レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2006.8.20作成
2007.10.5修正
2010.10.5追記

アイコム IC-37

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

144MHzのIC-27発売後に同一デザインで発表された430MHzモデルです。前モデルはIC-35のようですが、高さが50mmあり必ずしもコンパクトとは言えませんでした。
本機はスイッチや内部部品の小型化、背面のコネクタをケーブル式にすることで高さを10mm以上狭めています。特に、アンテナコネクタ(N型)は背面に直付けですと、太いケーブルに振り回されることになり、上手くありません。
内部はコンパクトですが、コネクタが多数あります。フロントパネル部との接続箇所が多いのですが、同一ピン数のコネクタもあり、分解するときに注意が必要です。
実は分解修理の際、全てのコネクタを抜きました。コネクタ部にNoを書いて間違えないように配慮しました。
PLL下面にありますが、PLLのシールドケースを外しています。汚れているのは、ウレタンスポンジの残骸ですHi。
上面図 下面図
入手した際、送受信が出来ないとのことでした。確かにSGで信号を入れても反応なし、送信にしてもパワーが出ません。あれこれやっているうちに、トラブル箇所を発見!アンテナのN型コネクタが破損していました。
(右図)
コネクタの接続・取り外しを繰り返すうちに、芯線部分がスッポリと抜けてきました。
手持ちに新品のN型ケーブルがあったので、交換しました。

受信部

まず受信ノイズが時折しか出ません。AFボリュームが磨耗して接触不良になっています。メーカーからパーツを入手し、交換しました。
AFボリュームとスケルチボリュームが1枚の基板にハンダ付けされており、両方を外さねばならないのですが、周辺に配線が沢山あり、分解に苦労しました。
さて、高周波増幅はGaAs(ガリウムヒ素)FETの3SK121+接合型FETの2SK125で、アイコムの定番です。第2局発・中間増幅・FM検波等はMC3357 1個で済ませています。
受信感度を調べた後、調整しました。高周波増幅・第1ミキサーはトリマを調整するのですが、LC共振回路が1段で、2段になっていません。従来から慣れていたバンド上端・下端で調整する方法は使えません。
まず中心周波数である435.000MHzで信号最大に調整をしましたが、中心で感度が高くてもバンドエッジで落ち込みが大きくなります。(下図 調整その1)
432MHz以下はFMの使用帯域外ですし、逆に439MHz以上はレピータで運用しないので実用上問題ないのですが、差が大きすぎるもの考えものなので、バランスを考えながら第2高周波増幅の入力回路トリマを432.00MHzに、出力回路トリマを438.00MHzで信号最大になるように調整をして妥協しました。(下図 調整その2)
調整前 調整その1
(435.00MHzで信号最大)
調整その2(最終調整結果)
メータ表示は右図のようになります。(F=434.00MHz)
調整前にS1だった信号がS5になりました。調整1の結果を見ると、調整2より悪化している箇所は少ないようです。調整1でも使用上差し支えないかも?
DXを追い求める方は、調整1がおすすめですね。
感度は20dB NQLで0.4uV以下(開放端電圧)でした。
受信周波数の調整で、困ったことがおきました。詳細は「その他」の項で記しますが、周波数のズレが500Hz程度ありましたので、調整しました。

送信部

送信出力はバンド内で9.0-9.2Wでした。少なめですが、出力制御のボリュームを回すと、最大13Wまで出ました。
電力増幅はパワーモジュールですから、調整はドライブ段だけです。トリマを4個調整し、バンド内で13W均一に出るようになりました。
スプリアス特性は特に問題ありません。
  X:200MHz/div、 Y:10dB/div
送信周波数は約1.2KHz高めでした。これは34.912MHzの水晶発振回路を調整するだけです。出力の一部をカウンタで検出し、水晶に直列に接続されているコイルを調整しました。
デビエーション調整は不要でした。

その他

受信時のPLL出力周波数が説明書通りでないのです。ジャンクでもう1台所持していたのですが、同じ現象でした。
設計変更があったのでしょうか、受信の周波数構成が変わっていました。(下図)
PLL出力の周波数をカウンタで測定すると、50MHzも異なっていました。計測エラーか?と思ったのですが、受信周波数を1MHzずつアップするとPLL出力も1MHzずつ上がります。
フィルタの文字を見ると、「23M15」という表示が・・・。
周波数構成を考えてみたら、左のようになったわけです。
ここでフィルタの周波数を確認するため、アンテナコネクタに23.185MHz -10dBmの信号を加えてみました。すると、ちゃんと受信できます!
高周波増幅・ミキサーの同調回路で減衰はするものの、通り抜け信号がしっかり確認できました。これでナゾが解けました。
説明書が古い?そうかもしれません。でも、メーカーで公表している説明書(web上でダウンロード可能)は、手元のものと同じです。デバイスの変更や回路定数の変更のレベルではないのですから、訂正情報は公開していただきたいものです。
回路図を見ました。送受信周波数を決める発振回路ですが、送信の水晶X201は34.912MHzと周波数が明記されています。でも受信の水晶X202は「CR29」と書かれているだけです。(青い丸の箇所)
・・・・・・まあ、多くのユーザにとって使用上は分からなくても問題ないのですが。手を加え、修理するマニアは、もう少数派ですからね。