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万年雪に覆われたケスイェン氷河 Kessjengletscher の上をブリタニア小屋 Britanianhütte
まで行きすばらしいパノラマを堪能した後、プラッティエン山上駅からサースフェーに戻る健脚向きハイキング・コースに挑んでみよう。 |
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フェルスキン Felskinn 2991m へはサース・フェー中心部に近いアルピン・エクスプレスを使っても、また南のはずれにあるフェルスキンバーンを使っても良い。 右の写真はアルピン・エクスプレスのフェルスキンだがこちらはゴンドラがいくつもつるされていて運転間隔が短いのがうれしい。
1969年に開通した村はずれから出るフェルスキンバーンは2002年7月6日から11月24日まで運休中だ。 なおサンライズ・ツアーはこちらを利用する。
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フェルスキンのロープウェー駅を出るとそこは一面の銀世界だ。 すぐにケスイェン氷河
Kessjengletscher の上を歩くことになる(右写真)。 しかしその氷河の上に厚く雪が積もっているし、ここは非常に人気のあるハイキング・コースなのでコースを外れなければまず心配ない。 念のため観光局でストックを持っていった方が良いかたずねたが、その必要はないという回答だった。 実際ブリタニア小屋
Britaniahütte までの道は平坦に近い登りなので、気をつけて歩を進めていけば特にピッケル、アイゼン、ストック等の装備は必要ない。 もちろん高度3000mの山地でのハイキングであるから、天候には十分注意をしなければならないし、また急速な天候の変化に備えた雨具や衣類、そして水と食料などを効率よくザックに詰めておくことは当然である。
しばし歩を休めて後ろを振り返ってみよう。 フェルスキンのロープウェー駅の背後にミシャベル連山の左からテッシュホルン
Täschhorn 4491m、ドーム Dom 4545m、レンツシュピッツェ Lenzspitze
4294m が美しい。
やがて左側にごつごつと赤茶けた岩肌をあらわにしたエッギナーヨッホ Egginerjoch
2989m が近ずく。 ここを左にメイン・コースから別れ、エッギナーヨッホをまいてプラッティエン山上駅へのショートカットも可能だが、この近辺のハイライトであるブリタニア小屋をスキップしてしまうためハイカーは少ない。

フェルスキンからこの分岐まではおおよそ15から20分。 右にカーブを曲がるとかなたにブリタニア小屋が望見され心強い。 ここから少し勾配が急となり、30から40分ほどで小屋に到着する。
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スイス山岳会 SAC のブリタニア小屋 Britaniahütte はクラインアラリン山
Klein Allalin 3070m のすぐ隣の 3030m の風光明媚な場所に建っている。 天気の良い日は下写真のように石壁と窓枠の赤がマッチして実に美しい。

この小屋はおおむね6月を除く3月から9月に営業しており、134人の宿泊が可能である。 非会員はハルプペンションで1泊CHF61.00ということだ。
ここで遅めの昼食をとることにした。 テラスに配置されたテーブルの上に置かれたメニューはごらんのように岩にしっかりと固定されたものでなかなかしゃれている(下左写真)。 屋内のセルフ・サービスの食堂でズッペ・ミット・ブルスト
Suppe mit Brust を注文したらすごく大きな容器が出てきて驚いた(下右写真)。 ざっとメニューを見たところいつものズッペ・ミット・ブロートが見つからなかったのでこれを注文してしまったのだが、かなり食べ出があった。 一息ついてよくメニューを見たら言い回しは違っていたが同じようなものがあったが後の祭りだった。
この小屋からはリンプィッシュホルン Rimpfischhorn 4199m 経由でツェルマットへ出る登山道がある。
なおこんなところのトイレまで水洗で、きれいであったのには感心した。
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隣にそびえるクライン・アラリン(下写真)に登る人がいるので昼食をとりながら眺めていると、その急な雪渓部分はピッケルか少なくともストックが無いと下りはちょっと怖い。 もっとも雪渓の広がる北側に落ちるのなら命に別状は無いだろう。
しかしよく目を凝らしてみるとその雪渓部分を通らず登れそうだ。 食事が終わるころにはそのルートから登る人々が現れた。
私も意を決してそのルートからトライしてみることにした。 何のことは無い、かなり容易に登れる。 上部は岩が複雑に積み重なっている。
頂上に達すると北側は断崖絶壁。 頂上は狭いし、おまけに風も強い。 しかしここまで来ただけのことはある。 西に目をやるとかなたにミシャベル連峰が実に美しい(下写真)。 右に見える赤黒い岩山がエッギナーヨッホだ。 先ほど通ってきた道がミシャベルの方向についているのがお分かりいただけると思う。 プラッティエン方面には小屋の手前を右のほうへ下りていく。
目を左(南)に向けるとアラリン氷河 Allalingletscher の舌がダイナミックだ(下写真)。 その後方に聳えるのはシュタールホルン
Stahlhorn 4190m とリンプィッシュホルン Rimpfischhorn 4199m であろうか。

