レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.7.18作成
2010.10.5追記

マルドル(北辰産業) HS-144

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

トランシーバとしては珍品に入るマルドル(北辰産業)のリグです。マルドルはアンテナのメーカーとして有名でしたが、1970年代にモービル機を生産していました。
昨年(2008年)春に倒産しましたが、在庫のアンテナやパーツはまだ入手可能なようです。
取説と回路図がありません。もうメーカーが無い以上、入手も難しそうです。
ワイドFMからナローFMへ切り替わる時期です。周波数切替ダイヤル・ボリューム・スケルチがあるだけで、非常にシンプルです。
下側のカバーを外すと、基板1枚が見えます。水晶は1チャンネル1個ですが、途中の周波数から判断して44MHz台の水晶発振を3逓倍し、送信は10.7MHzをミックスして145MHzを、受信は10.245MHzをミックスして第一局発にしているようです。
コンパクトなリグですが、マイクコネクタが下にあり、常置場所で使用することが難しいのが欠点です。モービルなら、ブラケットを使って何の問題もないのですが・・・・。

発振部

水晶が13チャンネル実装されていました。前記の周波数構成から判断し、他社の水晶は使えそうもありません。
周波数カウンタで発振出力の134MHzを測定しましたが、全て誤差1KHz以内に収まっていました。前オーナーが調整していたと思われます。

受信部

受信も問題なく出来ましたが、Sメータが振れないトラブルがありました。
80dBuの信号を入力しても、S3で飽和してしまいます。何か変・・・・とメータ出力信号まわりと思われるコンデンサを交換しても変化ありません。送信は問題なくメータが動くので、メータの故障でもありません。
原因は出力回路のダイオードとRFCのショート(リードの接触)でした。送信回路のダイオードの影響でメータへ流れる電流が制限されたためと思われます。(右写真)
距離を離し、ダイオードのリードに絶縁チューブをかぶせて対策しました。
455KHzのフィルタが2段入っていますが、ワイドFM用のCFU455Cでした。手持ちがあったので、CFU455Eに交換しました。
バンド内特性 メータ特性 (F=145.20MHz)
調整後のデータのみ示します。20dBu入力でS9になるようにメータを調整しました。
高周波増幅はトランジスタ2SC1393でした。低NFのデバイス(2.0dB@200MHz)ですが、この時代に多用されたMOS FETではないことは意外でした。
受信感度は1uV入力でS/N35dBと優秀ですが、トランジスタなので混変調・相互変調が心配です。

送信部

資料によれば電力増幅はトランジスタの2SC1729です(実装時では品番が読めません)。パワーモジュールが使われ始める2年くらい前の製品ですが、パッケージの小さなトランジスタを採用して小型化を図っています。
送信パワーは10Wくらい出ています。トリマを調整し、約11.5Wまで増加しました。実装周波数の範囲内でフラットです。
ところがスプリアス特性は当初2倍高調波が-55dBでした。トリマを再調整しても、改善されません。
ここで出力回路のコイルのピッチを調整すると、-60dBまで改善することが出来ました。右写真は最終結果です。
 F=145.00MHz、 X:100MHz/div、 Y:10dB/div
デビエーションはナローに調整済みでした。

その他

性能はまずまずですが、気になる点が2つありました。
まず、周波数表示の文字が非常に小さいことです。表示板(直径4cm弱の円板)に24チャンネルの周波数を2桁で配置しているので、文字が小さくなるのは否めませんが、モービル運用時に読み取るには厳しいでしょう。
あとは背面パネルのデザインです。(私見ですが)失礼ながら、アマチュアがレタリングシートで自作したような仕上がりです。滅多に見ることはないので(特に車載後は)気にならないかも知れませんが・・・・。
EXT.VFO(外部VFO)の接続端子がありますが、発売されなかったのではないでしょうか。