愚行連鎖 カポタスト

GB楽器博物館

カポタスト



カポタストロと言う人もいるようだ

私ははっきり言って、不精者。
着脱が面倒なので、基本的にはあまりカポを使わないのだが、そこはそれ、生来の小物好き故…
変わった形のものを見つけるとつい買ってしまう。
(収集癖とはげに困ったものよのぉ)
まぁ、これは実用品だし、場所を取る物でも無いし、そんなに高価でも無いし…
と、自己弁護するのであった。
(ココにある物を一遍に買ったら初級ギターが買えてしまう金額であることには気付かない振り)


カポタストについて

カポダスト(Kapodasuto)と発音・表記する方が多い。
実は、ギターのネック部分に装着してキーを簡単に変える事ができるこの道具、正式名称はカポタスト(Capotasto)なのである。

しかしながら、英語圏では誰もそんな長ったらしい呼び方はしてない様だ。
どこ見ても表記は“CAPO”。

別にネックに「カポ」っと填めて使うから…ではない…多分、恐らく…

どうもカポはイタリア語らしい。カポの後のタストも当然、イタリア語。
フォルクローレやフラメンコではセヒージャ(Cejilla)って言うらしいが…
(それは何語だぁ?)

■カポタスト[capotasto:伊]
ギターのネックに取り付け、全ての弦を同じフレットで同時に押さえつけて固定する移調器具。略して「カポ」とも呼ばれる。

 イタリア語で「フレットのかしら」の意味があるとか。
  (イタリア語で頭は「testa」というらしい)
※某所で質問があったので追記(2006.11.24.)


3rd.hand

Third Hand Capo

これは新顔。中川イサト氏等も良く使っているようだ。
なんと各弦毎にOn/Offが出来るのでレギュラーのままでも変則チューニングに持ち込めると言う優れもの…
…と、言う触れ込みなのだが、結構調整が厄介だし、単純にOn/Off出来るだけなので、レギュラーチューニングではその真価を発揮出来るとは言えない。
はっきり言って普通のオープンチューニングなら、その場でペグを廻した方が早いかも知れない。
これを、強力に使いこなすには、特殊チューニングとカポポジションを徹底的に頭に入れ、又はレギュラーチューニングなら開放弦の読み替えでフィンガリングを瞬時に変更出来る様にならないとね…。
ちなみにパッケージには使用例とtabが多数記載されている。(なんとこのカポを複数使う方法なども載っている)

Kyser Quick-Change Capos

Kyser Quick-Change Capos

お馴染み…というか、現在シャブカポと双璧をなす製品。
(そう言えば、シャブ、持ってないなぁ)
やっぱり、売れている物はどこか違うんだなぁ。なんと言っても使いやすい事は疑いようが無い。
レバーが長いので力のない女性等にもお薦め。
他に、金、銀、クラシック用のフラットタイプやマンドリンやバンジョー用の小型、更には6弦だけ押さえないDrop-Dや弦3本だけ押さえて変則チューニングが出来るShort-cut等と言う物などもある。
Short-cutは使いどころが難しそうだが、Drop-Dは便利そう。店頭で見かけたことはないが輸入されていないのかも知れない。
Kyser PRO/AM CAPO

Kyser PRO/AM CAPO

これはKyser製の別タイプ。
あまりに安かったのと、初めてみたので通りすがりに衝動買いしてしまった。
サイドから挟み込んでネジで締め付けるタイプで、確実にポジションを決定できるが、スプリング・レバー式のオートマチックになれてしまった身には少々面倒くさい。
軽くて小さいのは“買い”ではあるが、値段も安い代わりに見た目もそれなりである。
Quick-Change Caposの1/3、Shubbの1/4以下の価格なのだから、文句を言ってはいけない。
Dunlop

(Dunlop)Bill Russell Elastic Double Heavy Capo

これは、1970年代の始め(…かれこれもう30年程前)に買った物だが、未だにゴムのヘタりもなく、充分現役。
軽いし、ネックに傷を付ける可能性も低いので一番好きなタイプ…だったのだが、レバー式のカポになれてしまうと…やっぱり面倒で、使うことは少なくなってしまった。

Splite

Splite

上のダンロップ製と同時期に買った物だが、金属部分に青錆が出て、ゴムもヘタってしまい既に実用には向かない、コレクションアイテムとなってしまった。
これはシャフトがU字型のデラックスと呼ばれたものだが、当時1本シャフトのスタンダードも販売されていた。(まだ売っているのかな?)

