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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.11.9作成
2010.6.14追記
2010.10.5追記

日章工業 NP-33M

☆出力電圧 非公開
☆出力電流 非公開
☆出力電圧変動率 非公開
☆リップル電圧 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開

リグの説明

日章工業の安定化電源NP-33Mです。1970年代の製品でしょうか、データがありません。
10Wモービル機程度の電源として発売されたようです。入手したジャンクリグのセットに含まれていました。
電圧をモニタするメータがあり、背面に電圧調整用のボリュームがあります。ハンディ機の電源には電圧可変が役立ちますが、個人的には電圧固定で電流をモニタするほうが好みです。
内部は電源トランスと安定化回路の基板があります。安定化回路は、基板上のトランジスタ3個、背面のパワートランジスタ1個で構成されたシンプルな回路で、電流保護回路もあります。
動作するので、負荷をかけて特性を調べてみました。
出力13.8Vで電流を3A流すと、出力のリップルが10mV以上あります。
   右写真: X:5ms/div、 Y:10mV/div
ケミコンを追加しても変化ありません。プリントパターンから回路図を起こし検討しましたが、電流増幅不足のようです。プリントパターンのレイアウトも疑いましたが、トランジスタの劣化か回路設計上の問題と考えました。
ディスクリート部品で回路を構成するよりも、今は安価なレギュレータICがあります。手持ちのLM317Tにパワートランジスタ1個で回路を作りました。
トランスの二次側はAC20Vです。電流が取れそうなので、整流ダイオードは手持ちのブリッジ(5Aクラス)にし、整流後のケミコンも2200uF 25Vでは容量・耐圧とも不十分なので(ブリッジ出力で最大27V出ます!)、2200uF 50V 2本にしました。2本にしたのは、単にスペースの都合と手持ちのパーツを活用しただけで、他意はありません。パワートランジスタは従来の2SB612を使用しました。
ジャンク箱にあった穴あき基板に回路を組み、従来の基板と交換しました。完成後、ブリッジが暖かいようなので、ヒートシンクを追加しました。
 ところで、パワートランジスタとヒートシンクの接触面にシリコングリスが無く、ネジ止めしてあるだけでした。シリコングリスを追加しましたが、これは手抜きかも?

評価

リップルは全く気になりません。出力13.8Vで3Aはらくらくクリア、5.5A流してもリップルが1mV以下です。
   右写真: X:5ms/div、 Y:2mV/div
6A以上流すとリップルが増大しますが、ブリッジの順方向電圧降下・パワートランジスタのVCEが増えますから当然のことです。
トランスは5.5Aでも耐えますが、パワートランジスタがかなり熱くなります。設計上の検証はしていませんが、無理な使い方でしょうから連続4.5A程度を目安にしたほうが賢明でしょう。
そもそも、パワートランジスタのヒートシンクが小さすぎます。
(2010.6.14追記)
出力電圧の評価が抜けていたので、追加します。
ターミナルの出力電圧を無負荷時で13.8Vにセットし、5.5Aの電流を取り出しました。出力は13.7Vと、わずか0.1Vしか低下せず、大変良好でした。
配線にはコツがあります。
  1) 電流値の大きい太線部を1.25か2.0SQで配線する
  2) ブリッジ出力のコンデンサ出力をレギュレータ回路に入力する
  3) レギュレータの出力電圧検出は、ターミナル端子から行う(基板上ではない)
これらに留意せずに配線したら、13.8V → 13.2Vまでドロップしました。トランシーバを接続して受信から送信に切り替えると、メータが針2本分くらい動きます。
下の回路は、配線をイメージした図です。定数は省略しました。

その他

発売当時のモービル機は、電源から3-3.5Aも流せれば十分でした。その後PLL化が進み、周波数表示がLEDになったり照明ランプが追加される等で消費電流が増加しました。10W機でも4-4.5A程度は欲しいところです。
電圧可変の都合もあったのでしょうが、トランスの二次側が20V出力と高めです。出力を制御するパワートランジスタで熱となるので、出力を約14Vで固定するならばAC18V程度が適当でしょう。