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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2006.11.29作成
2007.9.22修正
2010.10.5追記

フクヤマ MULTI700S

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

フクヤマの144MHz FM機で、MULTI-800Sの後継機種です。
800Sは詳しいデータが無く僅かな記憶が頼りですが、周波数切り替えがロータリースイッチではなく、左右に10-15度くらい回転させると周波数が一定時間間隔で上下してゆく機構だったような気がします。いずれ入手できたら追記しますが、周波数設定が難しそうです。
ほぼ同時期に、1回転50チャンネルのロータリースイッチを用いたTR-7500がトリオから発売されました。800Sは7500と比較して上記操作性に難点があり不評だったようです。1年後に1回転50チャンネルの本機に変更されたようです。
上面図 下面図
周波数構成は以下の通りです。20KHz間隔X50チャンネルで1MHzをカバーし、144MHz台と145MHz台を水晶発振で切り替えます。さらに+10KHzスイッチに切り替えると、10KHz間隔で送受信可能です。但し周波数表示は変化せず、+10KHzを示すLEDが点灯します。

受信部

混変調対策として、DX/LOCALスイッチがあります。これは抵抗アッテネータを挿入するのではなく、高周波増幅のFET 3SK63の第二ゲートのバイアスを変化させてゲインを落とし実現しています。
オプションで水晶を追加すれば146MHz以上も受信可能です。148.99MHzまで受信可能な水晶が実装されていたので、データを取って感度を比較してみました。
高周波増幅は3SK63と2SC1047の2段増幅です。このコイル5箇所を調整すれば完了です。144.5MHzと145.8MHzで受信感度が最良になるように交互に調整をしました。
このリグは中間周波増幅部がシールドされたブロックになっています。回路図も記載されておらず、ブラックボックス状態です。中を開けてみましたが、調整箇所がディスクリコイル以外ありません。 (右写真)
調整前後のデータは以下の通りです。144MHz台が少し良化しましたが、145MHz台はほとんど変化しませんでした。感度は-6dBu 20dB NQ(F=145.00MHz)と良好です。
 
調整前  調整後 S特性(F=145.00MHz)

送信部

パワーは問題なく出ます。バンド両端でやや低下傾向があったので、トリマを調整し、ほぼ均一にすることが出来ました(右図)。
パワーはスイッチによる2段切り替え(Hi-Lo)ではなく、ボリュームを用いて連続可変可能です。
変調も問題なくかかります。
周波数は145MHz台で誤差200HzでOKでしたが、144MHz台は1.7KHz低めでした。トリマCV7を調整し、誤差100Hz以下に収めました。
±16.9MHzの近接スプリアスがわずか(-70dB)ですが観察されました。PLL出力と水晶発振のミキサーで生ずるものですが、バランスドミキサー(2SK19X2本)のバランスが崩れているようです。ボリュームを70度くらい回して最良点を得ました。
2倍高調波は-60dB以下であり、問題ありません。  F=145.00MHz
 
近接スプリアス(調整前)
X:20MHz/div、Y:10dB/div
近接スプリアス(調整後)
X:20MHz/div、Y:10dB/div
最終調整後のスプリアス特性
X:100MHz/div、Y:10dB/div 

その他

任意の4チャンネルを指定し、スキャンすることが可能です。ところが、このリグはメモリ内蔵のCPUが入っていません。
実は右写真のようなプラスチックケースに収められたダイオードアレーを用いてプリセットするのです。
アレーの足をソケットに差し込むか、曲げたり切断して差し込まないようにするかで周波数を設定します。説明書が無いときは、どうなっているのだろう?と不思議でしたが、分かってしまえば簡単なことです。