レストア
注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2007.1.19作成
2007.10.5修正
2010.10.5追記

井上 IC-250

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

最大23チャンネル実装可能なトランシーバですが、水晶発振ではなくPLLによる周波数制御です。
周波数は24接点のロータリースイッチで切り替えます。当時は50チャンネルのロータリーエンコーダが高価だったと思われます。
エンコーダがない以上、周波数を連続20KHz・40KHzのステップで切り替え出来ません。PLLの分周比設定をダイオードマトリックスで構成しています。
上面図 下面図

発振部

当時、FMは144MHz台が使えなくなる時期でした。1973年1月1日から使用区分が変更になり、145.00-145.60MHzでナローFM、145.60-14.825MHzでナロー・ワイドFMという区分が定められたのです。
このリグも原則として145MHz台の周波数設定になっており、5チャンネルのみ144・145MHz台いずれも設定可になっています。
まず、実装周波数を増やします。145.00-145.44までが40KHzステップ、145.50〜145.60KHzが20KHzステップで実装されています。後者の6チャンネルはモービル専用としてJARLが設定した周波数です。
右写真が、ダイオードマトリックスです。144.80-144.96MHzまで40KHzステップでチャンネルを追加し、23チャンネルにしました。
さて、現在のチャンネル区分は20KHzですから、当然物足りません。PLLそのものは20KHzステップで設定可能なのです。
何か良い方法は・・・・と考えついたのが、スイッチ1個を追加して各設定周波数を+20KHzする方法です。
電源スイッチとHIGH/LOWパワー切り替えスイッチがありますが、HIGHパワー固定にし、余ったスイッチ接点を用いて分周比を1つ増加させます。スイッチからダイオードを1本追加するだけです。
通常は「HIGH」で周波数を直読し、+20KHzしたい場合は「LOW」に切り替えます。このスイッチはメインチャンネルでも有効で、145.00MHzが145.02MHzになります。
145.50-145.60MHzはすでに20KHzステップなので、ここは切り替えスイッチが効きません(すでにダイオードが入っている)。
これで23チャンネルだった周波数が、約2倍の42チャンネルになりました。

受信部

入手したものの、受信感度が良くありませんでした。このリグのバンドパスフィルタ(ヘリカルレゾネータ)は調整不可能です。ここが悪ければ、使いものにならないな・・・・と、覚悟を決めて調整しました。
感度調整はコイル4箇所だけです。高周波増幅の入力コイルはほとんど影響しませんでしたが、中間周波の10.7MHzコイル2個、455KHzのコイル1個を回すと、驚くほど入力信号のレベルが上昇しSメータが振れます。何とS1以下だった信号がS9を越えたことになります。調整ズレ(経年変化)の問題・・・とは言い難いレベルです。
 
 調整前 調整後 S特性(f=145.20MHz)
最後にSメータですが、10dBuでS9に調整しました。振れすぎですね。

送信部

送信は9W程度出ます。周波数による変化はほとんどありません。
電力増幅とドライバのトリマ・コイルを調整し、10W出るようになりました。
スペクトルを見ると、145MHzの出力の他に±10.7MHzで-55dB程度のスプリアスが観察されました。送信部は10.7MHzの水晶発振回路に変調をかけ、PLLの134MHzとミックスして145MHzを作り出します。
「ミキサーはバランスドミキサーですから、10.7MHzと133MHzは出力に現れません」と説明書に書いてありますが、わずかながら観察されました。ミキサーIC(TA7045M)の入出力コイルとミキサー出力のバンドパスフィルタ(LCで構成)を調整したら、-60dB以下になり、気にならなくなりました。
写真は調整後のスペクトルです。   X:100MHz/div、Y:10dB/div
送信周波数は約800Hzのズレなので、調整しました。変調は問題なく、そのままでOKでした。

その他

当時の多チャンネルリグとしては、安価でリーズナブルなリグでした。
水晶発振方式は本体価格は安くても、チャンネル追加毎に2K円弱の費用がかかりました。PLL機はSSBも実装された本格的で高価なものだけのようです。23チャンネルという制約はあるものの、ハンダ付けで周波数変更が可能なこのリグを興味深く見ていました。
周波数拡大は、本例のようにすれば容易です。リグに手を加えて遊びたい人向きですね。