さらに目を北へ転ずるとマットマルク Mattmark のダムによってできたシュタウ湖 Stausee 2197m がシュテッリホルン Stellihorn 3436m をバックに眼下に見える。 こちら側は断崖絶壁となっているので、ザックは落ちないように頂上の標識に引っ掛け、恐る恐る写真の取れる位置までにじり寄ってシャッターをおろしたのが右の写真だ。
すばらしい景色が堪能できるのに、その狭い頂上に居心地の悪さを感じて早々に下山を開始した。
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ブリタニア小屋近辺で十分景色を楽しみ、いよいよ下山だ。 もちろんフェルスキンへ戻っても良いのだが天気も最高だしプラッティエン山上駅
Plattjen Bergstation 2570m まで下ることにする。 なお天候が悪化してきた時や体力的に心配になった時などにはフェルスキンに戻るのが良いだろう。 おおむね傾斜のゆるい下りで雪上ではあるが道が良いのがありがたい。
プラッティエン方面には小屋をクライン・アラリン側に下りたところから雪渓をエッギナー Egginer 3367m の方へ向かってハイカーの足跡をたどっての下山となる。 30分ほどすると雪渓が切れ 始め、フェルスキンからエッギナーヨッホをまいて下りてくるハイキング・コースと合流する。 サース・アルマゲル Saas-Almagell への分岐を過ぎるころには雪は全く見られなくなり、右手にサースの深い谷とその向こう側の山容を眺めながらの谷の斜面に沿った道が続く。 このハイキング・コースと谷底との高低差は900から1000mもある。
やがて左側に雪渓の融けた水を満たした小さな池に差し掛かるが、このあたりからは岩がごろごろした地帯となりそれが山上駅へと続く。 この一帯は道を見失いがちなのでスイス山岳会の岩の上に赤と白で描かれた標識(右写真の2人のハイカーのすぐ左に見える。)を頼りに歩こう。 ブリタニア小屋からは約2時間かかってプラッティエン山上駅に着いた。
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プラティエン山上駅からの最終のゴンドラは16:45発だったので、16:00にここに着いた私には多少時間があったので乗り場に隣接するレストランのテラスで珍しくビールを注文した。 このテラスからの眺めは残念なことにつまらない。
ゴンドラはサース・フェーのメイン・ストリートの南端のタール・ステーションに到着する。
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Saas-Fee 09:20 --- (Alpin Express) --- Felskinn --- Felskinn の Metro Alpin 駅 09:50 --- (Metro Alpin) --- 10:00 Mittelallalin (展望とアイスパビリオン見物)11:30 --- (Metro Alpin) --- 11:45 Felskinn 12:00 ・・・・・ 12:40 Britaniahütte (lunch) 13:20 ・・・・・ 13:30 Klein Allalin 13:40 ・・・・・ Britaniahütte 14:00 ・・・・・ 16:00 Plattjen (beer) 16:30 --- (Plattjenbahn) --- 16:40 Saas-Fee (Talstation)
旅行日 : 2002年7月8日(月)
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プラティエンへのロープウェーは営業期間が短い。 2002年度夏季は7月6日から9月15日(29日まで延長の可能性あり)であった。 運休の日にここまで下りてしまうとサース・フェーまで歩いて2時間位かかるので十分注意すること。
ブリタニア小屋へのハイキングに便利な周遊チケットが販売されている。 サース・フェー ・・・ プラッティエン ・・・ フェルスキン ・・・ サース・フェーでCHF24.00だ。 これにフェルスキンからミッテル・アラリンの往復乗車券CHF34.00を加えてもCHF58.00だ。 私はミッテル・アラリン往復CHF68.00を購入したのだが、プラッティエンでこのチケットで乗れるか聞いたら乗せてくれたので、片道運賃CHF18.00は助かった。 しかしそれでもCHF10.00余分に払ってしまったわけである。 なおこの周遊チケットが反対周りでも使えるそうだ。
私の購入した黄色の表紙の航空写真を使った Hallwag Top Map Saas Fee 1:15000 地図には随所におかしな所要時間の記載が見られる。 他の信頼できる地図を購入するか、この地図を使うときは十分余裕を見てプランを立てることをお奨めする。 なおこの地図は観光局発行のガイドの2番目(1番目に載っているのは2002年夏発行となっていたが7月初旬にはまだ出ていなかった。)に載っているCHF14.80のものである。
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