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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2012.6.23作成

AZDEN PCS-7500

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開
PCS-7500

リグの説明

 アツデン(日本圧電気)の50MHz FMトランシーバです。4MHzを20KHzもしくは10KHzステップでフルカバーします。
 メーカーは現存しますが、すでにアマチュア無線業界から撤退しており、修理は勿論、資料提供のサポートも完全に終了しているそうです。問い合わせも遠慮して下さい。 
 日本語の説明書を入手しましたが、PCS-7000シリーズとして本機以外にPCS-7000(144MHz)、PCS-7300(430MHz)、PCS-7800(29MHz)の計4機種共通になっています。
フロントパネル 周波数可変のダイヤルは無く、10KHz単位を上下するプッシュスイッチと1MHz単位を上下するスイッチで周波数を設定します。10KHz単位の変更は付属マイクで変えたほうが簡単でしょう。
 REVというキーがありますが、430・29MHzのレピータ運用の周波数をシフトする機能です。50MHzは何も反応ありません。
下面 回路部上面   主な回路はシャーシ下面と背面にあり、上面はスピーカーのみです。144・430MHzでは何か基板が組み込まれていたのでしょうか。
 個人意見ですが、バックアップ電池を含むユニットがここにあればメンテナンスが楽です。
基板上の表示 幸いなことに動作しており、性能もまずまずのようです。回路図が無いので完全レストアは難しいのですが、可能な改善を試みました。
 50MHzはバンド幅が4MHzあり、広帯域で特性が確保されるかが興味あるところです。50.8MHzくらいから53MHzまで動作すれば良しとします。
 基板上のボリュームの横に、S METERやTONEといった機能が印刷されており、調整が容易です。回路図が無いリグでは、部品の形状と配置から「多分この調整用だろう」と推測するのですが、記載されているのは親切ですね。

発振回路

 PLLの周波数を確認するため、50.00MHzと53.98MHzで送信しました。いずれも誤差は300Hz程度で、十分です。
 1KHz以下の数値は10Hzも差が無いので、10KHzステップのクロックは大丈夫のようです。トリマを調整し、誤差数十Hzまで追い込みました。
 後述するように、発振回路に起因するスプリアスも無いので、これ以上の対応はしませんでした。

受信部

 受信回路は、高周波増幅が3SK77の1段増幅、第1中間周波数14.9MHz・第2中間周波数455KHzのダブルコンバージョンです。中間周波増幅から検波までは、MC3361P(SOP)とチップ部品で別基板を作り、モジュール化しています。
 受信も問題なく出来ました。高周波増幅の入出力がコイル2段の複同調ですが、50MHz台はFMの使用範囲外なので、50.5MHzと53.5MHzの2点で同一感度になるように調整しました。
 感度は上下のバンドエッジでも落ち込みがなく、0.4uV入力S/N30dBをクリアしています。

送信部

パワーアンプ部 パワーアンプはパワーモジュールではなく、ドライブ2SC2166・ファイナル2SC1945で構成しています。本シリーズの144MHz・430MHzはパワーモジュールですが、50MHzのFM用パワーモジュールは存在しなかったはずです(マイナー過ぎて商品にならない)で、ディスクリートに頼らざるを得なかったようです。
 SSB用はM57735がありましたが、コスト面ではディスクリートが正解で、メンテナンスも代替トランジスタを探せます。
 ・・・・と言っても、今ではトランジスタすら入手が難しくなったのですが。
 調整用トリマは、フィリップスの黄色いトリマ(65pF)が使われています。
パワー特性 当初からパワーは10W以上出ており、問題なさそうです。
 APC設定のボリューム(POWER HIと書かれている)を回すと、フルパワーで15Wまで出ます。51.00MHzで送信してドライブとファイナルのトリマとコイルを調整し、最大18Wを得ました。
 その後、APCボリュームを12Wにセットし、終了です。
 パワーの周波数特性を右に示しました。フルパワー18Wにすると、51.5MHzより徐々にパワーが落ちますが、APCで15Wにセットすると50-53MHzまでフラットになります。もちろん12Wならば4MHz幅すべてフラットです。
スプリアス特性 スプリアスも特に問題ありません。VCOに直接変調をかけており、周波数混合によるスプリアス発生がないのです。
    X:10MHz/div、 Y:10dB/div、 F=51.0MHz

その他

 4MHzという広範囲を均一な特性で動作させているのは感心します。余裕のあるデバイスが市販され、広帯域動作の設計が可能になったからでしょう。
 TVが地デジ化され、VHFアナログチャンネルのTVIの心配が無くなりました。TVIに悩まされた昔が夢のようです。
 田舎では閑古鳥すら鳴かない!?50MHz FMですが、逆の意味ではローカルラグチューに最適です。都会でも、特定周波数で待ちうけ受信をしても支障ないのではないでしょうか。
 また、国内Eスポが開ける季節には、誰かが51.0MHzでCQを出せば「開けている」と気付くでしょう。
 滅多に送信しそうもないリグですが、何らかの活路を考えています。29MHzへのトランスバータを付属するのも一案です。