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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.3.25作成
2010.10.5追記

ヤエス FT-711L

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

FT-770の後継機種のようです。770は薄型でコンパクトなリグでしたが、幅が20mm・高さも10mm大きくなりました。一方で奥行きが15mm以上短くなりました。
パネルが15度くらい上に向いており、フロントパネルを外して上下反転させれば下向きになります。操作性向上を図ったとのことで、ツマミも大きく周波数表示とプッシュスイッチの文字も見やすくなりました。
デザインは残念ながらイマイチで、良く言えば重厚感がありますが、(設計者には失礼とは思いますが)「ダサい」と思います。同時期の他社製品はIC-38、TM-421です。販売が芳しくなかったのでしょうか、1年足らずでブラックパネルにアンバー色の大きな液晶のFT-712が発売されました。
プッシュスイッチに透過照明が付いたのは一つの試みとして評価出来ます。夜間、モービルでスイッチの操作が容易になりますが、これもFT-712では元に戻りました。受信の消費電流が増える割にメリットがなかったからでしょう。
右写真は下面で、上面は目だった部品はほとんどないので、写真は省略します。
中はチップ部品が多用され、コンパクトです。メイン基板1枚に4枚の小型基板を縦に実装して集積度を上げています。
受信の第一中間周波数は17.2MHzという何とも微妙な値です。他の機種ではこの周波数は用いられていないようです。
前のFT-770は21.6MHz、後のFT-712は45MHzと機種毎に変更され、理想の仕様を模索していたようにも感じます。フィルタが壊れると、入手困難なので要注意です。

発振回路

PLLはVCOの調整レベルがポイントです。
英文のサービスマニュアルを読むと、VCO内のポイントVCVを測定し、バンド上限(the top edge)で約4.0Vになるように受信時にTC01を、送信時にL01を調整すると記されています。この後、バンド下限(the bottom edge)で1V以上あることを確認せよ、とのことです。
ところが上限の440.00MHz(439.98MHzではなく、440.00MHzが受信出来ました)でVCVを測定すると、3.1Vしかありません。不思議に思いましたが、下限の430.00MHzは約1Vあります。
推察するに、英文マニュアルはUSA仕様(440-450MHz)ではないかと思います。VCVを調整することでPLLロックの周波数範囲が変わりますが、下手に触れないほうが無難と判断しました。
周波数が約600Hz高くなっていたので、誤差100Hz以下に調整しました。

受信部

入手時に十分な受信感度を持っていましたが、バンド上限で悪化傾向でした。
中間周波増幅部の調整を済ませた後、高周波増幅のヘリカルレゾネータを調整してバンド内の感度均一化を図りました。
このリグの困ったこと?は、メータのバーグラフが非常にアバウトなことです。バーグラフのドットは14個ありますが、2個ずつ同時に点灯するので実質的に7ドットですHi。
S&POという表示はありますが、数字は書かれておらず、ドットが細かい分だけ読みにくいです。いっそのこと、7個のドットのほうが読みやすかったのでは?
今となっては不満が残りますが、とりあえず取ったデータを以下に示します。マニュアル通り20dBuで全ドットが点灯するように調整しましたが、メータ風に言えば「軽く振りきれる」感じです。
 (2、6、10、14は点灯したドット数)

F=433.0MHz
調整前 調整後 バーグラフ表示特性
受信感度は1uV入力でS/N35dBでした。

送信部

送信出力はハイパワーで15W出ていました。前オーナーがパワー上限の設定ボリュームを調整したようです。
パワー設定を完全解除し、ドライブのコイルとトリマを調整したら最大19W出るようになりました。この時の特性を右図に示します。
パワーモジュールは三菱のM57704Mですが、製品規格では出力の標準値は13Wです。無理にフルパワー出す必要はないので、15Wに抑えました。
スプリアス特性も良好で、2倍高調波が-63dBです。
   F=433.00MHz、 X:200MHz/div、 Y:10dB/div

その他

取説を見たら、「クローン機能」なるものを見つけました。メモリした内容を他のFT-711へ転送する機能だそうですが、何だろう?とじっくり読んだら、手間の割に「こんなもの使うの?」という内容でした。
取説のページを以下に示します。
メモリやスキャン機能は興味ありませんが、メインチャンネルはメモリチャンネル0に設定されています。初期値が430.00MHzになっており、CALLスイッチでメインチャンネルを指定したら433.00MHzにならず慌てました。
ハードの設定があるかもしれませんが、周波数制御のコントロールユニットの回路が取説も調整の手引き(ただし海外版のTechnical Supplement)にも掲載されておらず、判断出来ませんでした。
メインチャンネルは簡単に変わらないので、初期値は発売当時の実情に合わせておくべきではないでしょうか。
無線機としての基本性能はしっかりしていますが、生産台数は少なそうです。