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注意!
オークションの無断リンクがあるので、仕様は非公開です。
2009.6.7作成
2010.10.5追記

井上 IC-22

☆周波数・モード非公開
☆定格出力非公開
☆最大周波数偏移非公開
☆送信周波数構成非公開
☆受信周波数構成非公開
☆マイクインピーダンス非公開
☆受信方式非公開
☆受信感度非公開
☆通過帯域幅非公開
☆電源非公開
☆消費電力非公開
☆寸法・重量非公開
☆発売年・定価非公開

リグの説明

IC-20の後継機種で、フロントパネルのデザイン・幅・高さは同じです。しかしチャンネル数は12から22に増え、ケースもシャーシを包み込むタイプからコの字型で上下で挟み込むタイプに変わりました。
回路も受信の中間周波増幅がトランジスタ6本からトランジスタ2本+IC(TA7061AP)1個に、送信の低周波増幅がトランジスタ・FET4本からTA7061AP 1個になりました。何よりも、8ブロックに分かれていた回路が基板2枚にまとめられ、メンテナンスもやりやすくなりました。
上面図 下面図
下面の基板は送受信の水晶とトリマだけで、他の部品は全て上面の基板に乗っています。下面の基板のネジ4本を外すと基板が立つので、裏面からオシロでチェックが可能です。

まずはあれこれ

周波数表示ダイヤルとメータのランプが切れていました。同一規格のランプが無いので、手持ちのワイヤ付きランプを加工して取り付けました。
作業の都合上フロントパネルを外しましたが、ロータリースイッチの取り付けナットが以前 FT-770で困ったミゾのあるタイプでした。今回も先の細いラジオペンチで回しました。元に戻す時、ロータリースイッチの位置に注意して止めないと、チャンネル表示がずれて読みにくくなるので要注意です。
実装されていた水晶は144MHz台が2個だけで、145MHz台が145.00から145.36まで40KHzステップでありました。ここまで揃っているリグを入手できたのはラッキーでした。
ちなみに、購入価格は700円ですHi。
周波数は送受信ともトリマで調整しましたが、送信の水晶が1個劣化して40KHzも低くなったので外しました。

受信部

ナロー化済みでしたが受信感度が悪く、60dBu入力でメータがS9まで振れる程度です。まずコイル類を一通り調整しました。
中間周波増幅部のコイルで若干の改善がありましたが、高周波増幅の入力コイルを回すとS2からS9まで改善されました。しかし、これでも40dBu入力でS5までです。
455KHz増幅のコイルL12のコアを一番抜いた状態でメータの振れが最大になりました。同調点がずれており、無理をしたらコアを破損してしまいましたHi。ジャンクの150MHz業務機の基板からコイルを取り交換、さらに周辺回路のトランジスタ2本とマイラコンデンサ5個を交換しました。数dBの改善がありましたが、コンデンサC40(0.04uF)の容量が1/10に減っていたことが原因のようです。
また、10.7MHz増幅の出力コイルも一番抜いた状態でベストでした。FETの2SK19の劣化かも?と2SK241に交換したら同調点が明確になり、ゲインも少しアップしましたが、まだまだ不十分です。
高周波増幅は手持ちのオシロでは判断できないので後回しにしていましたが、ここかも・・・と調べてみたら、増幅している様子がありません。デバイスは3SK40ですが、手持ちがないので代替えに3SK45に交換してみたら、S5くらいの信号がメータ振り切れ状態に・・・・・。3SK40の劣化が主原因でした。
再度入力コイルと出力のヘリカルキャビティを調整し、十分使えることを確認しました。バイアス変更等、動作条件を調整すれば良いのですが、現状のままでも使えます。
周波数特性 メータ特性
感度は、1uV入力S/N30dB(F=145.00MHz)でした。メータの目盛はS1から9までほぼ等間隔に振られていますが、結果としてS2からS7までは振れやすい特性です。

送信部

送信は初期状態で約7Wでした。ファイナル・ドライバ・発振逓倍段のトリマ・コイルを回し、10Wの出力を得ました。144.48-145.76MHzまでフラットです。
スプリアス特性を右に示します。2倍高調波も-65dB程度で、良好です。
  X:100MHz/div、 Y:10dB/div、 F=145.00MHz
ナロー化は、ジャンパー線のコネクタを隣のピンに動かすだけです。AF出力を抵抗分割で落としているだけでした。
 この時期は、ワイドFMからナローFMで移行しようという流れが明確で、改造は簡単になっています。

その他

ベーク基板が反っています。斜めからなら写真でも分かるでしょう。上の基板は山反り(中央が上に反っている)です。
基板を実測すると150 X 142mmですが、シャーシには四隅のネジ4個の他に出力フィルタ部のシールドケースとファイナルのヒートシンクで固定されています。
このシールドケースがクセモノで、裏面でアンテナのMコネクタで固定され、さらに基板にハンダ付けされています。シールドケースが曲がって取り付けられています。
ハンダの色やコネクタのペイントロック跡から、手直しをした跡はありませんし、コネクタのゆるみもありません。
  上写真:
 上面から見ると、右のシールドケースと左のヒートシンクが曲がっている
  左写真:
 ヒートシンクはMコネクタで固定され、さらに基板裏面と接する箇所がハンダ付けされている

恐らく製造段階でシールドケースが歪むほど基板が変形していた可能性があります。この変形が基板全体まで及んだのではないでしょうか。
メンテナンスは容易ですが、基板中央を固定する手段は必要だったと思います。