愚行連鎖 お便りありがとう!:4

GB楽器博物館

愛知県岡崎市の“GUITAR SHOP COOL”ナカガワカズミ さんから
凄い情報を頂きました!

”ナカガワ さんはかつてS.Yairiにいらした方だそうです。


はじめまして!

ネットを散歩していたら、「S.YAIRI」の文字が目に止まったので覗かせて頂きました。
私は、愛知県でギターショップを営んでいる者ですが、1976年から5年ほどS.Yairiで働いておりましたので、みなさまの疑問に少しはお答えできるのではないかと思い、メールさせて頂きました。
ただ、私が在籍していた期間以外の事については、確信がありませんのであしからず。
S.Yairiの正式な会社名は矢入楽器製造(株)と言い、工場は岐阜県川辺町下川辺(美濃太田市のお隣の町)にありました。以下、HP上の話題について箇条書きにまとめておきます。

  1. S.YairiとK.Yairiの事

    S.Yairiは、貞夫さん、K.Yairiは、一男さんがそれぞれ社長の会社です。どなたが、書いておられた様にお二人はご兄弟で、元々は、名古屋市の大曽根で
    ご一緒にお仕事をされて居たようです。
    中川さんから本件の内容について訂正のメールを頂いています。2000.8.26.
    S.Yairiの社風は、一言で言えば保守的で職人気質と言うことでしょうか。あくまでも、マーチンのサウンドを追求し、良い物を作る事が第一で、営業には疎い所があったと思います。
    一方、K.yairiは、革新的で、アバンギャルドなイメージがあります。若い人を積極的に採用し、そのアイデアを採用しました。ボールマンドリンのスタイル取り入れたラウンドバックのギターや、桶ギター、サイドとバックが女性の背中からヒップのラインを模したギター(ご丁寧にヒップの部分にはちゃんと下着を履かしていた)など、色々あります。その点、S.Yairiのギターは、マーチンスタイルのオーソドックスな物ばかりでした。
    たぶん、別々にギターを作るようになった一因として、上記の違いが有ったのではと思います。

  2. 矢入 博さんの事

    博さんは、貞夫さんの息子さんで、私が働いていた当時は、専務でした。当時彼は、ギターの製作には、あまり携わってはいませんでした。

  3. S.Yairiで作られた他のブランドギターの事

    77年か78年だと思いますが、当時のS.Yairiの輸出販売元のエイコウ社(漢字は忘れました)からの話で、ローデンを半年位作りました。その後、S.Yairi500シリーズとして、ほとんど同じ仕様で、発売されました。
    モーリスのW-80,90,100,120,150も作りました。全国的にフォークギターの販売が延び悩みをみせ、S.Yairiも生産本数が激減(この頃から、残業がなくなりました)しました。工場を稼働するための苦肉の策として、モーリスの生産が行われました。なぜ、モーリスかと言えば、当時のS.Yairiの国内総販売元がモリダイラ楽器だったからです。
    最後に、アメリカのBOZOも作りました。BOZOは、ベルスタイルのボディと大きなヘッド、派手なバインディングのギターで6弦と12弦がありました。(BOZOについては、TOM WHEELER著THE GUITAR BOOKに紹介されています)

  4. ネックの永久保証の事

    S.Yairiのギターのネックは、ノンアジャスタブルと思われている方がほとんどと思いますが、少なくとも、私が居た76年以降は、アジャスタブルロッドが採用されていました。実は、1フレットの下に調整用のナット部分があるのです。ですから、ネック調整の時は1フレット部分の指板を割って調整し、また、同じ材料で埋めると言う作業が必要になります。そのような作業は、ユーザーや楽器店では出来ない為に、永久保証となっていました。これは、前にも書きましたが、あくまでマーチンを意識していた為、ヘッドにアジャストカバーを付けたくなかった事と、アジャスタブルロッドを充分に機能させるためには、調整用のナット部分をヘッド側にしたいと言う考えを両立させる結果だと思います。80年頃以降のモデルは、サウンドホール側に調整ナットがあります。
以上、だらだらと書いてしまいましたが、参考になりますでしょうか。
私でわかる事でしたら、いくらでもお答えいたしますので、何かありましたらご遠慮なくどうぞ。

それでは、さよなら。

また機会があれば、工場の様子や特注品の事、シリアルナンバーの事など、お話しし たいと思います。

GUITAR SHOP COOL
ナカガワ さんのお店“GUITAR SHOP COOL”
愛知県岡崎市日名南町11-16
TEL/FAX 0564-28-9575



…凄いです。
現場にいらした方の間違いのない情報で、幾つかの疑問が氷解しました。

新生S.Yairiで話題になっていた
矢入 博さんの事」…

それから驚くべき事実、
ローデンを半年位作りました。
その後、S.Yairi500シリーズとして、ほとんど同じ仕様で、発売されました。
本家ローデンのOEMが先で、その後私も所有する504等が作られたと…

更に…
モーリスのW-80,90,100,120,150も作りました。
アメリカのBOZOも作りました。

数々のOEMを行っていたこと…

そして、極め付きは、
ネックの永久保証の事
S.Yairiの“永久保証”ネックにはこんな秘密があったとは…

S Yairi Neck

S.Yairiのネック永久保証のアジャスタブルロッドの所ですが、文章では解り難いかと思いましたので、写真をお送りいたします。
写真のギターは、YD-304です。

これはまた、凄い資料を送っていただきました。
ギターのこういう姿って、まず見る機会はありません。

確かにこれではクラフトマン以外には調整にしようがありませんよね。

ナカガワさんのお店は愛知県なんですね。
ちょっと遠い…
愛知近県・中部地方の方でナカガワさんのお店へ行ったよと言う方は、是非
お手紙ください。



中川さんから前掲の内容について訂正のメールを頂きました。
お忙しい中、ありがとうございました。

以前にお送りしたメールの記載に誤りがありましたので、訂正をお願いしたいのですが、
「S.YAIRIとK.YAIRIの事」のなかで、<S.YAIRIとK.YAIRIが元は一緒だった>と書きましたが、これは、事実ではありませんでした。
最初から最後までKとSは別々の会社でした。

これは、先輩の確認がとれて間違い在りません。推測やうわさ話で、間違った情報を送ってしまい申し訳なく思っています。

とんでもありません。このページがきっかけで、全国のギターファンの輪が出来つつあり、本当に嬉しく思います。
今後ともギターファンのご意見番・相談役としてよろしくお願いいたします。


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