レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2013.2.3作成
2015.4.24修正

アイコム IC-551

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開
IC-551

リグの説明

50MHzで大ヒットした、電源内蔵のデスクトップトランシーバです。学生時代の先輩がシャックを整理されるとのことで、いただいたものです。オプションは一切ありません。
25年以上前、入手して10年程度使用していました。実家にも1台残してあります。
2015.4.24 : 写真を入れ替えました。
当時のデスクトップ機はトリオのTS-600、ヤエスのFT-625Dが有名でしたが、本機は標準モードがSSB/CW/AMで、FMをオプションにして定価を\90K以下とリーズナブルに抑えています。
グラウンドウェーブやEスポ・スキャッタで国内・DXQSOを楽しむ多数のSSB/CW/AMユーザーと、モービルやラグチューを楽しむ少数のFMユーザーは明らかに分かれます。アンテナも前者は水平偏波、後者は垂直偏波が主流です。「FMは使わない」というユーザーには、基本性能が充実している本機がぴったりです。
VFO切替スイッチ100HzステップのPLL VFOを2種類VFO-A、VFO-B)内蔵し、スイッチで切り替えます。A・Bをそれぞれ送受信周波数に設定すればスプリット運用が可能で、アナログVFOのユーザーには画期的でした。外部VFOを置くスペースも、購入するコストも省けますHi。
この100HzステップのVFOは、当然ながら微妙なゼロインが出来ません。肉声を知っている局に周波数をぴったり合わせようとしても、最大で50Hzの誤差が生じます。
QSOが成立すれば十分、と考える私は気にしないのですが、『ズレているよ』とご指摘いただく最新鋭機をお持ちの局は納得いかないかもHi。
上面図 下面図
上面図 下面図
前面裏にCPUと周波数可変のロータリーエンコーダを含むドライバユニット、上面に送受信のメインユニットとPLLユニットがあります。一方、下面は電源ユニットがあるだけで、オプションのFMユニット、パスバンドチューニングユニット、VOXユニットが追加出来るように空いています。
電源はAC100VからDC13.8Vを作るユニットが内蔵されていますが、スイッチング電源なのでトランスが小さく大変コンパクトです。10W機で出力電力が少ないとはいえ、トランスの大きいシリーズパス電源と比較すると、驚くほど小型・軽量です。
メモリスキャンを活用し、DXやEスポのオープンをモニタする等、まだまだ使えます。
前オーナーの話では、数年前まで動作していた・・・とのこと、実際に性能劣化も少なそうですが、オーバーホールを行います。
英文のサービスマニュアルを入手しました。

電源回路

電源部電源も正常ですが、スイッチング電源なのでシリーズパス電源よりもコンデンサの劣化が早いかもしれません。電解コンデンサを全て交換しておきます。
スイッチング部はノイズでアルミダイキャストのケースでシールドしてあります。周辺のネジを外し、基板を外して交換しました。
左のコンデンサが外したものです。200V耐圧のコンデンサはかなり小さくなりました。

発振回路

PLLのユニットを外し、周波数を調整します。基準クロックの水晶発振は誤差100Hz程度で、合わせ込みました。
100HzステップのVXOの調整はクリチカルです。2個のボリュームで誤差10Hz以下になるように調整しますが、わずかな回転で10-20Hz変動します。交換するなら、多回転ボリュームが欲しいところです。
エンコーダ部周波数可変は発光ダイオードとフォトトランジスタの間に回転スリットを挟んでいます。(右写真)
ここで得られたクロックの波形を調整するため、周波数チューニングツマミを一気に回転させ、オシロで波形を確認します。デューティ比が見当で50%くらいになるように半固定ボリュームを調整しますが、現状で十分でした。
この「一気に回転」ですが、ツマミが軽く指1本で回るので心配いりません。ストレージオシロがあればより確実ですが、お持ちの方は滅多にいないでしょう。

受信部

受信アンテナ端子裏面に受信回路のアンテナ入力・出力端子があり、受信プリアンプが簡単に追加出来ます。以前、2SK125のプリアンプを自作し取り付けていました。
アンテナ端子に受信アンプを追加するには送受切替回路が必要ですが、この端子があると大変助かります。アンテナ直下でなくても、効果はあります。
・・・古いリグだから効果があるのかも、最新リグなら不要かもしれませんねHi。
現状でも感度は十分でした。高周波増幅のバンドパスフィルタは、帯域が4MHzあるので下手に触れないほうが賢明と考え、そのままにしました。
中間周波数の回路は経験上調整で効果があるのですが、本機は変化がほどんどありません。
Sメータ、スケルチポイントもほぼ無調整で大丈夫でした。RITが300Hz程度ズレていたので、補正しました。
このリグは、AMモードでもBFOがかかりっぱなしです。取説ではゼロビートで受信するように、と記載されています。
AMの信号もSSBフィルタを通過するので、受信帯域は狭く感じます。AMはオマケと考えるべきでしょう。わざわざ受信用のワイドフィルタを追加する、と考える必要はありません。
受信感度は50.2MHzで0.16uV S+N/N 10dBでした。

送信部

送信すると、CWで11W出ていました。これも使えそうです。
ALCを解除すると15W出ます。ドライバとファイナル部を調整しましたが、ほぼ同じです。受信回路同様、バンドパスフィルタは手を触れないことにしました。
さらにフルパワーで12WになるようにALCを再調整しました。
バンド幅4MHzの範囲で、ほぼフラットな特性です。
スプリアス特性スプリアス特性は良好で、2倍高調波は-60dB以下をクリアしています。
   F=50.2MHz、 X:20MHz/div、 Y:10dB/div 
本格的なデスクトップ機ですから、ALCのメータ表示は欲しかったところです。後継シリーズのIC-271シリーズ(-571はありません)も表示が無く、さらに後続のIC-575シリーズからモニタ出来るようになりました。

その他

シールドケースの錆PLLユニットのシールドケースが錆びており、また指紋の跡がありました。上部カバーの穴から水分や湿気が侵入したためと思いますが、表面のメッキよりも深くサビが進んでおり、研磨では除去出来ません。
サビをサンドペーパーで削り、表面のみ銀メッキ色の塗料で塗装してみました。裏面は何もしないので、シールドケースとして動作します。
VFOはSSB/CW/AMでは1回転5KHzです。実運用時は、ワッチする周波数幅は300-400KHzくらいなので困りませんが、MHz台の周波数を移動するのは大変です。チューニングを早くするTSボタンをONにしても、10倍の1回転50KHzです。
こんな時は、モードをFMに切り替えます(FMユニットが無くても支障ありません)。1回転500KHzで周波数を可変出来ます。FMでざっと変えてから、元のモードに戻して微調整すれば良いのです。
VOX回路は標準装備でもよかったかもしれません。CWのセミブレークイン用で、電話では使うことはないと思いますが。
ところで、電源スイッチをONしても周波数が表示されないことがあります。CPUの誤動作らしく、AC電圧が大きく下がったり、瞬時停電によって発生します。
ACコードを外し、しばらくしてから差し直すと、CPUがリセットされて初期値の50.100MHzに戻ります。電源スイッチをONにしたまま、ACコードを差し込むと解決したこともあります。バックアップ電池が無い時代のリグですから、リセット方法は覚えておきましょう。
「リグが壊れた!」とあせらずに済みます。