2014.11.19

CQ出版 アンテナ調整ハンドブック 1992年発行

CQ出版社のダイナミック・ハムシリーズ、アンテナ調整ハンドブックです。B5サイズで全166ページ、1992年発行の初版です。
サブタイトル?が「自作測定器で理解するアンテナの動作」となっています。
結論を先に書くと、私にとっては大変興味深い技術書です。
アンテナ調整の測定器と言えば、SWR計が思い浮かぶと思いますが、皆さんお持ちの大半はメーカー製でしょう。
例を参考に、あるいは類似回路をもとに自作をお奨めします。
これらの自作を通じ、アンテナやリグの調整に関する知識を深めることは、無線通信を楽しむ上で役に立つはずです。
HF帯のSWR計の自作は、それほど難しくありません。数値の精度は問題にするほどではなく、反射波が最小になれば十分な機器です。1.5から1.3に下がったから良く飛ぶようになった・・・ということはありませんHi。
 
ダミーロードも自作が容易です。HFなら抵抗を直列・並列接続し、50オームにすれば使えます。しかしVHF/UHFになると、抵抗間の容量の影響でインピーダンスが変化するため、補正が必要です。このノウハウが記載されており、SWR計を持っていれば調整(補正)も可能です。
アンテナインピーダンスメータ、電界強度計、ディップメータ、アンテナカップラ等の自作方法も紹介されています。これら一部は市販されていますし、必要な方のみ自作されたら十分です。 
これは・・・と気づいたのは、50オーム−75オームのインピーダンス変換トランスです。
給電点インピーダンス75オームのダイポールアンテナに50オームのバランを接続し、50オームの同軸ケーブルで50オームのリグに接続、という使い方をしている方が大半でしょう。給電点とバランの不整合を緩和するため、間に変換トランスを挿入すればマッチングが取れます。
アンテナのインピーダンスは張り方や周囲環境の影響で変化し、実際は良い方向に整合されることがあります。あるいは理論値のSWR1.5でも損失が小さいので、ほとんど話題に上らないのですが、より良く整合を取るに越したことはありません。
トラップ入りのマルチバンドダイポールでSWRの最小値が下がらない・・・と困るのであれば、このようなインピーダンス補正トランスが有効ではないかと思います。