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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2013.6.13作成

アルインコ EL-2FB

☆周波数・モード 非公開
☆出力電力 非公開
☆入力電力 非公開
☆受信アンプ 非公開
☆電源 非公開
☆消費電流 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開
EL-2FB

リグの説明

フロントパネルアルインコの144MHzリニアアンプです。取説によれば、8-10W入力で50W出力を得ます。数年間、FMのDXQSOで活躍してくれた実績があります。
外観からはヒートシンクが見えませんが、上半分のカバーを外すとヒートシンクが現れます。
受信アンプも内蔵しており、受信アンプのみでON-OFF可能です。キャリアコントロール回路も入っており、FMで運用する場合ならリレー制御の信号は不要です。
アンプ部ヒートシンク部
上の写真は、以下に記したメンテナンス後の状態です。オリジナルから基板を1枚交換・1枚撤去しています。
送信アンプ基板上の電解コンデンサ4本を最初に交換してから、作業に着手します。

気になる通過パワーロス

オリジナル回路久しぶりにメンテナンスするにあたり、基礎データを取りました。すると、送信アンプを動作させずにスルーしても、トランシーバの出力が13Wから9Wまで落ちます。
トランシーバからの出力は、送信/受信切り替えのリレー2個(1回路)と受信アンプのON-OFFリレー1個(2回路)を通過します。これらを通さないとパワーロスは1W以下になります。リレーを分解し、接点を洗浄しましたが解決しません。
144MHzのリレーは、高周波で実績のあるものが必要と考えました。試しにプラスチックカバーを銅テープで包み、シールドしても改善されません。
トランシーバ本体の特性 アンプのリレーを通過させた特性
トランシーバ本体の特性 アンプを接続(リレーのみ通過)
トランシーバ本体のスプリアス特性と、本アンプの電源を入れずにリレーのみを通過させた場合のスプリアス特性を示します。
  F=145.04MHz FM
  Pi=13W
 (トランシーバ単体時)
  X:50MHz/div、
  Y:10dB/div
リレーの通過ロスあるいはミスマッチによって反射波が生じ、2・3次高調波が増加したと考えられます。2次の-49dBは問題です。
但し、アンプをONにすると2・3次高調波は-60dB以下になります。アンプの入出力回路でマッチングが取れるからで、スプリアスはアンプをOFFにした場合のみに生ずる不具合のようです。
リレーを交換互換性のある新品リレーを探しても効果が期待薄なので、高周波特性の良さそうな手持ちの2回路リレー(AE1323)で送信/受信を切り替えます。基板は紙エポキシ生基板の銅箔を削って製作、受信アンプは後述する問題もあり撤去してロス低減を図りました。
リレーのパワーロスは0.7W程度に収まりました。
ところが、上記同様リレーを通過させた場合のスプリアス特性を見ると、2次以上の高調波が約-45dBしか減りません。(左下写真)
  F=145.04MHz、 Pi=10W
  X:100MHz/div、 Y:10dB/div
この問題は、リレーに起因する問題ではないようです。
結合コンデンサ変更前 コンデンサ変更後
コンデンサ3pF コンデンサ1pF
調べた結果、キャリアコントロール回路でトランシーバ出力の一部を拾い出すコンデンサ(オリジナルは3pF)が大きすぎることが判明しました。手持ちの1pFに変更したら、改善されました。(右下写真)
入力1Wでも、問題なくキャリアコントロールは動作します。
コンデンサは数pFであれば何でも良いと考えていましたが、V/UHFになるとパワーロスだけでは済まないことが分かりました。

送信アンプの問題点

リレー改善前にパワーの入出力特性を調べました。スルー入力2Wで出力35Wが得られますが、以降飽和します。大目に見ても、入力4W/出力50Wが限界です。
(この入力は、本アンプのリレーをスルーしたトランシーバ出力で、ロスを含む値です。)
アッテネータ追加トランジスタは2SC2630(取説では2SC2382)ですが、10W入力は明らかにオーバードライブです。今更ですが、この状態で使っていたことに驚きました。
リレー交換後、同様に入出力特性を調べました。リレーのロス減少分だけ入力は増加し、さらにオーバードライブになります。入力8W以上は完全に飽和しています。
トランシーバ出力を減らさねばなりませんが、パワーアンプの入力にアッテネータがありません!。空きスペースに3dBのアッテネータを追加しました。
不足するパターンは、GNDパターンをカッターナイフで削り作成しました。現在、入力側(トランシーバ側)の抵抗が熱くなります。追って耐電力の大きな抵抗に変更します。
この変更で、10W入力に対し出力50Wが得られました。入出力の直線性は改善され、安心して使えます。50W以上は出してはいけないアンプですHi。
入力−出力特性スプリアス特性 スプリアス特性も問題ありません。
  F=145.04MHz、
  Pi=10W、 Po=50W
  X:100MHz/div、 Y:10dB/div

受信プリアンプ

受信アンプ基板の問題点受信アンプは、当時有名だったJ-FET U-310です。ならば実用になるはず・・・と言いたいところですが、回路実装上の欠陥がありました。
受信アンプ基板は、送信アンプ基板の横にL型金具で垂直に取り付けられています。出力回路のコイルは空心で、カバーケースに近いため、金属ケースの影響でインダクタンスが変化し、調整点がズレます
実際、カバーを外して調整した後にカバーを閉めると、アンプがアッテネータに化けましたHi。
L型金具2個のうち1個を外し、基板をケースから離すことで逃げていましたが、さすがにこれは問題です。
前述のリレーロスの問題もあり、アンプは撤去しました。必要に感じたら、追加を検討します。

その他

遅まきながら、自信を持って使える状態に改善しましたHi。
キャリアコントロール回路の影響は、落とし穴です。数pFのコンデンサで高周波を拾い、ダイオードで整流するだけの簡単な回路ですが、インピーダンスが乱れてSWRが悪化するようです。