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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2014.11.5作成

リーダー電子 LSG-11

☆周波数 非公開
☆出力 非公開
☆AF変調周波数 非公開
☆消費電流 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開
LSG-11

リグの説明

リーダー電子の信号発生器です。一般的には「テストオシレータ」と呼ぶ機器で、1960年代に発売されたと思われます。入手経路は忘れましたが、30年以上前に手元にありました。
フロント面自励周波数は120Kcから390Mc(当時はKHz、MHzではなかった)までを、バンドAからFまでの6段階で切り替えています。
レンジ 周波数範囲
A 130Kc-320Kc
B 320Kc-1000Kc
C 1Mc-3.2Mc
D 3.2Mc-11Mc
E 11Mc-38Mc
F 38Mc-130Mc
3倍高調波120Mc-390Mc
周波数表示部最も高い周波数のバンドFは38-130Mcまでです。130Mc以上は、バンドFの3倍高調波を利用します。厳密に言えばゴマカシ感!?がありますが、一応ダイヤルメモリは振ってあります。
周波数調整のダイヤルは扇型のバーニアダイヤルです。中央のツマミ1回転半でダイヤル180度が回ります。
信号に低周波変調をかけることが可能で、400Kc・1000Kcに切り替えます。また、水晶を差し込んで周波数を固定した発振器としても動作します。
英文のマニュアルがネットから入手出来ました。回路図もありました。
以下、単位を一部を除きMHz、KHzと表記します。

内部の解析

下面上面
フロントパネルのネジを外すと、フロントパネルと本体シャーシが一体になって取り出せます。
真空管2本による構成で、双三極管12BH7Aで高周波発振およびバッファ、6AR5で低周波発振及び水晶発振を行っています。発振回路はシンプルで、出力レベルを一定に制御する回路も無いので、出力何dBuという精度も表現も意味がありません。
信号を受信機に入力し、大小を見ながら調整出来れば良いのです。
出力回路はカソードフォロアで低インピーダンスになっていますが、50/75オームではありません。受信機と接続する場合、アンテナ端子には200-1Kオームの抵抗を、IF回路やDC電圧が印加されている箇所は50-1000pFのコンデンサを、それぞれ直列に入れるように記載されています。

基本メンテナンス

メンテナンス後発振はするようですが、レベルが低いようです。また、低周波変調がかかりません。
まず最初にやるべきことは、コンデンサの交換です。ペーパーコンデンサを多用しており、劣化は否めません。電源の電解コンデンサとともに交換しました。これで変調がかかるようになりました。
バンド切り替え・AF変調切り替えのロータリースイッチ、出力レベル切り替えのスライドスイッチも、接触不良が原因で出力が不安定です。アルコールでウエハーと接触部を洗浄しました。これで発振出力も改善されました。
出力コネクタを変更出力コネクタは特殊なものです。ケーブルを紛失し、対応したオスコネクタが無いので、BNCコネクタに交換しました。
穴を広げずに済みますし、他の計測器とケーブルを共有出来て好都合です。

追加したメンテナンス

交換パーツヒューズがありません。以前ディップメータを修理した際に、ヒューズが無いので追加したことがありますが、今回も同様に追加しました。上写真をご参照下さい。
ネジで固定するヒューズボックスのほうが好ましいでしょうが、穴あけの手間をサボッて(Hi)プラスチックのヒューズホルダを用い、ロックタイで固定しました。安全には代えられません。
また、ケースからのACコード取り出し口の穴にグロメットがありません(元々は付いていたのかも?)。ACコードにキズが付くと感電の原因になります。穴を広げ、手持ちのグロメットを追加しました。
ACコードも劣化しており、被覆をむくと銅線がさびています。ジャンクのオーディオから取ったACコードと交換しました。
グロメットを追加困ったのがツマミです。ネジが錆びており交換が必要ですが、旧JIS規格のネジ(M3 P0.6)で入手困難です。
必要なネジは長さ8mm、しかし入手可能なものは最短で10mmです。
シャーシのような薄い板は、現在のISOネジに合ったタップを立てれば変更可能ですが、ツマミの金属部には実行不可能です。ジャンクボックスからネジを探しましたが見当たらず、結局10mmの新品ネジを代用しました。
ナベネジの頭が飛び出していますが、ご愛嬌というところでしょうHi。

各種特性

最大出力特性を示します。周波数およびレンジのよるレベル差はかなり大きくなっています。
Fバンドの70MHz付近で落ち込むのは、発振回路の共振の影響と考えます。出力特性
周波数変動特性F=100MHzにおける周波数変動を測定しました。説明書では、電源を入れてから2-3時間エージングすることを推奨しています!?が、今回は電源ON後から5分経過してから測定しています。
 F=100.000MHz  室温20℃
簡単な発振回路でかつ温度補償もないので、こんなものでしょう。
100MHzの出力スペクトルついでに、100MHzのスペクトルをご紹介します。2倍の200MHz・3倍の300MHzの信号は100MHzに比べ-36dB、-20dBです。
 X:50MHz/div、 Y:10dB/div
高調波成分を多く含むからこそ、120-390MHzでも使えるわけですが、この点は高級機種の標準信号発生器とは大きく異なります。
ここで、Fレンジの原発振出力と2倍・3倍高調波出力の周波数特性を測定しました。
3倍高調波は信号レベルが小さくなり、130-260MHzは実用上厳しいようです。この範囲は2倍高調波を利用する必要があります。
また2倍を活用しても136MHz付近(原発振で68MHz)に出力最小点があり、144MHzの出力が弱いのがネックです。
高調波を含む出力特性
注記:
左グラフは、例としてF=100MHzを出力した際に
 原発振 100MHz
 2倍高調波 200MHz
 3倍高調波 300MHz
が観察されるので、それぞれのレベルをプロットした

その他

ラジオの修理なら十分使えます。周波数の読み取り精度は高くないので、455KHzや10.7MHzで中間周波数の調整をする場合は、周波数カウンタを併用すべきです。
水晶を挿入するソケットは、FT-243型です。今や化石!?となった部品ですが、手持ちが数個ありました。差し込んでみると、面白いことに気づきました(英文説明書を詳しく読んでいませんでした)。
水晶発振子を追加
X:0-200MHzの特性(20MHz/div)
100MHz付近を拡大
100MHzを中央に10MHz/div

発振周波数100MHz
水晶発振8.375MHz

X:注記参照
Y:10dB/div
自励発振周波数を100MHzに設定し、水晶発振子8.375MHzを差した場合です。8.375MHzとその整数倍のスペクトルが見えますが、同時に100MHz+-8.385MHzのスペクトルも観察されます。
回路で原発振と水晶発振を混合しているので、このような特性になるのですが、何かの用途に使えるでしょうか。