2013.5.8

CQ出版社 CQ別冊 ワイヤアンテナ 1993年発行

CQ出版社発行のCQ誌別冊「ワイヤアンテナ」です。B5版288ページで価格が\2,200、1993年3月の別冊です。
移動運用に熱を上げていた時期で、ローバンドのアンテナでワイヤアンテナを色々製作・実験していました。参考になる情報があれば、と購入しました。
「別冊」とは意識せず、「ハンドブックシリーズの一つ」と、たった今まで思い込んでいました。
内容ですが、いきなり第1章「基礎知識」で難しい理論が登場し、面喰います。マックスウェルの電磁波方程式や積分方程式が出てきては、電子工学専攻者でも引いてしまいますHi!
ハムジャーナルの別冊ならこれでも可ですが、CQの別冊なら1章の内容は最終章にしないと売れないと思いますが・・・・。
最初から辛口コメントですが、2-8章はCQ読者向けの実践的内容に戻り好感が持てます。
特に2章の製作技術は基本の内容ですが、アンテナ製作に不可欠なアンテナ線の接続方法・端末処理方法、ガイシ・ステーワイヤの処理方法が写真付きで説明されています。
同軸コネクタの取りつけ手順も、「穴」知識です。この頃でも、同軸コネクタの接続をハムショップに依頼していたハムもいました。
製作実例は過去のCQ誌に掲載された記事の抜粋ですが、シンプルなアンテナを後回しにしてオープンワイヤ給電のマルチバンドアンテナが登場します。
さらに3番目の記事は、ハシゴフィーダ給電のロングワイヤです。
同軸ケーブル給電が大半の時代に、トップ記事としてはミスマッチの感があります。
また、シンプルなアンテナは基本設計法を追記しておくべきと思います。
例えば、7MHzダイポールの記事があります。他の周波数でも応用可能なようにエレメント寸法の計算式を併記しておけば、オールバンドで応用出来ます。もちろん、エレメントの材質・線径・周辺環境の影響で特性は変動するので、数値は参考値であることは言うまでもありません。
ベテランには常識ですが、ビギナーは役に立つでしょう。当時でも、エレメント寸法はどう求めたら良いかを知らない方もいたはずです。
シンプルなダイポールや逆Vくらいは、自作すべきですね。
T2FDが紹介されていました。送信アンテナとしては?と感ずるのですが、受信アンテナ、とりわけBCL用には面白いと思います。
ところで、W3DZZの自作例がありません。W3DZZは3.5-28MHzのWARCバンドを除く5バンドをカバーするマルチバンドダイポールで、自作も可能ですし、メーカー製アンテナの基本にもなっているようです。
またツエッペリン(「ツエップタイプ」というアンテナではありません)やウインドムも類似した例はありますが、オリジナルの解説がありません。
今更ハシゴフィーダだ、単線給電だ、と言っても実用になりませんが、給電部の工夫で同軸ケーブルに接続する方法もあります。過去の参考データとして残して欲しかったと思います。
総合的に見て、製作例は多くても実際に製作するのは情報が不足しています。アンテナ製作を目指す初級者向けの記事が少ないのは残念です。