レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.6.17作成
2010.10.5追記
2015.4.24追記

DAIWA PS-304

☆出力電圧 非公開
☆出力電流 非公開
☆出力電圧変動率 非公開
☆リップル電圧 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開

リグの説明

ダイワの安定化電源です。公称最大出力は30Aの製品で、出力100Wクラスのトランシーバに最適なシリーズパスレギュレータです。
現在は小型かつ低リップル・低ノイズのスイッチングレギュレータが市販品の主流になりつつありますが、当時はリップルや発生ノイズを抑える技術がまだ確立されていませんでした。しかし、オーソドックスなシリーズパスレギュレータは自作も可能で、また修理も比較的容易です。
この製品はずっしりと重く、形状も大きいのが特徴です。背面に大きな放熱器がありますが、冷却ファンはありません。
他社の20Aクラスの小型電源も持っていますが、冷却ファンが付属しており高温になると頻繁にファンが回り、回転音が気になります。騒音を出さないこの電源は大変好感が持てます。
出力端子はフロントパネルに3組あり、複数のリグを接続出来ます。左の大きなターミナルが30A、右のターミナルが合計6Aです。
また出力電圧が可変出来ますが、センタークリック型のボリュームを使っており、中央で13.8Vにセットします。電圧の設定誤差やミスによって生ずるトラブルを防ぐためにも、センタークリックで固定する機能は必須でしょう。

出力が出ない!

出力が出ないジャンクを2000円台で購入しました。ケースを開けると、下のような構造になっていました。 (修理後の写真です)
手前に見える基板で電圧制御を行いますが、汎用レギュレータではなくオペアンプ(uPC324C)とトランジスタ1個を用いた回路です。この出力をトランジスタ2SD880と2SC3281 3個のダーリントンに接続し、出力電流を得ています。過去の経験から、破損箇所は出力トランジスタ2SC3281だろう・・・と推定していました。
ところが回路図をwebで入手し調べてみると、もっと前段の基板上のオペアンプから出力制御電圧が出ていません。フロントパネルの電圧設定ボリュームからの電圧も0です。結局、ツェナーダイオードで発生した基準電圧を設定する半固定抵抗5Kオームの両端がオープン(抵抗値無限大)になっていることが判明しました。
手持ちの抵抗に交換したら、しっかりと出力が出ます。摺動部の接触不良によるオープンは多数経験していますが、両端のオープンは初めてで、驚きました。
次のチェックで、メータが電圧も電流も全く動かないことが判明しました。これまた半固定抵抗の故障です。最大電流制限の半固定も含め、計3個を交換しました。
右写真が交換した半固定抵抗ですが、すでに製造されていません。上写真の基板に乗っている汎用品(白い部品)で代替しました。
2015.4.24追記:
4個のボリュームの調整方法のお問い合わせを数回受けたので、追記します。
上にも書きましたが、4個のボリュームは以下の機能があります。
  1) 基準電圧の設定ボリューム
  2) メータの電圧表示設定
  3) メータの電流表示設定
  4) 出力保護回路の最大電流設定
回路図は「PS-304」「MANUAL」で検索すると、PDFファイルがダウンロード可能です。海外仕様の回路ですが、そのまま使えます。
それぞれのボリュームがどの機能に対応するか判断して下さい。回路図を読む努力が出来ない方は、レストアはしないように。
1)、2)の調整は、マルチメータがあれば可能です。
3),4)は、調整が面倒です。精度はシビアに考えず、おおよそに止めるべきでしょう。
調整には負荷抵抗と大電流が測定出来る電流計が必要ですが、10Aを超える電流計をお持ちの方は少ないでしょう。アマチュアでは抵抗を測定して電流値を推測すれば十分です。
問題は抵抗で、13.8V出力に2オームの抵抗を接続すると電流は6.9A、電力は95Wです!電流値較正だけなら電圧を7Vくらいまで下げても可能ですが、1オームを接続すると電流7A、電力49Wです。
ということは、3組を並列接続して約20Aの負荷になります。
こんな抵抗を用意してまで精度を求めますか?
荒っぽい対処方法をご紹介します。半固定抵抗を取り外し、摺動部ー両端間の抵抗を測定します。今回の抵抗は抵抗体と金属端子のカシメ不良なので、加圧すれば測定は可能なようです。(今となっては確認出来ませんが)
新しい半抵抗をこの抵抗値に合わせ込んでからハンダ付けします。ある程度の精度は得られるはずです。

動作テスト

負荷をかけて特性を取りたいのですが、負荷抵抗の手持ちが不足しており、18Aまでしか実験しませんでした。13.8V10A出力時のリップルは、約4mVでした。一応合格ですが、18Aで10mVになります。
小型ケミコン6個を全て交換しましたが、変化ありません。ダイオードブリッジに接続されたケミコン(4700uFを8本並列)が劣化した可能性もあるので、後日入手し交換したいと考えています。

その他

制御回路出力は、左下の30A出力端子に3.5SQの被覆線で配線されています。さらに、この端子から右下の出力端子2組に配線されていますが、太さが0.5SQ程度しかありません。(左写真)
出力電流6Aを流すには細すぎます。2.0SQの電線に変更しました。
また、出力端子のケミコン220uFの耐圧が16Vでした。出力が可変出来、最大出力電圧が16Vなのに、耐圧マージンが足りません。25V耐圧品に交換しました。
常識レベルの設計余裕度は持っていただきたいものです。