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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2011.4.18作成

アイコム IC-370A

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開
IC-370A

リグの説明

IC-370の後継機種で、デザインも全く同じです。
何が変わったのだろう・・・・と、取説と回路図を見比べました。
基本スペックはほぼ同じですが、周波数の範囲が拡大しました。IC-370は432.00-433.98MHz、439.00-439.98MHzの3MHzだけ(改造すれば432.00-439.98MHzまで8MHz連続カバー)でしたが、本機は430.02-440.00MHzの10MHzをフルカバーします。
周波数スキャンの方式・範囲も改善されていますが、私にとって興味の無いことなので省略しますHi。
ブロックダイヤグラムを比較するとCPUの変更だけで、回路図もCPU周り以外はほぼ同じようです。
上面図 下面図
コントローラ部IC-370同様、全面のコントローラ部が分離できます。カバーを外すと、エンコーダ部とマイクアンプ部が見えます。
エンコーダはフォトインタラプタとスリットの入ったプラスチック回転板を用いた初期のオーソドックスな構成です。

発振回路

PLLの基準クロック5.12MHz、送受信の水晶発振回路はいずれも正常で、ほとんど調整不要でした。
しかし、水晶発振出力が均一でなく、周波数が高くなると低下していました。VCO出力とミックスされた後のローパスフィルタ(4.00-9,98MHz)出力がオシロで十分確認出来るので、コイルとトリマを調整し均一化を図りました。
話は前後しますが、最終調整後に438MHz以上でパワーが出ない現象に気付きました。PTTを押すと一瞬パワー計が振れますが、すぐに0になってしまいます
調べたところ、VCO出力とミックスする水晶発振・逓倍後の420MHz出力が異常でした。逓倍後の同調回路のトリマC87を回し、安定ポイントに設定しました。トリマを新品に交換しましたが、改善されません。回路自体の調整がシビアなポイントです。

受信部

高周波増幅部受信はほぼ問題なく出来ました。
高周波増幅と第一ミキサはデュアルゲートMOSFETの3SK48ですが、右写真の矢印のようにケースの頭だけが飛び出しています。これは、ケースが両面基板の裏GND面にハンダ付けされているためです。
他のリグで紹介したように、ケースを高周波的にGNDに落としゲインを増加させるのに最善の方法です。
初期データを取った後、455KHzのフィルタがワイドであることに気付きました。手持ちのナローフィルタCFU455Eに交換した後、調整しました。
FMの使用範囲を意識して調整したので、430MHzのローエッジで感度が低下傾向です。
最終感度は1uV入力でS/N34dB (F=433.0MHz)でした。
調整前 調整後 メータ特性
調整前 調整後 メータ特性(F=434.0MHz)

送信部

送信部も動作しており、初期状態で全バンド9W以上出ていました。
最終の電力増幅はパワーモジュールM57704Mですが、送受信切り替え回路とアンテナコネクタの間に送受信共用のバンドパスフィルタが入っています。受信で調整し,1W弱アップしました。残るは前段のドライブですが、トリマを調整して11Wまで出るようになりました。
439MHz台で10Wに落ちますが、十分するくらいフラットです。
モジュール周辺の回路定数変更でパワーアップが期待出来ますが、現状で良しとします。
スプリアス特性スプリアス特性は、右写真の通り良好です。
  F=433.00MHz、 X:200MHz/div、 Y:10dB/div
送信のナロー化も必要です。マイクゲインとリミッタをボリュームで調整しました。
リミッタのオフセットボリュームに誤って手を触れてしまい、失敗しましたHi。マイク端子に低周波信号を入力し、オシロで波形を観察し再調整しました。

その他

電源コネクタ最終チェックで気付いた点がもう一つあります。
調整後数日経過し、パワーが8W程度しか出ないことが分かりました。ハテ、原因は・・・とリグを10cmほど横に動かすとパワーが増えます。
実は電源コネクタの接触不良でした。4ピンコネクタのピンはハンダメッキですが、コネクタを軽く左右に動かすとパワーが変動し、最大で11Wになります。
接点洗浄剤とアルコールでピンを洗浄し、無事解決となりました。
古い電源ケーブルは、コネクタピンをクリーニングしてお使い下さい。