レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2010.6.23作成
2010.10.5追記

ベルテック W5500

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

ベルテック製の144MHzモービルトランシーバです。1971年にW5400を発表、翌年ハンディ機のW3470、そしてさらに翌年に本機を発表しましたが、ほどなく撤退したようです。
会社そのものが存続しているの?とあれこれ調べてみたら、情報が見つかりました。
    http://www.beltek.co.jp/
カーオーディオメーカーから創業した、と記述されているので、おそらくこの会社でしょう。
ジャンクで出回ったリグを入手しました。回路図・説明書がありませんが、検索した限り『幻』と呼ぶほどレアでもなさそうなので、資料はいずれ出てくるのではないかと期待します。
基板を見て、ブロックダイヤグラムを自力で書いてみましょうか(正確かどうかは別にして)。
送信が12MHz台の水晶X12逓倍、受信が14MHzX9逓倍というオーソドックスな構成のようです。以前に調整されたらしく、ある程度動作しているので、回路図なしでも何とかメンテナンス出来そうと考えました。
実装チャンネルは10チャンネルでしたが、145MHz台が多く使いものになりそうで助かりました。
上面図 下面図
受信周波数を微調整するDELTA TUNE(RITと同じ)があり、第二局発の10.245MHzをVXOで可変します。
ちょっと驚きなのが周波数表示の目盛り板、数ミリ厚のアクリル板と思っていたら、0.2mmくらいのペラペラのシート2枚でした。周波数表示を大きくするためには高さが不足するので、上下で曲がるのです。
アイデアとしては悪くありませんが、モービルの車内で高温になった時に変形しなかったのだろうか・・・・と心配になります。

発振部

電源を接続し受信状態を確認しましたが、SGの信号が聞こえてきません。ロータリースイッチを回して周波数を変えているうちに受信出来るようになりました。しかし、手を離すと聞こえなくなります。ロータリースイッチの接触不良と推定、接点洗浄剤を吹きかけガチャガチャと回すと徐々に不具合が無くなりました。接点の汚れクリーニングと酸化膜除去は1回だけでなく、数日後に確認・再作業をおすすめします。
受信の第一局発の水晶は、テストポイントに周波数カウンタを接続、チェックしました。134MHzに対し最大9KHzずれていましたが、調整可能でした。
第二局発は100Hzのズレですが、一応補正しました。
送信の水晶は、144MHz帯の電波を検出して測定しました。最大3KHzのズレですが、これも調整しました。

受信部

入手時にナロー化されており、フィルタ交換済みでした。受信感度も1uV入力でS/N20dBとまあまあです。
ところがセラミックトリマとコイルを調整しましたが、思ったほどS/Nが改善されず、1uV入力S/N24dBが精一杯でした。スペックは不明ですが、同時期のリグ並みの30dB程度の結果が欲しいところです。
高周波増幅は2SK42(ソニー)の2段増幅ですが、古いデバイスで同等品が見つかりません。
メータは25dBuでフルスケールになるように調整しました。特性を右に示します。

送信部

送信パワーは9W出ていました。ドライブ段からトリマを調整したら、すんなり12Wが得られました。ナロー化済みで、デビエーション調整は不要でした。
スプリアス特性も2倍高調波がほぼ-60dBに近く、まずまず・・・と思ったら、大きな落とし穴が。
ハイパワー時(Po=12W) ローパワー時(Po=2W)
 ローパワー(約2W)で、近接スプリアスが見えます。
  右写真  F=145.12MHz
  X:100MHz/div、Y:10dB/div
スプリアスが基本波±12MHzに並んでおり、基本波に対し最大-43dBと、少し気になる値です。
 ローパワーは、ドライバ段の電圧を下げてドライブ電力を落としているようですが、動作点が変わったことが影響しているようです。
トリマ・コイルを再調整したところ、ドライバ段出力のトリマとファイナル部出力のトリマが影響していることが分かりました。 (左写真の丸)
周辺のコンデンサも怪しそうですが、ハイパワー・ローパワーいずれも近接スプリアスが出ないところにトリマを調整し解決しました。
ファイナル部のトリマは小型のセラミックトリマなので、スプリアス対策のトラップかもしれません。
パワーは11Wと少し減りましたが、十分です。
ハイパワー時(Po=11W) ローパワー時(Po=2W)
対策後は近接スプリアスもなく、良好です。ハイパワー次の2次高調波も-60dBになりました。
 F=145.12MHz
 X:100MHz/div
 Y:10dB/div
こんなケースに出会うたびに感ずるのですが、パワー計だけで調整してはダメですね。

その他

分解するためネジを取りカバーを外したところ、フロントパネルも外れましたHi。フロントパネルと本体だけがネジ止めされている箇所がありません。
フロントパネルをはさんでカバーと本体をネジ止めしているのです。左写真の矢印箇所ですが、上下2箇所ずつあります。
普通は、フロントパネル部と本体(基板が取り付けてある箇所)が4-6箇所ネジ止めされ、さらにカバーがネジ止めされているものですが・・・・。