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オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2012.2.15作成

井上 IC-2N

IC-2N
☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

 144MHzハンディのベストセラーです。このサイズで電池6本で動作し、出力1.5W・PLL200チャンネルというスペックは、当時は画期的だったと思います。
 少し前、Wで小型ハンディ機が使われていた写真を見ました。ハムベンションのような催しだったでしょうか。失礼ながら、片手で操作する子供のオモチャみたいなハンディ機は、「こんなものは仲間内の連絡用で、大した機能はない」とタカをくくっていました。当時はPLLではなく、水晶を1チャンネルずつ追加する方式でした。
 本機発売後も魅力を感じませんでしたが、今は外付けブースターで10Wまでパワーアップ出来、常置場所でも移動でも使えるので、QRP機としても魅力を感じています。
 サムホイールスイッチで周波数を10KHz単位で切り替えます。周波数が決まった待ちうけ受信には適当ですが、不特定の相手を探してワッチするには不便です。
前面図 後面図
前面図 後面図
 V/UHF機の周波数拡大が盛んになった初期のリグで、簡単な改造で140-150MHzまで受信出来ます。
 (実態を知らないので噂の範囲ですが)中東へは多数輸出されたとか。周波数は可変する必要はないと思いますが、連絡用にはぴったりです。
 海外仕様のサービスマニュアルを入手しました。144-148MHzまで送受信可能とか、リピータ対応(+-600KHzシフト)、周波数を+5KHzアップさせる等の機能が付いています。
後面スイッチ部 基板上に空いている箇所が多数見受けられますが、これら機能を追加する場合のパーツが入ります。JA仕様の専用基板ではなく共通になっているようで、ケースのスイッチ部も裏は穴が開いています。
 海外へ持っていく時は、改造すれば使えるわけですHi。

発振回路

発振回路を拡大 SGで144.00-145.9MHzまでの信号を数点入力すると、問題なく受信出来ます。発振部は正常に動作していました。発振出力を最大に調整します。
 水晶発振周波数は、水晶横の小さなコイルで調整します。ほぼ無調整で大丈夫の範囲でした。
 海外仕様では、さらに+600KHz送信と-600KHz送信のための発振回路と、送受信周波数を+5KHzするためのVXO回路が追加されます。VXOはコイルで周波数を補正するのですが、合計でコイル6個が追加されます。

受信部

 145.00MHzでPLL出力を最大に調整、その後高周波・中間周波増幅のコイルを調整しました。これもほぼ調整しなくても大丈夫なレベルでした。
 周波数拡大のブームのころは、146MHz以上を中心に調整した人(店)があるかもしれません。私はアマチュアバンド以外を受信するつもりがないので、帯域を狭めても何ら支障ありません。
 中間増幅回路は、回路図ではMP5071というICでした。ブロックダイヤグラムではMC3357、現品もMC3357です。海外のレシーバーの説明に an MP5071 FM receiver IC was used in stead of an MC3357. と記載されており、代替可能なようです。もちろんMC3357のほうが圧倒的にメジャーです。
 受信感度は0.4uV入力S+N/N26dB(スペック1uV入力 S+N/N26dB)でした。

送信部

 パワーは出ていましたが、ハイパワーで1Wちょっと(電源8.4V)とやや少なめでした。
 ドライバとファイナル部のコイル・コンデンサを調整すると、ハイパワーで約3W出てしまいます。ファイナルトランジスタは2SC1947(Po=4W)で、放熱さえクリアすれば3Wでも使えますが、リグの消費電流が750mAになります。電池で運用するつもりはありませんが、少しパワーを抑えたほうが賢明です。
 サービスマニュアルではローパワーで調整しながらハイパワーで再調整が必要と書かれています。
 ハイパワーで出力最大にすると3Wを超えますが、スイッチをローパワーに切り替えるとわずか0.3Wです。スペックではハイパワー1.5W/ローパワー0.15Wなので、ローパワーはリーズナブルですが、一方でローパワーで出力最大に調整するとローパワー1W/ハイパワー1.5Wになってしまいます
 動作点の違いと思われますが、最大点が一致しません。
スプリアス特性 ちなみにサービスマニュアルでは「ハイパワーで消費電流が500mA以上になった場合、出力回路のトリマをずらして電流を下げて(パワーを下げて)下さい」と書かれています。出力のマッチングをずらすことが適当なのか?という疑問はあります。
 結局、出力のトリマを調整しローパワー0.5W/ハイパワー1.8W(電源8.4V)にしました。心配していたスプリアスは問題ありませんでした。
  X:100MHz/div、 Y:10dB/div、 F=145.10MHz
 変調はデビエーション計で測定しましたが、5KHz以内で問題ありません。横の他のリグでモニターしても正常です。

その他

基板分解 メンテナンスが容易な設計です。右の写真でお分かりいただけるでしょうか、前面側の基板と後面側の基板を固定するフレームがちょうつがいで固定されて開くようになっています。ネジ2本でとめてあるだけなので、裏面が簡単に確認出来、パーツ交換が楽です。
 (ハンディ機マニアではありませんが、)分解修理の複雑さに閉口するリグが多いなかで、特筆に価します。軍事用に使われたといううわさも、うなずけます。
 下部のバッテリケースは分解して充電電池6本を実装します。専用充電器は底面の端子から充電を行うので分解不要ですが、手持ちがありません。電池を充電して都度実装しても使えますが、そこまでして活用する気持ちがありません。
バッテリケースを改造 バッテリケースの底面に穴を開け、DCジャックを取り付けて配線しました。
 底面にジャックを接続すれば、当然ながら自立しません。シャック内で使うなら、ボリュームやスイッチが見えるように横置きにするので、これで十分です。