レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2006.5.31作成
2007.9.22修正
2010.10.5追記

フクヤマ MULTI-VFO

☆周波数非公開
☆受信部発振周波数非公開
☆送信部発振周波数 非公開
☆送信周波数安定度 非公開
☆電源 非公開 
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

福山電機の144MHzトランシーバに接続可能な外部VFOです。MULTI8・MULTI8DXとデザイン・外形を合わせてありますが、MULTI7等にも利用出来ます。
このVFOもAC電源内蔵です。トランシーバとセットにすると、結構な重量になります。
上面(受信VFO回路) 下面(送信VFO回路)
周波数構成を以下説明します。
VFOで周波数を可変し、送信・受信用の水晶発振とミックスします。
受信はミックスで得られた22MHzの信号を2逓倍し、44MHz台を得ます。送信はミックスで得られた24MHzの信号を1/2に分周し、12MHzを得ます。
これにより、1VFOで送受信周波数を可変していますが、VFOの安定度が気になります。変動が送受信とも6倍になって現れてきます。

受信部出力

出力周波数は44MHzで、オシロでも確認出来るレベルです。コイル・トリマをオシロを見ながら出力最大にしました。次に近接スプリアス成分をスペアナで確認し、本来の成分である44MHzの出力を落とさない範囲で不要成分を最小にしました。
受信部は、あまり神経質になってもキリがありませんHi。
出力はボリュームで可変出来ますから、44MHzの成分-他の成分がもっとも大きくなる(不要成分との差が最大になる)点にセットすべきですが、上記方法で十分でした。
最終結果が右の写真です。 X:10MHz/div、 Y:10dB/div
受信発振部ですから、この程度で十分でしょう。
周波数安定度も心配な点です。電源スイッチON後の周波数の変動を測定しました。もちろん、周波数カウンタは1時間以上エージングをしてから測定します。
結果は左の通りです。実際のリグでは3逓倍されますので、3倍の変動が生じますが、電源ON後20分程度経過すれば使えそうです。 (室温約22℃)
受信の周波数ズレはRITで補正すれば実用上問題ありません。
調整後、MULTI8DXに接続しました。水晶とVFOで感度を比較しましたが、差は認められませんでした。尚、背面に出力調整ボリュームがありますが、変化ありませんでした。

送信部出力 

送信部は、スプリアス特性に注意せねばなりません。TVIだけでなく、他の無線設備へも影響がありえますから。
未調整の状態で送信出力のスペクトルを見ると、12MHzだけでなく2倍の24MHz・4倍の48MHzの成分がかなり大きいことがわかりました。
この出力がトランシーバに入り、3倍、2倍、2倍と逓倍されます。逓倍途中の周波数と同じですので、最終的にはトランシーバ本体こみで判断すべきですが、面白くありません。
調整前 調整後

途中の増幅部のスペクトルを観察しながらコイル・トリマを調整した結果が右の写真です。
12MHz出力は増加し、24・48MHzの成分は15〜20dB低下しました。ここまでくれば納得できそうです。
 X:10MHz/div、Y:10dB/div
発振周波数の安定度はどうでしょうか。約1時間で最大400Hz変動します。(室温24℃)
理屈上は受信発振の1/4の変動ですが、変動が少し大きめなのは周囲温度の影響等によるものでしょう。
この発振が12逓倍されますから、144MHz台の変動は約5KHzです。VFOにしては優秀な性能と思いますが、ナローFMでは厳しい値です。途中で周波数補正をしたほうが良さそうです。
相手を受信して補正すれば良いのですから難しくありません。
こちらも、MULTI8DXと接続しました。送信出力・スプリアス特性とも水晶とVFOの差はありませんでした。

その他

右上のツマミが電源スイッチと周波数の切り替えです。146-148MHzは受信のみ可能です。また、周波数変動や設定誤差を考慮して、受信周波数を補正するRITツマミがあります。
もう一つ、変わった回路を発見しました。送信の12MHzを生成するための1/2分周ですが、トランジスタ2本のフリップフロップ回路を使っています!低周波では見慣れた回路ですが、高周波の利用例は初めて見ました。
意外にも安定して使えそうな感触を得ました。
周波数変動は周囲温度の変動の影響が大きく電源投入直後からの変化だけでは議論できません。夏の暑い室内でエアコンを入れた直後とか、冬の冷え切った部屋で暖房をかけた時の変動がどの程度になるか?も検証する必要がありそうです。
工夫をすべき点が一つあります。VFOの電源スイッチを切ってもVFOの原発振を動作させておくのです。
水晶発振とVFO発振の切り替えは、本体のチャンネル切り替えですが、MULTI8DXの取り扱い説明書によれば
「VFOを使用しないときは,VFOはOFFにしましょう。Xtal挿入チャンネルでもVFOの信号により違う局(VFOによる選局)が入感することがあります。」
と記載されています。
VFOの電源スイッチ(周波数切り替えスイッチ)で電源を切ると、通電しません。水晶を使用した後、再びVFO電源を入れると初期ドリフトがあるわけです。送信部は動作しませんので、受信の増幅部で出力をミュートさせれば良いのですが。
スイッチをどうするか?一工夫が必要です。