レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2006.7.1作成
2007.10.5修正
2010.10.5追記

アイコム IC-320

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

水晶発振による23チャンネルトランシーバで、同時期に発売されていたIC-220と同一デザインです。
送信は18MHz台の発振を24逓倍、受信は23MHz台の発振を18逓倍しています。
内部はIC-220とはかなり異なります。IC-220は水晶を下面に取り付けますが、IC-320は上面です。受信回路は430MHzではキャビティ構造らしく、金属のユニットに入っています。上面と側面から調整可能です。
今回、21チャンネル実装された中古品を入手しました。現在でも利用可能な周波数(432.24-433.98MHz)が多数あります。
上面図(受信回路・水晶) 下面図(送信・発振回路)
下面の大きな金属面は発振・送信ドライブ回路のシールドケースのカバーです。汚れていますが、後でアルコール洗浄しましたので、現在はきれいですHi。

受信部

SGで信号を入力して受信状態をざっと確認すると、周波数がズレているような感じがします。古いリグですので、全て調整することから開始しました。
第一発振の周波数(23MHz台の水晶発振を18逓倍)をカウンタで確認しました。421-423MHzなのですが、ズレは2KHz以下が15個、2-3KHzが4個、5-6KHzが1個、10KHz以上が1個でした。特に2個だけ大きくズレていたようです。全てトリマで調整し、10KHzのズレがある水晶は補正しきれず2.5KHz高めになります。劣化しているようですが、これで妥協します。他は全て100Hz以下になりました。
高周波増幅のトリマをいつもの手法で調整します。下限432.24MHz、上限433.98MHzで調整を繰り返し、均一化を図りました。10.69MHz・455KHzの中間周波増幅のコイルも感度アップに効果がありました。
この後、後述する送信スプリアスフィルタを調整したところ、見違えるほど感度が上昇しました。
受信感度は20dB NQで-6dBと良好です。 (F=433.00MHz)
本機も、受信のナロー化で455KHzのセラミックフィルタを交換(CFM455C→CFM455E)しました。
上記の調整後、スピーカ出力のハム音に気づきました。スケルチをかけて無音の状態でも聞こえます。AF出力ボリュームを回しても変化ありません。
最終低周波増幅に問題ありと調べたところ、増幅IC uPC2002Hの電源13Vに200mV程度のリップルがありました。DC電源からスイッチ・LCフィルタを通るので、電解コンデンサC95(470uF)の容量抜けと考え、手持ちの220uFと交換して暫定解決しました。
容量・形状とも同等品の手持ちが無かったのと、高耐圧品が必要と判断しました(元々のコンデンサは16V耐圧)ので、入手後に再度交換する予定です。
調整前 調整後 S特性

送信部

送信パワーは最大11.0W・最低9.0Wで、高い周波数になるほど低下傾向です。わずか1.6MHzで2Wも変化するのは調整が必要なはずです。
433.0MHzで出力最大になるように送信ドライブと終段部のトリマ6個を調整したところ、高い周波数でパワーが出るようになりました。最後に「送信スプリアスフィルタ」と称するバンドパスフィルタ(2段)を調整し、右図のように12W近いパワーが出るようになりました。
尚、このスプリアスフィルタはアンテナと送受切り替えリレーの間に入っており、受信にも影響します
スプリアス特性は左の通りで、問題ありません。
   X:200MHz/div、 Y:10dB/div、 F=433.00MHz
当初、終端電力計でパワー最大にしたら2倍高調波が-55dBになりました。これはいけない!とファイナル部のトリマと送信フィルタを再調整しました。ファイナル段最後のトリマを1/6回転程度回したら、高調波成分がスッと-60dB以下になりました。出力はほとんど低下しませんでした。
スペアナなしでは判断つかない(調整出来ない)問題でした。
周波数は、受信同様に最大5KHz程度ズレていたので、カウンタで確認し調整しました。
変調は他のリグでモニターしながらマイクゲインとデビエーション調整を行いました。

その他

当時は高価なリグですが、新製品の初期状態は3チャンネルしか実装されていませんでした(431.88、432.00、432.24MHz)。
これに18チャンネルを追加してあるわけですから、実質的には+40,000円くらいかかるようです。
オークションで入手したのですが、送料別で1,000円でした。マイク・DCコード付です。今となっては使い物にならない、と皆思っているからでしょうか。他に入札が無かったのが幸いでした。