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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2015.5.23作成

キクスイVTVM 107A

☆測定項目 抵抗・直流電圧・交流電圧
☆測定範囲 非公開
☆交流周波数範囲 非公開
☆消費電流 非公開
☆寸法・重量 非公開
☆発売年・定価 非公開

リグの説明

菊水電子の真空管電圧計(VTVM)107Aです。7-8年前に入手しました。
入手した理由は、真空管リグの調整時に高周波の信号レベルを測定したかったからです。
もう1台電圧計は持っていますが、プローブの耐電圧が低く、真空管リグのような数百VのDC電圧が加わる場所には怖くて使えません。この機器は、真空管全盛の時代に開発・発売されたものなので、安心して利用出来ると考えたからです。取説上はDC1500Vまで耐えます。
精度は問題とはしておらず、信号レベルの大小を評価出来れば十分です。
1960年代から発売されたようですが、本機は70年半ばの生産と思われます。上部のベルトは使用感がありますが、本体の外観はまあまあです。プローブの樹脂カバーは、白っぽく変色しています。
取扱い説明書を別途入手しました。64年の第2版で回路図が付いていますが、ほぼ使えるようです。
メーカーがネット公開している説明書もダウンロードしました。72年製?のようですが、追記箇所も多く、わかりやすくなっています。但し、回路図はありません。

内部の構造

背面のネジを外すと、パネル側の本体と側背面カバーに分かれて内部が現れます。
内部回路は真空管2本ですが、ACを倍電圧整流する6AL5と、DC電圧を増幅するメータアンプに12AU7が使われています。
中は大変きれいで、40年の年月を感じさせません。
開けた瞬間に目にとまるのが、電池です。単一で、抵抗値を測定するための電源です。原理的にはテスターと同じですから、電池があって当然なのですが、開封するまでは気づきませんでした。
電池は電極にリードがハンダ付けしてあり、さらにビニールの袋に入っていました。液漏れを防ぐためですが、過去にあったクレームの対策でしょう。
入っていた電池は東芝製で76年製?と思われますが、幸いにも液漏れがありませんでした。
また、ヒューズボックスが配線に縛って固定されています。64年の回路図にはヒューズがありません。後期モデルで追加されたのでしょう。

電池を代替回路に変更

長期使用に電池内蔵は心配です。ここは変更したいところです。
本機はACで動作するので、整流すればDC電圧は得られます。ネックだった安定化電圧回路は、今はICで簡単に実現出来ます。手持ちの部品で構成してみました。
ヒータ電圧6.3Vを半波整流し、LM317Tで1.6V出力を得ています。整流ダイオードは、眠っていた古いダイオードFR2です。メータの止めネジを利用して基板を固定しました。
回路図は公開しませんが、難しいものではありません。

調整

交流電圧の調整は、取説によればAC50Vを印加して背面のボリュームを調整します。今回はAC100Vで調整しました。(スライダックで50Vまで落としても良いのですが)
当初はAC104Vで94Vと指示しました。
直流電圧の調整もDC50Vを印加しますが、手持ちの機器では用意出来ません。安定化電源の13.8Vを印加したらぴったり合っています。無理をせず現状としました。
また、真空管の劣化があるかもしれない・・・と考え、手持ちの真空管と交換してみました。いずれも4本差し替えてみましたが特に大きな変化はありませんでした。
抵抗は数十から数kオームの抵抗を接続しましたが、5%程度少なく指示します。規格の範囲内ですが調整箇所はないので現状通りとします。抵抗測定なら、手持ちのテスターでも間に合います。

付属プローブ使用上の注意

付属プローブには周波数特性があります。説明書では、70Hz-1MHzの範囲は誤差が出ませんが、この上下では指示値が少なくなり、6MHzで10%、8MHzで20%減少します。
入力端子で見た場合、10MHz以上になっても減少は無いようです。
このプローブはアースラインが入力端子から分離しています。高周波特性を良くするためには、プローブ測定端子の直前までを同軸ケーブルのような一定のインピーダンスに保つ必要があります。信号とアースが分離していると、インピーダンスがたえず変化するため、補正不可能です。
SGから一定の信号を出力し、表示を確認しました。8MHz付近から表示値が大きくなり、さらに周波数によって増減します。精度云々という話ではありません。
では、同軸にしたら・・・ということになりますが、耐圧1500Vをクリアするのが難しくなります。
トランジスタ回路用にプローブを別途作れば、とも考えましたが、接続コネクタは5/8”−27という名称のもので入手不可能です。
周波数特性と精度よりも高電圧の測定を優先し、現在のままとしました。

その他

パーツはきれいですが、ペーパーコンデンサは劣化が心配です。入力回路に0.1uFがありますが、耐圧1500Vが必要で代替品が手元にありません。
他のコンデンサを含めアナログテスターで確認したところ、リーク電流もほとんど無く正常レベルです。問題なしと判断しました。