Terry Gould

Terry Gould"C9 Capo"

プラスチックとナイロンテープの極めて軽量な物。
これはちょっと変わったのが欲しくてクラシック用に買った物。
プラスチックのフレーム(指板に当たる部分)には指板アールがついているのだが、ゴム部分が分厚いのでフラット指板にも兼用出来る。
確かに小型軽量なのだが、「ナイロンテープをフレームにくぐらせてプラスチックフレームの溝に押し込んでレバーを倒す」と言う結構使い勝手が良くない設計である。
ナイロンテープもネック太さに合わせて調整しなければならないので違うギターへの使い廻し一寸面倒。

SUM BONG

SUM BONG

余りに廉かったのつい買ってしまった物。
形としてはシャブのコピーであるが、作りはそれなり。でも値段(本物の1/5以下)から言えば充分、かな?
これはフラット指板用に指板アームをまっすぐに伸ばしたら、押さえが甘くなったのでネック押さえの部分にコルクを張って調整した。

Lever capo

Hamilton Quick Action

昔懐かし、レバーカポ。
かつてはカポと言えばこれのことだった。
故クラレンス・ホワイトのステージ写真なんかにも写っている事があるな。
ネジカポ 中学生の頃、これが欲しくて堪らなかったがお金が足りずにレバーの部分がネジになっている廉価版を使っていた事を思い出す。(こんなの→)
たかだか100円か200円しか価格は変わらなかったはずなのだが…
ギター雑誌には「カポを買えない人は鉛筆や割箸を輪ゴムで止めて代用すればいい」なんて記事が載っていた事もある。みんなが貧乏だった、今は昔…

オリジナルはオハイオのハミルトンにあるハミルトン社が1950年代に売り出した物で、正式にはハミルトン・クイック・アクション・カポと言う。何故かハミルトン社はこのカポを特許申請しなかったので、1970年代頃はドイツ製や日本製のコピーが沢山世に出た。現在でもこのタイプはハミルトン以外から売り出されている。
実は、この写真の物はオリジナルのハミルトンで、一寸貴重だったりする。
(1990年代に骨董市の屑商品の中から見つけて200円で買ったのだが…)

Ohashi Banjo

Ohashi Banjo/Mandlin

これはやはり1970年代始め頃、某公会堂の楽屋で撤収後置き忘れられていた物を拾って来た物。
「大橋」と言うメーカー名は聞いた事があるのだが…
ギタースタンドや譜面台などのあの「オオハシ産業」なのだろうか。現在は「大橋」と言うブランドのこのタイプのカポを店頭で目にすることはどない。(カタログに載っている物は時々見るが、「オオハシ」ブランドだったかどうかは記憶にない)

シャブタイプではあるがワンタッチ式ではなく、裏のネジで締めてゆくもの。
作りも仕上げもしっかりしていてメーカーのプライドが感じられる製品である。

Dunlop TRIGGER CAPO

Dunlop TRIGGER CAPO

ちょっとデザインが気になったので入手してしまった。
作りはしっかりしており、仕上げも綺麗である。
かなり格好がよいと思う。
しかし、レバーの長さの割にスプリングが強く、かなりの力がいる。
使い勝手は、慣れると非常に良いが、非力な人や女性には少々扱いづらいのではないだろうか?


Pro-Selection GP004
Pro-Selection GP004

パチモン大王の面目躍如!
見つけてしまった。Dunlop TRIGGER CAPOの大パチモン!
なんと、売価500円!
もちろん、即座に購入したことは言うまでもない。
メーカー名も何も書かれていないが、材質はアルミと思われ、本物より数段軽い。
サイドのネジは何の説明もないが、恐らく、必要ぎりぎりまで口を開いて固定しておく物と思われる。このタイプではバネが強いと腕力のない人には扱いにくいと言う配慮からだろう…

が、そんな心配はご無用。何せスプリングが弱く、取り付けにそんな馬鹿力は必要としないばかりか、弱すぎて弦を固定する力もないのだから…
(角度や挟み位置を調整すれば、使えなくはないのだが、はっきり言って、カポとしては失格である)
わっはっは!これが何千円もしたら、怒るぞ、ワシは…
この独特のデザインを臆面もなくここまでパクるとは、称賛に値する良い度胸である。
見た目は凄く綺麗で良いんだけどね…って、何の意味がある!


