レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2007.8.11作成
2007.9.23修正
2010.10.5追記

日本マランツ C1100

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

スタンダードの小型モービル機です。中央のLED表示部とシルバーパネルのデザインは洗練されています。同一シリーズのC4100(430MHz機)と並べると、格好が良くFBです。
しかし、裏側にあるべきヒートシンクが小さく、フィンがありません。運用すると結構発熱するので、長時間の運用は心配です。
「耳が良い」ということが、このリグの特徴でしょう。SUPER DXというスイッチがあり、ONにすると感度が上昇するというものです。実は通常(ノーマル)時にアンテナ入力に3dBのアッテネータが入りSUPER DXではオフになるだけで、アンプ追加ではありません。
また、SUPER DXではAF増幅の途中にバンドパスフィルタが追加されます。AF出力の高音ノイズをカットし、S/Nの向上を図っています。無変調の弱い信号ではノイズレベルが下がることがわかります。
上面図 下面図

受信部

入手時に「音が出ません」とのこと、外部スピーカーでは大丈夫なので中のスピーカーを交換しました。
メーカー(現在はバーテックススタンダード)へ注文したところ、在庫が無いとか。ありきたりの部品ですが、直径50mmのものがこちらでは入手出来ません。ジャンクで一部分解されたC1100を入手(送料込みで1.8Kくらい)、さて交換・・・・ところが基板へつなぐコネクタの形状が違ってしました。マイナーチェンジされたようで、スピーカーの接続ケーブルもハンダ付けで交換しました。
次に第一局発のチェック、PLL出力は200Hz程度のズレで、水晶発振のトリマを調整してOKでした。
受信回路のコア類を調整しました。中心周波数の145.00MHzの信号をSGで入力し、信号のバーグラフ表示を最大にしました。高周波増幅3SK129の出力は3段のバンドパスフィルタで、バリキャップで同調周波数を可変しています。PLLのVCOへの印加電圧を利用して同調しており、2MHzの範囲でフラットです。
調整でおおむねS4つのアップ、SUPER DXでさらに2つのアップです。
調整前 調整後 S特性(f=145.0MHz)
調整前・調整後1:ノーマル
調整後2:SUPER DX
調整後の感度は以下の通りで、初期規格を満足しました。
  0.5uV入力 S/N29dB(ノーマル)  S/N32dB(SUPER DX)

送信部

出力が出なくなる現象が頻発しました。電源の電流メータは3A以上を表示し、パワー表示のLEDは全て点灯しています。
このリグは、アンテナを接続しないと同様の現象が出ます。パワーモジュール出力後にパワー検出をし、ローパスフィルタを通してからダイオードスイッチ・バンドパスフィルタを経てアンテナへ出力されます。ダイオードスイッチ以降が怪しそうです。
簡易高周波プローブを当てて出力をチェックしたところ、ダイオードQB05(MI308)のカソード側で出力が出ていません。試しにダイオードを短絡すると、アンテナ出力から10W出てきました。これか!と、ダイオードを交換しましたが、変化ありません。回路図をじっくりとチェック、ダイオードQB07を交換したところ正常に動作するようになりました。
ダイオードが劣化したため、矢印で示すルートのDC電流が流れず、ダイオードスイッチが動作しなかった
ダイオードはジャンクから取りましたが、基板を取り外すのに非常に時間がかかり苦労しました。これは取り付けも大変というわけで、本機に取り付ける時は基板表面でリードを残して切断し、部品をハンダ付けしました。邪道の方法でしょうが、カットアンドトライを繰り返すには最善と思います。
ところでケミコンが表面側で交換されていました。メーカー以外で修理されたのでしょうか、手間をかけずに修理したい・・・・考えることは同じですね。
送信周波数は300Hz程度低めだったので、これもトリマを調整しました。
パワーはバンド範囲内で最大12W出ましたが、発熱の心配があるので、ちょうど10Wに抑えました。バンド内でフラットです。
スプリアス特性は2倍高調波で-60dBで、ギリギリですが問題ありません。
  X:100MHz/div、 Y:10dB/div、 F=145.00MHz

その他

『コンパクト』とは、裏返せば集積度が高いということです。分解修理には大変苦労するリグで、メーカーのサービス・修理を自前で行う販売店は(他社製品と比べて)苦労したと思います。
狭いスペースに無理やり部品を詰め込んだ感があり、信頼性・耐久性にも疑問を感じます。長時間の運用は要注意です。
スタンダードの製品はサービスマニュアルが入手しづらいのが難点です。チップ部品では回路が読めません。
その後、左下のパワー切り替えスイッチ(LO)が外れる不具合が見つかりました。これもジャンクのC1100と交換しました。
ジャンクのC1100は、この後430MHz機のC4100の修理で部品を取ったため完全にバラバラになりました。他社製品を含めて共通部品が多いので、まだ部品活用に一役立ってくれそうです。