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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2011.6.9作成

ケンウッド AT-130

☆周波数 非公開
☆入力インピーダンス 非公開
☆出力インピーダンス 非公開
☆最大通過電力 非公開
☆挿入損失 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開

リグの説明

 ケンウッドのアンテナチューナAT-130です。某販売店の売り出しの際に新品で購入しました。
 移動運用ばかりやっていた時代に、アンテナのミスマッチを補正するため必要と考え、買い求めました。
 小型トランシーバTS-130S/130Vに合わせたデザインで、サイズも小さくなっています。
 周波数は3.5から28MHzまでで、WARCバンドを含む8バンドに対応しています。接続出来るアンテナは1本だけですが、チューナを通さずにリグとアンテナを直結することも出来(THROUGHポジション)、当然の事ながら大変便利です。
 また、小さいながらもSWRメータも内蔵しており、SWRを確認しながらバリコンの調整が出来ます。整合を取る以上、SWR計は必須なので、内蔵は大歓迎です。
 パワーは100Wまでですが、130シリーズならば心配ありません。

内部の解析

 小さなケースにコイルとバリコン、ロータリースイッチがギッシリと詰まっています。
 バリコンは大型のタイトバリコンですが、500V耐圧のようです。
 コイルは21MHz以上用の空心のコイルと18MHz以下用のトロイダルコアに巻いたコイルを直列接続しています。
 空心コイルは線径2mmのしっかりしたコイルですが、タップからロータリースイッチまでの距離が長く、Qが低下する等の影響がありそうです。短くする手段がないので、評価は出来ませんが。
 蛇足ですが、トロイダルコアはサービスマニュアルの回路図ではT-200-2だそうです。
 基板はSWR検出回路で、トロイダルコアで進行波・反射波を拾っています。
 特に調整すべき点はありませんが、ロータリースイッチの接点を洗浄しました。アルコールと綿棒を使いますが、4回路ありウエハーの間隔が狭いので、外側以外は綿棒がうまく入りません。スプレー接点洗浄剤を併用しながらクリーニングしました。
 入出力のMコネクタのGND、本チューナーの筐体GNDが、左写真矢印に示したようにメッキ線で接続されています。バリコン・固定コンデンサのGNDも配線で接続されています。
 他社のチューナーでコネクタのGNDは裏面シャーシ(鉄板)とネジ止めで接触するだけ、コンデンサのGNDも銅版を通じて底面シャーシ(鉄板)にネジ止め、これらシャーシ同士はネジ止め・・・と、高周波的に同一電位でないGND処理がなされていました。
 高周波の一流メーカーですから、配線に配慮されているのは納得ですが、コストアップを許容すれば銅板で結んでもらいたいところです。

特性評価

 今までのアンテナチューナー同様、リグ側のコネクタに50オームのダミーロード、アンテナ側のコネクタにインピーダンスブリッジBR-200(クラニシ)を接続し、SWRを測定しました。
 各バンドともSWRは楽に1.1以下になります。同調回路のQを抑えてあるせいか、チューンはブロードです。
 インピーダンスブリッジで同調を取った後、SGとスペアナで周波数特性を調べました。
 各バンド別データを重ね、各レンジの関係を明確にしました。WARCバンドは省略しました。
 ローバンドは、同調周波数よりも低い周波数で減衰量が少なくなっています。3.5MHzレンジは1-3MHz、7MHzレンジは1-6MHzのロスが少なくなり、グラフが盛り上がっています。トロイダルコアの特性が影響しているのでしょうか、面白い特性です。
 ハイバンドの28MHzのデータをご覧ください。40MHz以上は逆に減衰しなくなります。狭いスペースにLCを詰め込んであり、容量結合しているためと考えられます。
 インピーダンス整合を主目的としたコンパクト設計チューナーなので、この点は妥協すべきでしょう。
減衰特性
 各バンドの特性をさらに以下に表現しました。ここで「帯域」とは、同調点(ロス最小点)から-1dB以内の周波数幅とします。
同調周波数 周波数特性 同調点付近を拡大 備考
3.5MHz 帯域:500KHz
7MHz 帯域:1.5MHz
14MHz 帯域:2.4MHz
21MHz 帯域:3.0MHz
28MHz 帯域:3.5MHz

その他

 SWRメータの照明用電源コネクタが付いていました。ケンウッドのモービル機で使われた2Pのコネクタです。
 わざわざ電源を接続した方が多数いたのか不明ですが、モービル運用であれば照明も必要だったことでしょう。