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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2011.12.17作成

アイコム IC-390

IC-390
☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

 430MHzのオールモードモービル機で、今年の夏に入手しました。IC-290と同じデザインです。
 あまり使用されなかったらしく、外観もきれいで動作もしていました。
フロントパネル IC-290との外観上の違いは、周波数表示LEDの色がグリーンで、レピータ機能が付いている点です。
 430MHzのレピータがまだ解禁になっていない時代の製品ですが、将来を想定したDUPLEXスイッチがあり、受信周波数に対し送信周波数が高くなる+と低くなる-のポジションがあります。シフト周波数は初期値が5MHzですが、任意に設定可能です。
 周波数メモリ機能やスキャン機能がありますが、バックアップ電池が内蔵されておらず、電源が切れた時に設定したメモリ値が消えてしまいます。
 また、初期値の周波数表示は431.000MHzです。IC-35と同じですが、SSB・FMいずれも中心周波数ではなく、中途半端な値です。FMのコールチャンネルも431.00MHzにリセットされるので、厄介です。 
上面図 下面図
上面図 下面図
 取説はありますが、サービスマニュアルはありません。海外モデルなら名称がIC-490かもしれませんが、資料が一切見当たりません。
 過去の経験から調整方法を考えつつ、IC-290の英文サービスマニュアルを読み替えて調整を進めました。

発振回路

 PLLの出力周波数は十分許容範囲に収まっていましたが、手順に従って調整しました。
 プログラムデバイダのクロック2.56MHzの調整中、439MHz以上でロックが外れる現象が出て慌てましたが、PINのレベルが低下していたらしく、オシロで観察しながら前段のコイルを調整したら出力が増加し、解決しました。
 FMの下限(430.00MHz)と上限(439.98MHz)で周波数をチェックし、変化の誤差が数十Hz以内となり、十分と判断しました。
 SSB/CWキャリア発振の10.75MHzは200Hzずれていました。1個の水晶にコイルを追加して周波数を補正しオールモードで使用します。LSB→CW(送信)→USBの順に調整しました。
PLL回路コア代わりのネジ 動作上問題はありませんが、コイルのコアが何故かネジに変わっていました(笑)。
 M3のネジがコアに差し込まれ、ボンドで固定されています。水晶発振15.8145MHzの発振回路に使われているL4で、100Hz単位の周波数を可変するためのVXOです。
 周波数が変化するので、無理に手を触れないことにします。
 修理履歴は無さそうですが・・・。

受信部

 受信は問題ありません。
 IC-290のサービスマニュアルは、高周波増幅のヘリカルキャビティの調整を指示していません。今回は十分な感度が得られていたので、無理をせず現状のままにしました。
 中間周波数増幅(10.75MHz)1段まではオールモード共通で、以降のミキサ・中間増幅部からFMとSSB/CWモ−ドで回路が分かれます。コイルを調整し、Sレベル表示が大きくなりました。
 最終感度は、以下のようになりました。
   FM: -6dBuV入力 S/N30dB  (F=433.0MHz)
   SSB: -20dBuV入力 S/N10dB (F=433.00MHz)
 AGCのFAST/SLOW切替が付いていますが、これは大歓迎です。SSBで運用する場合は一般的にSLOWが良いと言われていますが、私はもっぱらFASTしか使いません。SLOWにすると、強力な信号を受信するとAGCが動作して同時に聞こえる局の信号がブロックされます。コンテストやパイルアップをさばく時は、コールしてくれる局のコールを複数個取りたいことがままあり、さばくスピードにも影響します。
 モービル機とはいえ、常置場所や移動運用でも十分に能力を発揮するためには不可欠なスイッチです。

送信部

 またまたサービスマニュアルを参照しましたが、送信回路の調整項目がかなり省略されています。
 パワーの設定と変調部・RFレベルメータの調整だけで、正直驚きました。細かな調整は社外サービスマンでもしないように・・・・ということでしょうか。
スプリアス特性 とはいえ、無調整とはいかないので、いつもの手順で調整を進めました。 
 ALCを解除すると、パワーが13W程度出ました。回路を一部変更すれば20W弱出そうです(ポイントは知っています)が、無理に改造はせずに現状のままにしました。
 調整可能な箇所を全て調整しましたが、変化はありません。ALCを12Wに設定し、430-440MHzの範囲で11-12Wを得たので終了とします。
 スプリアス特性は-65dB以下です。
  X:200MHz/div、 Y:10dB/div、 F=434.00MHz
IC-HM11の内部 本機は、アイコムの汎用マイク(8P)は使えません。専用マイク(IC-HM11)はトランジスタ1石のマイクアンプを内蔵しており、後継機種のマイクIC-HM12とは異なります。
 左写真が、IC-HM11の中身です。
 手元のHM12を数本接続しても変調がほとんどかからず、慌てました(Hi)が、取説と回路図を見て納得しました。
 HM11のマイクアンプ回路をリグの中に内蔵し、統一したほうが混乱しないでしょう。回路図にも明記されています。

その他

 基本性能は十分ですが、電源切断で周波数が初期化されるのは不便です。オプションで小型電源が発売されていましたが、売れたのでしょうか。
 外部電源は5Vレギュレータに入力するので、PCや家電製品の9-12Vアダプタが使えそうです。ジャンクの手持ちを活用し、アイコムのリグだけまとめてバックアップ電源を用意すれば良いかもHi。