2015.5.1作成

トリオIFT T-28

トリオ(現ケンウッド)製の中間周波トランス(IFT)の第3弾です。これも全て455KHzの製品ですが、他のIFTと異なる特徴があるので、別ページにしました。

T-28は中間周波増幅1段用で2本1組です。外観寸法はT-11と同じ36X36X80mm(シールド部のみ)です。
1段目のT-28Aは接続端子が8本もあります。また、2段目のT-28Bの調整ネジが下側しかありません。
シールドケースを外すと、明らかに巻線の形状が異なっており、上側の巻線がありません。T-28Bのダストコアが1個しかないのもうなずけます。
データシートを入手しました。
このIFTは、帯域幅(-3dB)を3段階(+-3KHz、+-7KHz、+-15KHz)に切り替え出来ます。
T-28Aの出力側コイルのインダクタンスをスイッチで切り替えて増やし、Qを落としているのです。
(左回路例T-28Aの1・2・3)
データシートでは、帯域が広い場合は双峰特性を示します。
珍しい方法ですが、スイッチ間の配線が長いと配線容量で最小帯域幅が確保出来るのか?という疑問が湧きます。

左上がT-28Aですが、通常の1次・2次巻線のそばに追加された線があります。これらが2次側に追加されるわけです。
また、右上のT-28Bの出力コイルに250Kオームの抵抗が並列接続されています。回路図のコンデンサが置き換わっていますが、Qダンプでしょう。T-28Aよりも狭帯域にならないための対策です。
隣接周波数からの混信を受けにくい通信は狭帯域を、音楽を音質良く楽しみたい場合は広帯域を選択する方式としては、これも一案です。
但し、スカート特性が悪いのは妥協しなければいけません。