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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2012.7.31作成

アルインコ DM-130MV

☆出力電圧 非公開
☆出力電流 非公開
☆出力電圧変動率 非公開
☆リップル電圧 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開
DM-130MV

リグの説明

フロントパネルアルインコの20A電源です。ハムショップの売り出しで購入しました。出力電圧固定の電源をいくつか所有していましたが、電圧が可変出来て20A程度出力可能なものが欲しいと思っていた時でした。
出力端子は前面に3組、背面に1組あります。背面はM3ネジの出力端子なので、小電流の用途しか使えません。ハイパワーリグの電源は前面左のターミナルから取ります。
実測ですが、電圧は3.0-15.5Vまで可変出来ました。

内部の解析

内部の状態左写真がカバーを外した際の内部の様子です。
フロントパネル裏に、制御回路の基板があり、隣に制御トランジスタ(2N3055 X 3)の載ったヒートシンク、さらに電源トランスと並んでいます。
背面側に大型ケミコン(33000uF!)と冷却ファンが配置されています。
多くの方はお分かりでしょうが、ファンとヒートシンクの間にトランスがあるため、ファンの風が流れにくくなっています。
ファンは背面から外気を吸い込み、ヒートシンク周辺の長穴から出て行きますが、トランスとヒートシンクが逆に配置するのが一般的ではないでしょうか。
また、ヒートシンクも大きさの割にフィンが少なく、20A電源の冷却には見た目で不十分です。20Aで連続運転すると、すぐに冷却ファンが動作するのは、この放熱設計が十分ではないからです。

改善作業

制御回路は汎用IC 723(DIP)を用いたシンプルな設計です。回路図は取説にありませんが、海外のwebで同一シリーズと思われるDM-130MVZの回路図を入手しました。
ほぼ同じ回路で、回路図は出力の2N3055が4本パラに接続されていますが、本機は3本です。コストダウンするとともに、ダイオードブリッジを取り付けて放熱をしています。
まず困ったのが、電圧計が振れないことです。。電流計は振れるのでハンダ不良を疑いましたが、テスターでは導通があります。分解することにしました。
分解はフロントパネルを固定している下のネジ2本を外しますが、基板と制御トランジスタを接続する配線が短すぎて横に寝かせることが出来ません。ACコードとトランス1次側の配線も、出力回路から背面端子への配線も短すぎます。
メンテナンスがやりにくいこと、この上ありません。
結局、トランジスタへの配線を全て長くし、ACコードはケーブルブッシュを交換して内部長を長くしました。
背面への配線は、止めネジを外せば対応できるので、我慢することにしました。
基板のハンダを10箇所以上除去し、基板を外すとメータ(ラジケータ)が見えてきます。メータを取り出すと、右写真のように針が目盛板に引っかかっていることが分かりました。
原因は、ラジケータの背面のプラスチックが変形してU字形に反ったためです。熱による変形でしょうか。
フロントカバーを外し、ドライヤーで暖めて手で曲げて修正しましたが、あまり改善されません。針を曲げて目盛板との距離を稼ぎました。
電流計も同様の症状があったので、同じ対応を行ないました。
また、基板にケミコンが2個あったので念のため交換し、再組立しました。
トランスにサビが見られますが、現状のままにしました。

特性評価

負荷を加え、電圧変動とリップルを評価しましたが、リップルが意外なほど小さく、13.8Vで20Aの電流を流してもリップルが3mV以下でした。オシロの写真は省略します。
ダイオードブリッジの整流出力に33000uFのケミコンが入っているからでしょうか。意外なほどに安定なのにびっくりです。
また、前面ターミナル端子からの出力電圧の変動もほとんど無く、13.8V出力で電流を0Aから20Aに変えても変化は10mV以下(手持ちのデジタルテスターで測定しても分からず)です。制御回路出力をターミナルのネジで直結しているので、配線によるドロップが無いのです。

その他

背面パネルが錆びていたので、サンドペーパーでサビを落とし、亜鉛メッキスプレーで塗装してみました。
右写真は背面と未処理の下面を比較するために撮影しました。 
処理前の写真は撮りませんでしたが、結構きれいになることが分かりました。
亜鉛メッキ特有の灰色のメッキには役立ちます。スプレー・乾燥で3時間くらいあれば完成するので、シャーシの防錆処理に今後も活用していく予定です。
金色のクロメートメッキのスプレーがあれば、レストアに大変役に立ちそうです。液体でも技術的に可能なのでしょうか。