レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.3.25作成
2010.10.5追記

アイコム IC-60

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移 非公開
☆送信周波数構成 非公開
☆受信周波数構成 非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅 非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

今は珍しい50MHzの水晶式FMトランシーバです。アイコムが井上電機の時代の製品で、同一デザインの144MHz機IC-20に続いて発売されたものです。出荷台数はそれほど多くないでしょう。
実装されていた水晶は、出荷時オリジナルの3チャンネル(51.00、51.12、51.20MHz)だけでした。大都市圏でも、ある程度実用になったのでしょうか。
チャンネル表示は1、4、6・・・となっていますが、予備の目盛板が付属していたらしく、レタリングすれば任意に書けたようです。目盛板は2ケタの数字が表示できるほどスペースがあるので、00、12、20のように100KHz・10KHz台の数値を表示したほうが(当時であっても)使いやすかったのではないでしょうか。
オリジナルには、メータ下に型番「IC-60」と「ICOM VHF FM」と書かれた名版があるのですが、このリグは黒いテープが貼られていました。いずれラベルを作って貼る予定です。
上面図 下面図
アイコムのWebに取扱説明書が公開されており、ダウンロード可能でした(2009/3現在)。回路図もあり、文字も判読できます。
回路は、ファイナル部を除き縦長(2.3cm X 14cm)のブロックに分かれています。同一シリーズのIC-20/30、IC-200も同じような構造です。故障箇所をブロック単位で交換するには便利ですが、側面で配線を固定しており、きれいとは言えません。

受信部

受信の水晶にも周波数調整が可能なようにトリマが接続されています。まだ水晶の発振周波数にばらつきがあった時代だからでしょう。ワイドFMですし、144MHzに比べれば影響は少ないはずですが、丁寧な設計です。
コストダウンが厳しくない時代だったからこそ、出来たことです。
発振周波数のズレは2KHz以下でしたが、調整しておきました。
受信は出来るものの、感度はかなり低下していました。
周波数範囲が狭いので、中央の51.12MHzで感度最大になるように調整しました。コアを調整すると、S1の信号がS9オーバーになりました。
変化を右図に示します。最後に、20dBuでフルスケール(9+40dB)になるように調整しました。
感度は1uV入力でS/N33dBでした。十分すぎる実力です。
455KHzのフィルタはCFP455Bでワイドです。50MHzはガラガラ、田舎では電波を聞くことすら滅多にありませんから、現状で十分です。

送信部

パワーは9W出ました。これもドライブ・ファイナル回路を調整して11Wまでアップしました。
スプリアス特性は左の通りで、問題ありません。方向性結合器に周波数特性があり、50MHzの成分は100MHz以上に比べ3dB少なく表示されます。2倍高調波は-70dBに近くなりました。
   X:20MHz/div、 Y:10dB/div、 F=51.00MHz
この後、パワーメータが振り切れるようになりましたが、調整ボリュームがありません。ファイナル部を開いたら、出力回路のそばにダイオードを発見しました。以前紹介したIC-220と同じ構造で、出力回路との距離を変えてメータの振れを調整します。ファイナル部のシールドケースにある穴に絶縁ドライバを入れてダイオードを動かします。
送信はナロー化しておきます。マイクゲイン調整のボリュームR34とIDC回路後の調整ボリュームR15を調整すればOKです。

その他

50MHzのFMは、残念ながら田舎では相手がいませんし、モービル局もほとんど見かけません。50MHzはSSB・CWが主力で、しかもアンテナがほとんど水平偏波ですから、モービルホイップの垂直偏波とは相性が悪いのです。直接波によるQSOの場合、水平偏波同士に比べ10dB以上の損失があるでしょう。
この話、ピンとこない・・・・という方は、144か430のハンディ機で電波を受信し、横に寝かせてみてください。確実に信号が弱くなるはずです。これが「偏波の影響」です。
モービル局も、昔は長さ1.5mのアンテナをバンパーに取り付けていました。近年、バンパー取り付け金具ってあるのでしょうか?
垂直偏波の代表格であるグランドプレーンアンテナを新たに上げるか・・・といえば、144に比べ形状が大きくゲインが取れない50MHzは不利です。水平偏波のダイポールか八木を利用しましょう。
なお、スポラディックE層(Eスポ)では、偏波面はあまり気にする必要はありません。電離層反射で偏波面が変わるからです。モービルでパイルアップをさばく6・8エリアのSSB・CW局が良好に聞こえるのは、この理由です。