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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2014.5.26作成

DAIWA CSW-115

☆周波数 非公開
☆入力インピーダンス 非公開
☆出力インピーダンス 非公開
☆最大通過電力 非公開
☆挿入損失 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開
CSW-115

リグの説明

フロントパネル ダイワのSWRメータ内蔵アンテナカップラCSW-115です。3.5-28MHzでアンテナのインピーダンスマッチングを取ります。SWR計も内蔵しており、チューニングを取る際のSWR計としても動作します。
 カップラを使わずにSWR計としても利用出来ます。
 以前紹介したSWR計SW-100に似たデザインですが、同HAMSOKUからのOEM品のようです。
 手元に取扱い説明書はありません。
 パワーは100Wまで測定出来ます。パネルにはPEP200Wと書かれており、ピークで200Wであることに注意が必要です。
 また、SWRの表示目盛が3段階に分かれて表示されています。通過型SWR計は、電力を供給してから進行波側(FOR)をフルスケールにし、反射波側(REV)に切り替えて読み取ります。
 REV側は電流が少ないため、ダイオードの順方向特性の影響を受けます。ローパワーではREV側の電流が少なくSWRを小さく表示するため、目盛で補正をかけています。

内部の解析

内部の構造 側面のネジを外し、中身をチェックしました。コイルはステアタイトに巻かれていますが、線径は1.0mmと細く、直径は30mmと小さめです。バリコンのギャップも小さいので、やはり100W連続はきつそうです。
  背面のM型コネクタが3個あり1個はリグ側、残り2個はカップラを通さずSWR計として動作するアンテナ(Aとします)とカップラを通したアンテナ(Bとします)と表示があります。
 背面のスライドスイッチで切り替えます。カップラの整合回路はパイ-C型です。
基本回路 回路を調べて、問題が理解出来ました。基本回路(バンド切替を含まない)を左に示します。
 カップラを使用するとアンテナAとBが接続されてしまいます。スライドスイッチはアンテナ切替器・・・と勘違いすると大変なことになります。

アンテナ同時接続の影響

 アンテナBとカップラで整合を取った場合のロスを、アンテナAを接続・非接続にした場合で比較しました。
 アンテナAに何も接続しない(ANT A開放)状態で整合を取ると、通過ロスは1dB以下でした。
 しかし、アンテナAに50オームのダミーロードを接続すると通過ロスは約3dB増加します。理論上もその通りですが、アンテナAに目的周波数に合わないアンテナがあったとすると、ミスマッチが生じます。
 あくまでも、理想的なアンテナ負荷があった場合です。
損失特性 凡例の数値は、マッチングを取ったレンジを示す
 ANT Aが開放されていれば、上下のバンドで整合を取ることが可能

 例:14MHzレンジでも、10MHz・18MHzで整合可能 
 アンテナ接続には十分な注意が必要で、『アンテナはいずれか一方だけに接続する』ということを忘れないことです。

特性評価

 SGとスペアナの間にチューナーを接続し、出力が最大になるように調整した後に、周波数をスイープして特性を取りました。もちろん、アンテナAは何も接続しません。
周波数特性
 14MHzでは約30MHz、21MHzでは約42MHzに減衰量が減少しています。記載していませんが、28MHzでは70MHz前後にピークがあります。

改造実験

 上記の回路図と実装状態を比較すると、多くの問題が見えます。
 まず、入出力コネクタのGNDとコンデンサ・バリコンのGNDが全てシャーシに直接ハンダ付けで落としてあります。シャーシは導体には違いありませんが、高周波の世界では数センチの距離であってもリアクタンス成分を生む可能性があります。
 入出力コネクタを取り付けてある裏面パネルのGNDを基準にして、等価回路を書いてみました。
 28MHzのコンデンサC28は裏面のアンテナ切替スイッチにあり、裏面パネルにハンダ付けしてあります。一方、3.5-21MHzのコンデンサC3.8/3.5-C21はフロントパネルにハンダ付けしてあります。従って、高周波的にはGNDが同電位ではなく、リアクタンスLbが存在すると考えられます。
 また、裏面スイッチ−コイル間のメッキ線もリアクタンスLa、同調バリコンVC1のGND側は底面パネルにハンダ付けされており、リアクタンスLcが存在すると考えられます。
高周波の考え方で見た等価回路
改良後の内部 対策として、コイル下に片面の生基板を取り付け、コンデンサ類のGNDを全て移動して1点アースにしました。裏面スイッチのコンデンサも、コイル横に移動しました。
 また、同調回路の入出力配線もRG-58/Uに交換し、インピーダンスの安定化を図りました。
 これにより、La・Lb・Lcは十分小さくなったものと思われます。
 
 改造後の特性が以下のもので、14MHz以上で見られた減衰特性の持ち上がり(山)が見えなくなりました。
 また、28MHzで生じていた通過帯域内の損失も低減されました。
改造後の周波数特性
 各バンド周辺の特性を比較しました。点線が改造前、実線が改造後です。
3.5MHz 7MHz 14MHz
3.5MHz特性 7MHz特性 14MHz特性
21MHz 28MHz
21MHz特性 28MHz特性

その他

側面図 裏面のスライドスイッチはそのまま残しました。カップラなしでSWR計として使う可能性があるかも・・・・という理由ですが、第三者が利用することを想定したならば、上記ANTコネクタAは撤去し、直接カップラへ配線したほうが良いでしょう。
 SWR計部の構造は、以前紹介したSW-110と同じようです。HF帯で使用するには支障なさそうなので、詳細な評価は省略しました。