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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2013.8.24作成

井上電機(現アイコム) IC-31

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

 井上電機(現アイコム)の430MHz FMトランシーバです。AC100V電源を内蔵したデスクトップ機で、50MHz機のIC-71、144MHz機のIC-21と同一デザインのリグです。
 水晶発振のリグで、1チャンネル毎に送受信各1個の水晶が必要です。水晶は当時のモービル機IC-320と互換性があり、ジャンク機から水晶を移植し、現在23チャンネルを実装しています。
 もっとも、主に使用される433MHz前後の周波数は少ないのですが・・・・。
 受信周波数微調整のRITとセンターメータが付いています。1水晶毎に送受信周波数の調整が必要な時代ですから、調整ずれ・不良のリグで運用するとお互いが困ります。発振がPLL多チャンネルに切り替わる前の本格派リグとして、必要な機能だったでしょう。
 また、SWR計を内蔵しています。あくまでも簡易的な機能ですが、アンテナのモニタに使えます。
上面図 下面図
 動作中古品を6年くらい前に入手しました。動作もほぼ確認し調整も済ませていましたが、一部気になる点があり、保留していました。

電源回路

 AC100Vの電源を内蔵しており、重いトランスが印象的です。
 トランジスタ4個の回路ですが、基板上のコンデンサ3個のみ交換しました。ブリッジ出力のブロックコンデンサ3300uFは、固定バンドでネジ止めされており、同一径のコンデンサの手持ちがありません。
 またコンデンサは小型化が進んでおり、販売されていたとしても古い製品でしょう。
 このコンデンサは現状のままとし、不具合が発生したら電源回路全体を作り替えることにします。汎用ICとパワートランジスタで簡単に構成出来ます。

発振回路

 使えそうな周波数の水晶を拾い出し、23チャンネル実装しました。
 送信・受信とも周波数調整用のトリマがあります。周波数カウンタで調整しました。
 433.00MHz付近が多数あれば好都合ですが、昔のなごり?で431.60-433.96MHzの範囲でおおむね120KHzステップの水晶しかありません。ローカルQSO用の待ち受け受信なら、これで十分ですし、田舎なら『空きチャンネルが無い』と困ることはまずあり得ませんHi。

受信部

 受信時のみ、LINEAR-LOGのメータ切り替えスイッチが動作します。信号強度に応じてメータが直線的に振れる(LINEAR)か対数的に振れる(LOG)かの違いですが、FMであればLINEARだけで十分です。
 SSB機のAGCを意識したからでしょうか、不思議なスイッチです。
 受信は問題なく出来、ナロー化済でした。
 受信ミキサから低周波増幅までの基板を取り外し、電解コンデンサ17本をまとめて交換しました。製造後40年弱経過した製品なので、将来を見越した作業です。
 低周波出力の音質が改善されたような気がしますHi。
 3MHz弱の帯域の水晶しか実装していないので、この範囲で最大の増幅度が得られるように調整しました。
 高周波増幅・ミキサの調整は、ユニット横の6個のトリマで行います。
 RFユニットのすぐ下に受信用バンドパスフィルタがあります。メーカーのサイトから入手した取扱い説明書には、バンドパスフィルタは記載されていません。
 受信抑圧対策で追加されたものと思われます。
 受信感度は 1.0uV S+N/N30dB(F=433.12MHz)でした。

送信部

 オリジナルはワイドFMですが、ナロー化されていました。
 また、パワー可変のボリュームがあり、連続でパワーを変えることが出来ます。最終調整で、最小1Wにセットしました。
 写真の左下にあるR-Tと書かれたスイッチは、送受信の切り替えスイッチです。電源OFF、Tに切り替えたままから電源をONすると、いきなり送信になりますし、アンテナを接続しないと無負荷でファイナルトランジスタを破壊する可能性があります。
 昔話ですが、ラグチューでPTTを押すのが面倒・・・とTに切り替えて送信、そのまま寝た局がいましたHi。
 さて、初期状態でパワーが7W出ていました。調整することで、12Wまで出力がアップしました。
 調整はファイナルユニットを含むヒートシンクのネジを外す必要があります。ヒートシンク側にも2か所あります。
 スプリアス特性は良好です。
 F=433.12MHz
 Po=12W
 X:200MHz/div
 Y:10dB/div

その他

 マイクゲインのツマミがあり、スケルチツマミを左に回しきるとCALというスイッチが入り、マイク出力がモニタ出来ます。
 FM機でマイクゲインを頻繁に調整することはないので、モービル機同様にリグ内部で固定しておくべきだったと思います。参考までに、取説では『時計方向に2/3回したところにセットする』と書かれています。