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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.6.26作成
2010.10.5追記

ゼネラル GR-21

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

ゼネラル(現富士通ゼネラル)のトランシーバです。旧ゼネラルは、かつてテレビ・ラジオ等の家電製品や業務用無線機を生産していた中堅メーカーですが、アマチュア無線機はわずか3機種で撤退しました。
ワイドFM機ですが、入手したリグはナロー化されており、ナロー化の資料(冊子)もありました。
このリグの大きな特徴は、空き周波数を探してくれるサーチ機能があることで、説明書には「サーチ・トランシーバ」と書かれています。この機能は、1年前にヤエスのFT-2 AUTOで初めて採用されました。
左写真の赤いサーチボタンを押すと、水晶発振出力を電気的に切り替えて各周波数の信号をチェックし、信号が存在すればLEDが点灯します。約2秒間隔で動作を繰り返すようです。切り替えタイミングにフリップフロップの分周回路を用いているので、チャンネル数が2の4乗の16になっているわけです。
もちろん、サーチ中は送信出力は出ません。使いたい周波数を見つけたら、そのスイッチを押すとスキャンが解除されます。
なお、メインチャンネルのスイッチはありません。
音声・スケルチはオーディオでおなじみだったスライドボリュームです。また、受信周波数のズレを補正するRITツマミがあります。VHF帯のRITツマミをつけたのは、業界初かもしれません。第1局発の11.155MHzのVXOです。
上面図 下面図
ケース上面は送受信回路、下面は発振回路と受信のバンドパスフィルタ(BPF)等です。発振回路はガラガラですから、一部回路を移動すればもっと小型化出来たでしょう。
「小型化」を強調するのは、基板が非常に大きい割にネジが少なく(上基板は外周5か所のみ)、中央部が固定されていないからです。このため、コネクタピンを抜き差しすると基板が中央で大きくひずみ、心臓に良くありませんHi。
そもそも、2枚の基板の間は何もなく、基板を外すと裏の基板が丸見えです。反りやすいベーク基板ですから、基板を小さくし、最低でも中央2か所はネジで固定すべきです。

発振部

ブロックダイヤグラムを示しますが、送受信1チャンネルに水晶1個を実装し、ミックス・逓倍回路を通して送受信回路へ接続します。水晶発振は28MHz台ですが、ここに28MHzのVFOを接続することが可能で、背面に入力端子もあります(メーカーでは製造されなかったようです)。
入手したリグは16チャンネル実装でしたが、実際使えるのは145MHz台の10チャンネルだけです。周波数をカウンタを見ながら調整しましたが、1チャンネルは劣化していたので取り外し、実質9チャンネルになりました。
基板にダイオードとトランジスタがびっしりと乗っています。水晶毎の発振回路16組、さらに各チャンネル切り替えとスキャンスピード調整でフリップフロップ(FF)5組、信号の有無を表示するLEDとそのドライバ16組等で、トランジスタ56個・ダイオード92本という凄い回路です。
今ならFFはCMOSロジック、LEDは専用ドライバICですね。

受信部

受信感度が悪く、40dBu程度の信号を入力してもメータが半分くらいしか振れません。第1局発信号のレベルが低下しており、調整したらメータが振り切れるようになりました。さらに高周波増幅部のコイルを調整すると完全に復活しました。
バンドエッジで感度が低下傾向だったので、複同調回路は均一になるように調整を繰り返しました。
調整後 S特性(F=145.00MHz)
調整後の特性のみご紹介します。FMの実使用範囲に絞って調整しました。
感度は1uV入力 S/N33dB(F=145.00MHz)と良好です。
前オーナーがメータ調整ボリュームに手を加えていたのでしょう、10dBu入力でメータが振り切れたので、20dBuで目盛8になるように補正しました。
高周波増幅がトランジスタ2段なので、近接した信号の影響(相互変調)は大きそうです。影響を受ける場合、1段目の入力回路を変更してゲインを下げる方法があるようです。
右写真の赤いシールですが、「混変調でお困りの際は、この端子を切断して下さい」と書かれています。裏面にコンデンサか抵抗があったような気がします。
ところで、音声ボリュームを最低に絞ってもポコポコという音がかすかにします。低周波増幅の異常と判断、スケルチ回路を含めケミコン10個を全て交換し解決しました。
ケミコンは劣化の早いパーツですし、安価ですから全数交換したほうが手っ取り早いようです。耐圧に注意すれば、若干容量が大きめでも支障ありません。手持ち品を活用しましたが、同一規格でも小型になっているので耐圧が1ランク上の部品を利用しましょう。
また、ナロー化によってRITの可変範囲が大きすぎると考えました。可変範囲を狭める改造を試みましたが、大した効果がなかったので、原回路に戻しました。
今時のリグなら、ズレているなんてあり得ません。飾りのツマミです。

送信部

パワーは7W程度出ていましたが、バンドエッジで5Wまで落ちます。
受信回路をいじった後、気づいたらパワーが出なくなりました。
原因は送信回路の電源9Vを制御するトランジスタTR36(JA1600)の故障と判明、2SC1815に変更して対処しました。
復旧後にドライバとファイナルを調整、10Wの出力を得ました。バンドエッジの落ち込みは、パワーアンプ部が高めの周波数に同調していたことと、144MHzまでのミキサー・逓倍回路の同調ずれが原因でした。
スプリアスですが、2倍高調波が-58dBでもう一息です。
 X:50MHz/div、 Y:10dB/div  F=145.04MHz
また、上記周波数構成に記しましたがが、16MHzを9逓倍(X3X3)しており、96MHzの成分が見えます。コイルを細かく調整した最終結果ですが、これ以上は仕方ないでしょう。

その他

メンテナンスに非常に苦労するリグです。基板からボリュームやスイッチ類への配線がハンダ付けやピンコネクタであり、送受信基板をメンテするのに約40か所もの取り外し作業が必要です。しっかりとメモを取って分解しないと、再組立てで分からなくなり、悲惨なことになります。
しかも、発振基板上のバンドパスフィルタからの配線は、基板裏面でハンダ付けされています! 基板を完全に取り外すのは断念しました。数年後のリグなら、3-10P程度のコネクタ接続でしょう。
分解組立が面倒なので、今から写真をわざわざ取ることも行いません。もうメンテナンスは御免ですHi。
大きめのリグですが、常置場所で運用するだけでなくモービル機でも使えます。入手した時、モービルブラケットが付属してきました。説明書にも、運用例を写真で紹介しています。時代を感じます。
ユニークな点ですが、マイクコネクタが左右に1個ずつあります。理由は、説明書の抜粋をご覧下さい。
「同時に2つのマイクを使うこともできます」という箇所、笑ってしまうのは失礼でしょうか。