愚行連鎖 いにしえの名器発見

GB楽器博物館

Terryさんの愛器

YAMAHA FG-280
この楽器が置かれた当時を偲んで、某キャンパスの由緒ある建物で撮影を行いました。
カレッジ・フォークの華であったFGがひっそりとしたキャンパスに佇む…絵になります。

YAMAHA FG-280 涙無くしては語れない。
けど、当時はみんなこんなだったね。
そんなあなたの物語…

なぁみだ!涙の物語…

今を去ること31年前(1972年)、私が大学一年の時にお茶の水・黒沢楽器(たぶん)で買い求めたものです。当時贅沢をいっさいせず、30円の学食カレーを食べてお金を貯めて、手持ちのお金全額つぎ込んで買ったものです。
フォーク系の音楽サークルに入っていたので、当時はガンガン弾いていました。


もしかして、舞台にみんなで並んでシングアウトなんてやった?
私は部外者だったけど、私の通った大学のフォー研はシングアウト専門だった。

ケースも当時のままのエッジにモールが入った純正品。

YAMAHA FG-280 オールドYAMAHAのアイデンティティである○に音叉マークのヘッドストック。
初代FGはこれとは逆の先端が広がったヘッドで、“YAMAHA”の縦長文字ロゴだったはずなので、本器は第二世代か?

当時薩摩から上京し、男おいどん、Terry少年は大四畳半下宿で縞パンツとサルマタケに囲まれ、明日の希望を胸に抱きながら一升瓶を抱えて微睡んでいたのだろうか…
なんか、シチュエーションを想像してしまった。

いやいや、同じ四畳半下宿でもさすがに「おいどん」とは違いましたよ。
それに私が抱えていたのは、なななんと、養命酒!

なんか、それもかなり哀愁を誘うね…


YAMAHA FG-280 ヘッド裏に貼られた赤いダイモ・テープの白い文字が、この楽器を大切にしていたTerry少年の気持ちを当時のままに伝えている。
(名字の部分はマスクしました)

チューナーはYAMAHAマーク入のロトマチック・タイプ。
これまた、オリジナルのままなのが貴重である。
この楽器も、全合板のモデルながら、当時のYAMAHA独特の、材質からは想像できないパワーのある鳴りを見せてくれる。

YAMAHA FG-280 独特な形状の頑丈そうなブリッジとプレーンでシンプルなブリッジピン。
ピックガードは、ウチのFG-250とは異なり、かなり赤みが強い地味目な鼈甲柄。



YAMAHA FG-280 YAMAHA FGシリーズは、
オリジナルFG(通称“赤ラベル”:1966.10.〜'72.5.)
と呼ばれるモデルから始まり
ハンドメイドの革ラベル(1971.6.〜)
第二期の緑ラベル(1972.6.〜)
黒ラベル(1974.7.〜)

その後の

オレンジラベル(1975.11.〜)
ベージュラベル(1980.12.〜)
アイボリーラベル(1986.3.〜)

と言う歴史をもち、現在に至っている。

と言う私の資料に寄れば、緑ラベル(第2期)の筈なのだが…
どう見てもこのラベル色は緑には見えないよねぇ???

これが、もしや…色褪せてはいるが、あの伝説の“赤ラベル”なのだろうか?

“赤ラベル”のFG-280は1971年12月に発売され、半年余りでカタログから姿を消してしまった短命のモデルであった。
1972年5月にFGシリーズは全モデルが一旦生産中止、廃番となり、第二世代の通称“緑ラベル”にモデルチェンジが成される。
この第二世代“緑ラベル”の特徴として「先細りヘッド」「ロトマチック・ペグ」が挙げられる。
Terry少年のYAMAHAはまさしく、この“緑ラベル”なのである。
YAMAHAの型番管理は極めて緻密…と言うことになっているのだが、このFG-280だけは例外で、“赤ラベル”、“緑ラベル”二つの時期に跨って同一型番が存在したのであった。

資料:ACOUSTIC GUITER BOOK /シンコー・ミュージック


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