2014.11.25

電波実験社 VHF/UHFバンド入門 1990年発行

電波実験社のモービルハム(以下MH誌とします)別冊として発行された「VHF/UHFバンド入門」です。1990年8月発行、B5版182ページで定価\1,600(税込)です。
50・144・430・1200MHzへの「入門」書という目的で編集されており、リグとアンテナの紹介からスタートし、各バンドの話題のまとめ、自作例の紹介があります。自作例は、MH誌の記事を引用しています。
記事が入門書としてはユニークです。入門書と言えば、バンドプラン、コンディション、モードと運用方法などが一般的な記事だと思いますが、以下のような変わったテーマを取り上げています。
50MHz 特殊な無線用語を操るイモオペを見抜く 
144MHz 第4級のままで良いのか?グループのリーダー達
特異な更新形態 MC仲介のQSOを斬る
430MHz  移動通信 その存続と意義
常識のウソ 日本海ルート伝搬
1200MHz マイクロウェーブ ハイパワーアンプの危険性
思い切ったテーマだな・・・と感じていたのですが、はしがきに右のような記述がありました。まずはご一読下さい。
末尾の謝辞は省略しました。
 
いかがでしょうか。編集部の意図が理解できたでしょうか。
発行当時を振り返ると、(HFにも一部当てはまりますが)奇妙な運用が多々存在しました。
●「XXさま」「こちらのコールは」「レポートは5と9」等の言葉
●MC(マスターオブセレモニー、マイクコントロールは誤り)を使わなければ出来ないQSO
●グループ移動で1局のQSOが成立すれば、相互のメンバー全員がQSLを交換
主に144/430MHzで聞かれたQSOですが、HFを主力に置いていた方や、OM達には強い抵抗感がありました。
50MHz以下では全く聞かれない現象でしたし、やっていても「イモ」扱いでしたHi。
なお、50MHzで「イモオペ」を扱っていますが、実際は50MHz以外の問題を記述しています。
MH誌はCQ誌に対し後発で、ビギナー向けの雑誌というイメージがありました。誌名からして、モービル運用のための雑誌で、常置場所からバリバリ運用したりDXが好きな人には遠い存在である、という先入観から抜け切れませんでした。
初心者の誤った運用方法を助長せず、あるべき姿への提言を記載することは、ベテラン読者にも賛同されたでしょう。CQ誌では影響力が強すぎて踏み込めなかったテーマをしっかり書いてあり、称賛に値します。
一読をおすすめしたいところですが、絶版ですから入手はまず無理です。
さて、アンテナや周辺機器の製作記事も掲載されています。MH誌の掲載済み記事の抜粋ですが、初心者向け・ベテラン向けと織り交ぜてバランスが取れています。
17、8年くらい前になりますが、430MHzのK1FOタイプ22エレメント八木を製作した際、資料の一つとして参考にしました。アンテナ製作記事は、まだ利用可能です。