2013.5.8

CQ出版社 パワーモジュール活用のすべて 1994年発行

CQ出版社発行の別冊CQ 1994年11月号『パワーモジュール活用のすべて』、B5版192ページで価格が\1,900です。
V/UHFトランシーバのファイナル部は、真空管・トランジスタで構成されていました。ところが、1980年ころからパワーモジュールに置き換えられました。入力電力0.2W程度で出力10Wが得られ、周辺パーツも少なくなり、省スペースにもなるのでトランシーバの小型化とともに急速に広まりました。
当初は144/430MHzのFM用が主でしたが、その後50/1200MHzのモジュールや各バンドのオールモード用モジュールも登場しました。
本書には、モジュールの基本情報と応用方法・例を期待して購入しました。ところが、パワーモジュールの基礎が25ページに対し、高周波トランジスタ・FET・リニアIC・抵抗・コンデンサ・リレー・放熱器・工具等の章で76ページ(全ページの4割)もあります。
周辺部品の基礎知識や、製作に必要な知識も必要であることは認めますが、ページ数が多すぎてパワーモジュールの専門書として本質がぶれています。
むしろ、モジュールメーカー発表の動作事例が必要です。特にSSBで用いる場合、バイアス電源端子に電圧を印加し、ファイナルトランジスタにアイドリング電流を流さねばなりませんが、この情報が不明です。
設計に必須なデータは掲載して欲しかったと思います。
144・430MHzの10Wアンプの製作事例はFMモードのみで、SSBがありません。回路やプリント基板をデッドコピーして製作したい・・・という読者もいたと推定しますから、折角ならば事例を示しておけば助かったでしょう。
掲載されているパワーモジュールはすべて生産中止で、新品は入手困難です。当時のリグを修理するにしても、中古・ジャンクから取り外して入手せざるを得ません。
新規製作するアンプには使うべきではありません。
しかし、修理のための動作例は多数欲しいところです。技術書としては突っ込みが弱く、残念です。