャニオン Cathedral Canyon と呼ぶ人もいる。 内部の雰囲気が大聖堂をほうふつさせるからだ。
アッパー・アンテロープ・キャニオンがいつごろから人の知るところになったのかは諸説があるようだが、ここでツアーを催行しているアンテロープ・キャニオン・ナバホ・ツアーズによるとペイジ近くのマンソン・メーサ Manson Mesa からカイベート Kaibeto へと羊の群れを追っていたナバホ族の12歳の少女により1931年に発見されたという。
アッパー・アンテロープ・キャニオンは高さ約30メートル、幅は広いところは6-7mほどあろうかと思われるが、狭いところは人がすれ違うのが大変なほどだ。 しかし谷底は平坦で高低が無いので誰でも容易に見学できる。 しかしそのためここを訪れる人々は多く、全長は150mと言われる短い距離だが、その幻想的な景観を堪能し、また写真をとる人に配慮しながら歩くと往復で30−40分はかかってしまう。 特にハイ・シーズンには人物を入れずに写真を撮るのは至難のわざとなる。 私たちは2003年9月16日に2時間コースでここを訪れたのだが、シーズン後であったためか迎えの車が来るまで多少時間をもてあますくらいであった。

入場券は5月から10月のシーズンはエントランス・ステーションで午前8時から午後5時まで。 11月から4月までは閉まっているのでこの期間にここを訪れることを計画している人は、アンテロープ・キャニオン・ナバホ・ツアーズ、Tel (520)698-3384、等のツアー業者にに問い合わせると良いだろう。 同ツアーズのチラシには年中無休とある。
写真を撮ろうと思うなら午前9時から午後3時までの間が良いと言われる。 夏の正午前後には下右写真のように谷の上部から直射日光が谷底に届く瞬間がある。 このような時にはガイドが球状のわらを置いてその光線の先端を際出させたり、底部にたまっている壁から落ちてきた砂を投げ上げその光線が目立つようにしてくれたりする。 このように光の差し込んでいる場所には人だまりができ、誰もが写真を撮ろうとする。 下右写真のように人物を入れずに直射日光が差すところを撮ろうと思うとかなりの忍耐を必要とする。

Inside of Upper Antelope Canyon Sun beam

ロワー・アンテロープ・キャニオン

コークスクリュー Corkscrew コルク抜きとも言われるロワー・アンテロープ・キャニオンはAZ98をナバホ・トライバル・パーク入り口とは反対に、発電所に沿って左に曲がりアンテロープ・ポイント・ロード Antelope Point Road を行く。 程なく左にロワー・アンテロープ・キャニオンへの入り口の表示があるので、左折し今来た道を少し戻る形で南に向かい、西(右)にカーブを切るとロワー・アンテロープ・キャニオンの掘っ立て小屋の入場料売り場兼ガイド・ツアー申込所だ。
ここでアンテロープ・キャニオン・ナバホ・トライバル・パーク入園料のレシートを見せ、ツアー・ガイド料金1人$12.50を払う。 ツアー・ガイド料金のレシートにはきちっとパーク入場料のレシート番号を記載してあった。 パーク入場料のレシートをなくしてしまった場合、またはこちらを先に見ることにすると1人$6.00のパーク入場料をここでここで払うことになる。
ガイド料を払うと、ガイドがすぐ私たちを先導して歩き出した。 ものの200-300mも歩いたところに、狭い割れ目(下左写真)が大地に現れた。 これがロワー・アンテロープ・キャニオンの上部だ。 そして手前の部分から地底へ下りてゆくのだ。

Entrance to Lower Anterope Canyon Entrance to the Lower Anterope Canyon

ロワー・アンテロープ・キャニオンに入ってみよう。

LowerAnterope1大地の裂け目は見た目に細く本当に入れるのかと心配になったが、太めのガイドが難なく入っていったので、意を強くして中に入る。
鉄製のはしご状の階段(上右写真)を使い、ひとたびキャニオンの底に降り立つと、そこはもう幻想的な景観の連続の始まりだ。
谷底の道はほとんどの場所で人がすれ違うのが大変な狭さ(右写真)である。 またアッパー・アンテロープ・キャニオンと違い起伏もある。 ただし1997年の事故以来要所要所に鉄製のはしごがかかっているので心配することは無い。
このロワー・アンテロープ・キャニオンはナバホ・トライバル・パーク入り口ゲートとは目と鼻の先と言う位置関係にあるのだが、ここを訪れる人は比較にならないほど少ない。 もっともここをたくさんの観光客が訪れたりしたら一方通行にでもしないと身動きが出来ないことになってしまうし危険だ。
キャニオン上部から底部までの高さはアッパー・アンテロープ・キャニオンに劣るが、その美しさではここのほうが数段上だ。 ただし谷幅が狭いため、上部からの太陽光線が底部に到達すると言うことはまずない。

Exit

ここではガイドはキャニオン終端部まで連れて行ってくれるだけのようだ。 私たちを先導してくれたガイドは先導に徹し、どんどん先へ進んでしまい、特にあれこれ説明をしてくれるわけではなかった。
終端部につくとガイドは後は自分たちで、この階段(左写真)を登って地上を戻っても良いし、今来た道を戻ってもいいと言い、ここでお別れだ。 ロワー・アンテロープ・キャニオンの場合には駐車場からコーク・スクリューの入り口まで歩いていける距離なのでこのようなことが出来るのだ。 したがってここのガイド料は単一料金で、時間制限は全く無い。
私たちは今来た道をゆっくり写真を撮りながら戻ることにする。

LowerAnterope2

水と風による造形美に魅惑されながらかなりの枚数の写真を撮ったのだが、その美しさを十二分にあらわしていると自信を持っていえるものが残念ながら無い。 ぜひ実物を見ていただきたい。

それでもこれらの写真からその美しさの一端だけでも感じ取っていただけるであろうか。

このキャニオンには美しいとはいえないが一箇所アーチがあった。

右写真が鉄製の階段を上りキャニオンから出てきたところである。 いかに入り口が狭いかお分かりになるだろう。
キャニオン内の美しさに時間の感覚は全くうせてしまっていた。 後で調べてみると、キャニオンに入っていた時間は45分だった。

天候に注意

1997年8月12日、ロワー・アンテロープ・キャニオンで射流洪水 flash flood がおこり、11名の犠牲者が出た(うち2名はいまだに行方不明)。 そのためここは一時閉鎖されていたが、その後堅牢な鉄製の階段が随所に設置され、また非常の事態にはスロットの上部からセーフティー・ネットを投げ下ろすと言うプロシージャーが採用され、1998年に再びビジターに解放されることになった。
なおアンテロープ・キャニオン上流の地域に雨が降ると予報される場合にはアッパー・アンテロープ・キャニオンもここロワー・アンテロープ・キャニオンもいずれも閉鎖される。
したがってここを訪れる場合には余裕を持って計画を練られることをお奨めする。