レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2010.6.23作成
2010.10.5追記

ヤエス FT-2FB

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

名称から推測可能な通り、FT-2Fの後継機種です。
フロント・リアパネルのデザインはそっくり、でも回路構成は改良され、基板も変更されています。
特徴的なのは、送受信の水晶発振周波数です。送信が6MHzの24逓倍から18MHzの8逓倍に、受信が51MHzの3逓倍(説明書はこの表現ですが、多分17MHzの3rdオーバートーンで51MHzを得ているでしょう)から14MHzの9逓倍に変更されました。送信は近接スプリアス対策、受信は他社と同様に受信周波数>局発周波数にするためと思われます。
取扱説明書に、「調整の仕方」という内容が3ページあります。ヤエスはV/UHFでもユーザーがメンテナンス出来るように、調整方法を公開していました。もっとも、スイープジェネレータ・高周波電圧計・SG・周波数カウンター等の測定器を使う前提で書かれているので、アレンジは必要です。手持ちの設備に上手く応用して下さい。
内部シャーシが曲がっているように見えますが、本当に曲がっていますHi。側面から背面まで続くコの字型のフレームは板厚1mmのアルミです。一部1mm厚の鉄板で強化された箇所もありますが、ファイナル部(黒いカバーのある箇所)の横幅がフロント・リア側に比べ2mm長くなっているからです。設計ミスのような気がしますが。

発振回路その他

入手時に9チャンネル送受信可能な水晶が実装されていましたが、5チャンネルのみ現バンドプランで使用可能でした。
受信の第一局発の水晶発振周波数は、テストポイントの44MHz台(最終局発出力の1/3)で最大2KHzズレていましたが、トリマの調整で追い込みました。
送信は送信可能だったのでアンテナ近傍から直接測定し、144-145MHzに対し最大3KHz のズレだったので、これもトリマで調整しました。
電気的に動作するメドを確認した後、メータの故障に気付きました。メータ(ラジケータ)の指示部と表面カバーを固定するセロテープが劣化して剥がれ外れていたので、新しいテープを貼り固定しました。
また、周波数は表示ドラムにレタリングで記入してありますが、シールに周波数を印刷し貼りつけました。
文字のサイズ・フォントは私の好み、オリジナルは銀色のシートに黒文字なので、背景を銀色にしたいのですが、インクジェットプリンタでは出来ません。
写真を無断転用しても、すぐに分かりますからご注意を。 

受信部

初期状態で受信出来、1uV入力でS/N23dBとまずまずの感度が得られていました。
まず、ナロー化の改造を行います。メーカー発表のデータでは、455KHzのフィルタCFP455BをCFM455Fにする旨書かれていましたが、パーツの在庫が残り少ないので、10.7MHzのフィルタ(30KHz幅)を手持ちの15KHz幅のフィルタに変更して対処しました。
また、スケルチ回路のコンデンサを2個変更しました。スケルチ設定レベルの補正程度のものと思います。
この後、各種コイルを調整しました。10.7MHzのフィルタを変更したので、入出力のコイルは調整は必須です。
最終の感度は1uV入力S/N27dBになりました。
感度は十分ですが、メータの振れが気になりました。説明書通りに60dBuを入力してフルスケールになるようにVR101を調整すると、20dBu入力でフルスケールの2割も振れません。
Sメータアンプはエミッタフォロワで、エミッタ抵抗に直列に入ったダイオードによって大入力でもメータが振りきれないようになっています。この回路の特性でしょうか、低レベルの信号でメータが振れにくく感じます。
個人的には、弱い信号でメータが振れるほうが好みです。
エミッタ抵抗を100オームから200オームに変更し、25dBuでメータがフルスケールになるように調整しました。振り切れ防止回路が動作していないポイントです(Hi)が、まあ良しとします。

送信部

パワーはが約6W出ていました。各コイル・トリマを調整し約11Wまで出るようになりました。
ところが途中でパワーが出なくなりました。ファイナル部を叩くと時々パワーが出るようになります。ファイナル部を開けシールドケースを外して調べ、リレーの接触不良と判明しました。
リレーが驚くほど小型で(リードを除き26 X 18 X 11mm)、接点も心配なほど小さいのですが、接点洗浄剤を吹きかけて洗浄したら安定しました。
もっと大型のリレーに交換したいところですが、シールドケース内に収まる手持ちが無く、入手可能な同等品も知りません。消耗品の一種なので、汎用性の高い一般品を採用すべきでした。。
スプリアス特性を見ると2倍高調波が-53dB、今回も今一歩でした。
スペアナを見ながらトリマとコイルを再調整、さらにファイナル出力のローパスフィルタのコイルのピッチをセラミックドライバで変えながらスプリアスを追い込み、-60dBにすることが出来ました。
パワーは144.36-145.32MHzの範囲で11.5-12Wとフラットです。
   F=145.00MHz、 X:100MHz/div、 Y:10dB/div
もう一つの問題がAOS(Automatic Over Signal)、FT-2Fでも説明した送信から受信に切り替わる時に「ピッ」と鳴る回路です。
背面のスイッチをONにすると動作しますが、ONにすると送信時に常時発振音が変調にかかります。OFFでは発振音はなく正常です。
原因は手持ちのマイクでした。ヤエスのマイクは4Pで、1・2番ピンがマイク、3番ピンが送受信切り替え回路に接続され、4番ピンはオープンです。
ところが、FT-2FBの純正マイクの4番ピンは2回路のPTTスイッチの一方に接続されています。
一方、トランシーバ側は、左図のようにAOSの発振信号を生成するフリップフロップ回路のトランジスタQ118のコレクタに接続されています。
専用マイクの場合、送信時はPTTスイッチでGNDに落ちるので発振が停止しますが、4番ピンを配線しないマイクでは回路が動作し、変調に信号が重畳するのです。
ならば、4Pを配線すれば済むこと・・・・と考えましたが、調べてみると後継機種のFT-227やFT-223のリグ内では4番ピンが抵抗を介してVccへ接続されています。コンデンサマイクを利用するためと思われますが、同一メーカー複数個の仕様を持つことは好ましくありません。
汎用性を保つために4Pを配線せず、AOSを止めることにしました。
AOSを完全に止めるのは簡単、ON-OFFスイッチの配線を切断するだけです。
ナロー化は、デビエーション調整ボリュームVR202を調整すれば完了です。

その他

取扱説明書に各トランジスタ・FETの電圧・抵抗値が示されています。各デバイスが壊れていないかチェックする目安になりますが、ユーザーが修理が出来るような情報としてメーカーが取説で(しかもモービル機です)公開していたとは、今では考えられないことです。
取扱説明書に各トランジスタ・FETの電圧・抵抗値が示されています。各デバイスが壊れていないかチェックする目安になりますが、ユーザーが修理が出来るような情報としてメーカーが取説で(しかもモービル機です)公開していたとは、今では考えられないことです。
もっとも、高インピーダンス入力の測定器で測定した場合であり、テスターでは誤差が生ずるのは覚悟せねばなりません。でも、トラブルシューティングの目安になります。
アマチュアでも修理が出来た、良き時代の話ですね。