レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2005.11.6作成
2007.10.3修正
2015.5.17追記

タケダ理研(現アドバンテスト) スペクトラムアナライザ TR4131

☆周波数範囲 10kHz〜3.5GHz
☆周波数スパン 4GHz〜100kHz、ZERO
☆周波数表示確度 ±10MHz
☆分解能帯域幅1kHZ〜1MHz
☆振幅表示範囲 LOG 80dB 10dB/div、
LINEAR 10div
☆振幅直線性 LOG ±0.15dB/1dB、
   ±1dB/10dB、
   ±1.5dB/70dB以上
☆基準レベル LOG -69dBm〜+40dBm
☆RF入力 50Ω 最大+20dBm
☆アッテネータ 0〜50dB
☆形状 300W X 180H X 440D 約17kg

装置の説明

高周波の周波数成分の測定器として、一番欲しかった測定器です。オークションでやっと入手しました。古い機器(だって、アドバンテストではなく「タケダ理研」なのですからHi)です。
スペックは何を書いたらよいか分かりませんので、一応上記の程度にしておきます。
一番の目的は、送信機の目的外周波数成分(スプリアス)の評価です。電力計表示が最大になるように調整することが一般的ですが、調べてみると不要な成分まで大きくなってしまい、電波法の規定を満足しないことがあり得ます。可能な限りクリーンな電波にしなければなりません。
また、送受信フィルタの特性評価にも活用出来ます。フィルタを作ったが通過すべき周波数でロスだらけ、減衰させたい周波数で効果が得られていない・・・こんな苦労もありましたが、定量的な評価には有効です。

入手して最初に気づいたこと

校正用の基準発振(200MHz)を入れて電源スイッチON。波形らしきものが見えました。周波数スパンが4GHzまでのようなので、0〜500MHzくらいにしてみよう、とレンジ切り替えスイッチを押したのですが変化しません。押したタッチも変で、押した後の戻りがありません。
しつこく何回も押すと反応があって周波数レンジが下がります。他のプッシュスイッチも同じで9割が使えない状態でした。
オークションの説明で、「各種機能(押しボタンSW)の動作は知識がないためわかりません」とあります。こりゃ「押せないからわかりません」という意味?「ジャンク」と明記されているとはいえ、「ヤラレタ」と思いました。
このスイッチが故障するケースは多いようで、この機器の弱点だとか。
気を取り直し、スイッチを交換することにします。さて、このスイッチに関する情報は・・・・とネット検索すると困った情報がでてきました。
2年前の話ですが、ジャンクで入手した人が同じくスイッチを入手しようとメーカーのサービスへ問い合わせたら「販売しません」との事。困って某掲示板でお知恵拝借の書き込みをしたところ、参加者のお一人がある代理店を通じて入手し譲ってくれた。その甲斐あって修理が出来たが、サービスには困ったものですね・・・・・・、だそうです。
いやーな話を見たのですが、すでに投資は済んでおり後戻りは出来ません。ダメモトでサービスへTEL、折り返し連絡をくれることになり、待つこと30分・・・・「代理店を紹介しますので、ここからご注文下さい。品番は・・・・・」と意外?なほどスムーズな回答!
早速隣市の代理店にTEL、取り扱い説明書とともにスイッチを発注し10日程度で入手しました。
2015.5.17追記:
すでにメーカー経由の入手は困難です。もちろん秋葉原の店頭にも無いでしょう。
ごくまれに代替え品がオークションで販売されることがあります。

早速修理にチャレンジ!

いよいよ分解作業開始、フロントパネルの止めネジを外すと結構簡単に基板が出てきました。
(右写真)
プッシュボタンを外し、スイッチを全てハンダゴテで外します。久しぶりの両面基板の作業ですから、スルーホール(プリント基板の表と裏をつなぐ穴)を壊さないようにハンダを吸い取って1個ずつ取り去ります。
その後、新しいスイッチを取り付け、スイッチが基板に垂直になるように確認します。スイッチを押すと従来の跳ね返り感があり、今回は大丈夫そうです。最終的にボタンを取り付け、フロントパネルとネジ止めした時にボタンの引っかかりがないか確認します。
左の袋に入っているのが、交換した故障スイッチです。
1個105円、10個単位で購入可能*ですが、全部で29スイッチあるのに30個しかオーダーしなかったため、新品1個を壊した時はドキッ!としましたHi。現在予備がありません・・・。
*2005年当時の価格です。2006年ころまでは、同価格で入手出来ました。

動作チェック

組み立てを終えてチェック、スイッチはどれも快調に動いてくれます。
精度が気になるところですが、手持ちのSG2台で同レベルの信号を入れてみました。いずれも入力-30dBmで表示値は-33dBmと、少し小さめです。
2台の機器が同程度ずれている可能性は少ないはずなのでスペアナ側の問題と判断、フロントパネルにあるボリュームでレベルを調整しました。
校正用の200MHz出力CAL信号がフロントパネルから出ているので測定すると、これまた-3dBm低く出ます。ケース下に調整箇所が多数あり(右写真)場所が分かったので、ボリュームを調整しました。
文字が印刷されている調整箇所はおおよそ推測して調整出来ますが、何も書いていないところはさすがに触れる勇気がありません。
SGのレベルを変えて縦軸の振幅レベルの直線性を見ましたが、-70〜0dBmまで大丈夫です。アッテネータも正常に動作しています。
1-990MHzまでほぼフラットな特性なので、これでスペアナ・SG(旧HP、現アジレントの8656B)が使いものになることがわかりました。
横軸の周波数直線性ですが、スパン10MHz(1MHz/div)以下で少し目盛りとズレが生じます。ここは目をつぶります。分解能がないので、送信部のIMDを測定することは出来ません。
SGで20MHz、-10dBmの信号を入力したときのスペクトルが左写真です。横軸の範囲が0〜200MHzで20MHz/div、縦軸が-80〜0dBmで10dB/divです。
40MHzで-58dBm、80MHzで-62dBmのスペクトルが見えます。2倍・4倍の高調波のようです。一流メーカーのSGでもこんなものでしょうか。それとも経年変化でしょうか。

課題

マーカー機能で表示される周波数の数値がずれています。
マーカーを使うとスペクトルが出ている周波数を数値表示しますが、レンジにもよりますが約6-10MHzずれます。取り扱い説明書には調整方法はありません。
説明書に「周波数表示確度±10MHz」とありますが、この範囲内という意味では正常なのでしょうか。
基本ブロックダイヤグラムを見ながら、これから調整箇所を検討するところです。
結論ですが、価格相当の買い物でした。取扱説明書はA4サイズ約150ページで製本されていますが、価格は\9,000でした。必要なものですし、コピーは著作権の問題もありますから止むを得ない出費でしょう。