2013.5.8

CQ出版社 パワーサプライ設計と製作 1984年発行

 CQ出版社発行のダイナミック・ハムシリーズ『パワーサプライ設計と製作』です。B5版198ページで価格が\1,400、1980年初版発行・1984年第4版を入手しました。
 ハムが用いる電源の基本原理と設計・製作例が紹介されています。移動用電源として、電池・バッテリ・発電機も少し紹介されています。
 電源は、現在でもアマチュアが自作可能かつ容易な分野の一つです。スイッチング電源は別ですが、シリーズパス電源なら、回路図通りに正しく配線すれば一応動作します。
 「一応」と書いたのは、リグや付加装置に接続した場合の電圧変動・リップル・出力電流などの要素をあまり気にしなければ動作する、という意味です。送信するとハム音が混入する、電流が取れない、発熱がすごい・・・・というトラブル対策には、ノウハウがあります。
 紹介されている多くの事例は、トランジスタ回路向けの低電圧電源です。廃品種の専用ICを用いた回路が多く、現在ではそのままでは実用になりません。基礎理論をベースにし、現在流通するIC等を利用すべきです。
 基礎理論は、トランスから書かれています。トランスの設計まではやりすぎ(今なら、スイッチング電源で必要かも)ですが、特性の見方は知っておいて損はありません。整流回路・平滑回路は理論的なデータが大半ですが、実際の設計は分かりにくいので、別章の経験値に頼らざるを得ません。
 基礎を学ぶ書籍として、活用を図ります。
 利用する方は少ないでしょうが、真空管回路向けの電源も紹介されています。しかし、定電圧放電管はもう入手不可能です。
興味を感じたのは、巻末の全世界のAC電源一覧です。単相およびニ相・三相の電圧および結線表がまとめられています。30年以上前の資料ですが、データの性格上大きな変化はないはずです。
 ざっと見ると、北米・中南米で60Hzが多いようです。