PICK BOY Clicker Capo
PICK BOY Clicker Capo

これまた、形が変わっているので衝動買い。
シャブと同様にネック側の顎・下が開くのだが、指板側に上にレバーがあり、この上レバーを開いて装着し、レバーを閉じて固定する。
弦押さえが細いので、カポをすることによって起る音程のシャープが小さく、形もなかなかスマート、作りも綺麗で、操作はワンタッチ…
と、良いことずくめに見えるが、レバーの押さえ具合の力加減が分かりづらく、何となく指板やネックに傷が付きそうな気がして少々恐ろしい。
…と、最初は感じたのだが、緩衝材がしっかりしているので傷付きの心配は杞憂のようだ。使ってみるとコレはかなり良いかも知れない。
但し、使うたびにレバー根元の摺動部が削れて塗装が剥げてきた。耐久性はどうなんだろうか?
写真では「おっかなびっくり」レバーを少し起こしたままになっているが、完全に倒して固定するのが正しい使い方。

DADI Professional CAPO

DADI Professional CAPO

ワゴンセールの籠の中に沢山入っていて、恐ろしく安かったので、つい買ってしまった…
デザインはDunlopから出ている物:Toggle Caposのデッドコピーだと思われるが、お値段は1/3。作りもそれなり。
構造は、上で紹介した、Terry Gould"C9 Capo"と同じで、ナイロンテープをネックに回し、端に付いたレバーを本体の溝に引っかけて止めるタイプ。
装着前のテープ長の調整が面倒。操作性も余り良くない。
軽くて小さい、そして、とにかく廉いというのが買いか?
SHUBB C1 for Steel string guiter

SHUBB C1

やはり、コレは一応使ってみないと話にならないので購入。
C1はスティール・ストリング・ギター用--金属弦で指板がラウンドしたギター、要するに“フォーク・ギター”に使うタイプである。
プロにも愛用者が多いと言うだけあって作りは丁寧、操作性も良く、固定時の節度感も申し分ない。
写真では楽器を構えたときにネックの上から被せて固定する位置で取付けているが、プロが使っているのを見ると逆にネックの下から噛ませている人が多いようである。
どちらが正しいのかは判らないが、個人的には、下から噛ませると運指の邪魔になりそうな気がしないでもない。
更に立派なDeluxやKyserのShort-cutと同用途のpartial capo、ハイナットのDobro用やバンジョーの5弦カポ(ネックにネジ止めする?)等もラインナップされているが、5弦カポ以外は店頭で見たことはない。こちらも未輸入か?


SHUBB C1 for Steel string guiter ←The SHUBB Delux

本物を見たことはない。
かなり格好良いのだが、高いから輸入しても売れないのだろうか?
詳しくはSHUBBのサイトで。

↑某所で売っているのを見た。
凄く綺麗な作り。でも高い。一寸手が出なかった…


SHUBB S1 Delixe capo for Steel string guiter

SHUBB S1(Deluxe)

結局、気になって買ってしまうのであった…
確かにネック押さえのレバー、顎の形がDeluxe…かも知れない。
ネック押さえレバーを押しつけるネジも、C1(Standardと言うべきか?)の樹脂キャップとは異なりローラー式になっていて、装着時の感触がでらっくす!かも知れない。
先端を細く仕上げた装着レバーは脱着の際に多少は手を掛けやすい…かも知れない。


SHUBB S1 & C1 S1(Deluxe)とC1(Standard)を並べてみた。
ネック押さえレバー裏のガイド溝がローラー式のS1ではローラーに合わせた幅広の溝となっている。
全体の仕上げは…元々SHUBBのカポは仕上げが綺麗である。装着レバーの形状以外、S1(Deluxe)とC1(Standard)の差は殆ど認められない。
確かに格好良いっちゃぁ格好良いかも知れんが…
違いは装着レバーの形状のみ。本質的な差異は全くない。これで売価が2,000円の差…


確かに、装着感はC1よりS1の方が優れているし、節度感も申し分ない。綺麗なデザインの満足感も高い、が…
実用を重視すれば、やはりお奨めはC1(Standard)の方である。


The Wilkerson CAPO

The Wilkerson CAPO

また変った形である。
衝動買いである。

ちゃんとしてるんだか、テキトーなんだか良く分からない。
店の兄ちゃんも良く分かっていなかったようである。
「押さえの部分が真っ直ぐだが、フラット指板専用?」と尋ねたら、「黒い所に弾力があるからラウンド指板でも使えます」だと。
家に帰って説明を読んだら…
説明書のタイトルには大きな字で“WILKERSON GUITER CAPO”と印刷されているのだが、下の方には小さく“USE NUMBER W-73 FOR BANJO”と書いてあるではないか…

