文房四宝

硯について

硯
  国産の硯もそれなりに良硯もあるが、同じ産地でもむらがあり中々良い物
  に出会わない。中国産の硯は比較的良質のものが多く値段も手頃である。
  
 ・硯の種類
   日本産   雨畑硯・・・・・山梨
                        和端渓 とも呼ばれています。その 気品の良さと芸術性の高さとで
                        全国の専門家に重宝されています。硯の命は墨のおりだといわれます。 
            墨をよく噛む、ともいわれ、墨と硯の相性がいいのだそうです。

         赤間硯・・・・・山口
            質が固く緻密で、石眼や美しい紋様があり、しかも粘りがあるため細工が
            しやすく、硯石として優れた条件をもっています。
            また、むらなく鋒鋩があり密立しているので、よく磨墨、発墨得墨も早く
            さらっとのびの良い墨汁を得るしことができます

         雄勝・玄昌硯・・ 宮城
                      原石 (黒色硬質粘土板岩の地層,北上山系登米層古生代上部二畳紀
            約2億年前) 玄昌石や雄勝石と呼ばれる粘板岩で、地中深くで形成された
            石の肌はきめ細かく、不純物の無い純粋な石で作られているため
            奇麗な墨をする事ができます。最も多量に産出されている硯石
            玄昌石 (げんしょうせき) は学童用、実用の廉価な硯をはじめとして
            和硯の年間生産高の約九割を占めています。

       他に
         若田硯・・・・・長崎 
         竜渓硯・・・・・長野
         那智硯・・・・・和歌山
                            等々も比較的良い硯石が産出する。

   中国産   ・羅紋硯・・・安徽省
            粘板岩の一種で、横目の細かい文様(羅紋)が特徴で
            産出量が多く値段も安いが表面の細密さに少し欠ける
            様に思われるので、学童、初心者、写経向きである。

         ・端渓硯・・・西江の支流、端渓のほとり斧柯山(ふかさん)周辺
            紫、茶系の色をした石で老坑の名をそのまま冠にして
            麻仔抗、坑仔巌などと称する名硯が多い。現在では殆ど
            採鉱されておらず、西江の対岸にある宋坑から産出され
            る硯石を「 新端渓」として日本でも流通している。
            一般的には、漢字用に適している。
 
         ・歙州(きゅうじゅう)硯(けん)・・・江西省?源(ぶげん) 龍尾山周辺
            青黒色をした石で千枚粘板岩に属す石ですが、端渓石とはちがった
            渋い味わいがあります。石肌もそうとう緊密です。良い物は
            全体に油でも含んでいるかのようにネットリしており、石をかるく
            叩いてみると、澄んだ金声を発します。したがって、 墨を細かくおろし
            墨汁の洗い流し、いわゆる離墨もたいへんよいです。
            おもに仮名書き用として使われる。

#硯は使い終わったら速やかに水につけて洗い流します。
 硯には鋒鋩 (ほうぼう)と呼ばれる目に見えないほど細かな凹凸があります。この凹凸に墨が引っかかり
 墨が磨れていきます。しかし長い間使っていると、この凹凸に墨の膠分がつまり、墨が磨れなくなってきます。 
(硯面が乾いた状態で光を当て、全体的にテカテカ光を反射しているのは鋒鋩がつまっている状態です)
 鋒鋩に膠のつまった硯で墨を磨ると、なかなか濃くならないばかりか、墨が溶ける状態になり
 綺麗な墨色になりません。こうなってしまった硯には、硯専用の砥石をかけます。

#砥石のかけ方
 硯用の砥石には天然石のものと人工石のものがあります。使い易いように4〜5cm角になっています。
 砥石を墨に見立てて、硯の上で円を描くように磨っていきます、しばらくするとドロドロになって
 磨りにくくなりますから、いったん水で流します。それを何度か繰り返す。


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最終更新日2019.01.11