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私は貝になりたい

私は貝になりたい

監 督 福澤克雄
脚 本 橋本忍
出 演 中居正広/仲間由紀恵/柴本幸/笑福亭鶴瓶/石坂浩二
音 楽 久石譲
製 作 年 2008

夫婦50割引連休(ったって、土曜日仕事で日月の二連休)最終日、夕刻からカミさんのお付き合いで映画に…

言わずと知れた夫婦50割である。
みたいの幾つかあるね、とカミさん。
んじゃま、映画街へ。
一番先に目に付いた上映館は、次回あと20分程で上映時刻。
チケット売り場の表示を見ると「残席僅か」
「真ん中の真ん中より後ろでないとやなのよね?」
「んにゃ、あ〜たが見たいんだったら、今回は席があればどこでも良いよ」

と言う訳で、今回はこれ。

『私は貝になりたい』(わたしはかいになりたい)は、元陸軍中尉・加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」の遺言部分をもとに、橋本忍の脚本で制作されたテレビドラマおよび映画である。

オリジナルは、東京放送(TBS)の前身、ラジオ東京テレビ(KRT)が1958年に制作したテレビドラマである。1994年には、TBSによるテレビドラマでリメイクされた。映画版は1959年に制作され、2008年にリメイク映画版が公開予定である。映画の配給はいずれも東宝。

2007年には日本テレビで、加藤の手記にスポットを当てたテレビドラマ『真実の手記 BC級戦犯 加藤哲太郎「私は貝になりたい」』が放映された(こちらは、内容としては別物である)。

ストーリー自体は橋本による創作で、架空の物語である。しかし劇中の主人公の遺書が、元陸軍中尉で自らも戦犯として裁判を受けた加藤哲太郎の手記「狂える戦犯死刑囚」の遺言内容と酷似していた。その著者である加藤は脚本を執筆した橋本に対して、自分の原作権を認めるよう求めたが、橋本はこれを拒否した。そこで加藤は、ドラマの映画化(1959年版)が決まった際、配給元の東宝と、自分が原作者としてクレジットされることを条件に契約し、橋本もこれを受諾した。ところがラジオ東京テレビ(現TBSテレビ)がクレジットを改めずにまたドラマを再放送したため、加藤は当時のラジオ東京テレビと橋本を著作権法違反で告訴した。この裁判[2]の結果、加藤の訴えは認められた。そのため現在では題名および遺書の原作者として「加藤哲太郎」の名がクレジットされるようになっている。なお、加藤自身も主人公同様に戦犯として巣鴨プリズンに勾留、死刑判決を受けているが、後に減刑されて釈放されている。
(Wikipediaより)


「せめて生まれ代わることが出来るのなら……
いゝえ、お父さんは生れ代わっても、もう人間になんかなりたくありません。
人間なんて厭だ。牛か馬の方がいゝ。
……いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら……いっそ深い海の底の貝にでも……
そうだ、貝がいゝ
貝だったら、深い海の底の岩にへばりついているから、何の心配もありません。
兵隊にとられることもない。戦争もない。
房江や、健一のことを心配することもない。
どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい……」

私は貝になりたい 所ジョージが主人公を演じたTVのリメイク版(1994)は残念ながら見ていない。
子供の頃に見たTV黎明期のドラマ、フランキー堺の主演作の印象が非常に強い。
で、資料を見ると、これ、オリジナルは1958年の作品なのだ。
新しもの好きだったオヤジだが、当然この年には我が家にはまだTVはなかった。
と、言うよりも私自身がまだ物心付いていないので、オリジナルをリアルタイムで見たのではないと言う事に気付く。

このフランキー堺版は、その後何度も再放送されているので、多分それを見たのだろう。
また、フランキー堺以外の配役を変更した映画版(1959)も存在するので、そちらなのかも知れない。
当時、どんな小さな町にも二番館、三番館と呼ばれる映画館があって、もちろん私の住む町にもあった。
お袋は週替わりの上映に私を連れて通っていたので、映画版である可能性も高い。

私は貝になりたい さて、映画だが…

カミさんは(中居正広のファンである)「TVかDVDまで待っても良かったかな?」だそうで…

私は、話の筋を全部知っているので、特にどこかで強く感動した、と言う物ではないが、「中井君なかなか演るじゃないか」と言う感想である。

ラスト近くの鬼気迫る表情はアイドルの片手間の域を超えているかも知れない。



私は貝になりたい 監督はTV畑の人で、本作が監督第一作目だそうだ。

(多分)普段TVでは、ここまで時間と金を掛けられない分だけ、欲求を一気に噴出したのかも知れない。
映像としてはとても良くできている。
自然の風景などは全て実写だそうである。
絵心のある良い映像だ。
当時の廃墟と化した東京や巣鴨プリズンの映像はCGだろうが、大道具・小道具類の考証と共に違和感で鑑賞を停止させない気配りもある。

映画としては良くできていると思うが…
主演の二人があまりに端正すぎて現実感に乏しい事は否めない。

劇場パンフレットは必ず購入するが、観賞後まで詳しく読まない。
音楽がなかなか素敵で、無音とオーケストラの対比が美しい。
何となく聞き覚えのある和声だと思ったら…久石譲であった。

エンドロール終了間際にミスチルの楽曲が流れる。
最近この手の「副主題歌」の様な型式が多いが…

本作では蛇足が靴を履いている。

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