確かに一寸弦押さえが短い。まぁ、ギターに使えないこともないが…
“Easy One -Hand Operation”なんだそうである。
弦押さえのスペアが付いていた。

GLIDER CAPO

GLIDER CAPO

探していた物である。
特に必要という物ではないが、コレクターとしては是非一つ欲しかった。
前から店頭で目にしてはいたのだが「この次でいいや」が祟って、入手困難となってしまった。(どうやら製造元が無くなってしまったらしい)
お茶の水ではまだ何軒かがストックしているようではある。(店によってかなり価格が違い、パッケージも異なっている)

メーカーは“THREECC”。“Made In The States”(Nashville)だそうである。
パッケージには“Mega Fast”、“Rolls Over Frets”、“Seamless Key Changes”等の文字が書かれている。
あの、永遠のギター小僧、坂崎幸之助も愛用しているらしい。
要するに、指板側、ネック側ともローラーになっており、演奏中にポジションを移動できるという、一歩間違えると際物なのだが…

SPRITE CP-2000

SPRITE CP-2000

また珍品である。
仕組みとしては“Victor※”に似ているが、これは初めて見た形である。
ネジ式なので装着は面倒だが、ネジ式は手間が掛かる反面、固定がしっかり出来るという利点もある。
このCP-2000はデザインや作りも悪くなく、なかなか良いかも知れない。
デッドストックだったのか、パッケージは埃っぽく、紙も多少黄変していた。



VICTOR
プロなどにも愛用者の多いVictorのカポは、一時入手困難だったが、最近JimDunlopが販売権を得て、我が国への輸入ルートも確立したようで、そのうち出回るだろう。
一応、最初の輸入品を予約したので、入手次第お見せする予定である。

写真はオリジナルのVictor



しかしこのCP-2000。パッケージのPL法絡みの言わずもがなの但し書き…何とかならないのだろうか?
このパッケージには…
以下の注意を無視した取扱をすると障害を負う可能性、または物的損害が発生する可能性が想定されます。
  1. ぶつけたり、人に投げつけたりしないこと
  2. 使用するとき、ネジ等に無理な強い力を加えないこと
そりゃあ、こんなのが飛んできて角が当たりゃあ、痛てぇよな。

PICKERS PAL
PICKERS PAL

これは、John Millerが使っているのを写真で見たことがある。
実に安っぽいのだが、あのJohn Millerご愛用の品物である。
是非ともあのギター・プレイにあやかりたい物だ。

本体は太いワイヤーに保護のための樹脂パイプを被せた物。レバーは安っぽい樹脂製。お値段もお手頃。
カム式のレバーを倒すことによってU型フレームに装着されたゴムバンドに付いたパッドをネック裏に押しつける構造である。


PICKERS PAL ウリはこの部分らしい…

弦押さえゴム断面の各辺で厚みが異なり、指板接触面のアールも変えてある。
ギター指板の形状によってこのゴムの方向を差し替えて使うらしい。
フラット指板から、かなり曲率が大きな指板まで使えるようだ。
装着感は悪くない。作りの安っぽさは別として、この軽さもなかなか良いと思う。

The Pivker's Pal is adjustable to any guiter.
To fit it to your guiter,slide off convertible pressure bar,select the flat or curved side that works best and slide it back into place.

発売元は、お馴染みJim Dunlopである。



VICTOR

VICTOR CAPO Dunlop DCV-50C

お約束のVictorである。
発売元の関係で、暫く入手が困難だった物。
前述のように最近JimDunlopが販売権を得て、我が国への輸入ルートが確立し、手に入りやすくなった。
オリジナルと違って、顎の部分に“DUNLOP”と言う刻印が入っている。
真鍮製の無垢で非常に重量感と質感があり、プロに人気があるというのも頷ける高級感である。
丸いノブを回すと内部のウォーム・ギアが弧を描いた顎を開閉する仕組みで装着は面倒だが、固定が確実である点がプロをして「愛用品」と言わしめる由縁であろう。
確かにこの質感は所有する喜びを感じる物ではあるが、真鍮無垢材であるが故にかなり重い。
重たいカポというのは音質にとっては果たしてどうなのであろうか?



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