GBのアームチェアCinema見ist:ヴィクトリア女王 最期の秘密

ヴィクトリア女王 最期の秘密

ヴィクトリア女王 最期の秘密(原題 Victoria & Abdul)

監 督 スティーヴン・フリアーズ
出 演
ジュディ・デンチ/アリ・ファザル/マイケル・ガンボン/エディー・イザード/ティム・ピゴット=スミス/アディール・アクタル
脚 本 リー・ホール
音 楽 トーマス・ニューマン
原 作 シャラバニ・バス『Victoria & Abdul』
製作年 2017
製作国 米・英

日曜日、一寸遅く起き、格好付けてブランチ(お汁粉食ってブランチもあったモンじゃ無いが)を済ませると、カミさん「さ、映画行くよ。予約できない館だから一寸早めね」と。

はいはいお供しますよ、と着いた所はBunkamura。
昔は結構頻繁に彷徨いていたが、最近はとんと(先週も行ったけど)。
かつてはこんなではない、普通の街だったが、昨今の渋谷はなんだか人が多すぎる。

あまり人がごちゃごちゃいない裏通りを経由し、裏からBunkamuraアプローチ。

上映館が少ないからか、ロビーにそれほど人はいないモノの映画はほぼ満席。
取れた席は最前列。
まぁ、ドンパチ動き回る映画ではなさそうなので、良いか。

今年、2019年は英国王室映画イヤーなのだそうな。
“ヴィクトリア女王 最期の秘密”を皮切りに三ヶ月続けて英国王室の映画が公開されるのだとか。

“ヴィクトリア女王 最期の秘密”は1/25に封切られたばかり。
舞台は19世紀後半

2/15公開“女王陛下のお気に入り”
18世紀初頭、フランスとの戦争状態にあるイングランド。虚弱な女王アンの治世。

3/15公開“ふたりの女王 メアリーとエリザベス”
舞台は16世紀のイギリス。、歴史に残るスコットランド女王メアリー・スチュアート・とイングランド女王、エリザベスI世による国取り合戦。

だんだん歴史は遡る。
劇場で“メアリーとエリザベス”予告編が流れたが、これもなかなか面白そうだ。

今回の作品は…

本編冒頭で「'mostly' true events:ほぼ(傍点付き)史実」と言うナレーション(字幕)が流れる。
いや、これをBBCが作ってしまうのだから、やはり大英帝国は凄い。

カミさんのオーダーではあったが、開映までは実は退屈するんじゃないかと思っていた。
実際穏やかな映像と出しゃばらない音楽と美しい風景とヴィクトリア朝の舞台と…
なにより、若い女は出ない。太ったよぼよぼの婆さんのアップが続く。

続くのだが、この婆さんが何ともチャーミングなのである。

宮廷内では身分の低いイスラム教徒の外国人を寵愛する女王への非難が高まる。皇太子エドワードは女王の死後、即刻そのインド人アブドゥルを追放し二人の関係を示すものを総て廃棄した。
帰国後の彼は1909年に亡くなったが、その後、2010年に彼の日記が発見されたことでこの映画の原作が生まれたそうだ。
“総て”焚かれたはずの日記が存在したのは、それがウルドゥー語で書かれており、読める人間がいなかったのが理由だったという。
どこまでが真実かは分からないが、これは「'mostly' true events:ほぼ(傍点付き)史実」なのだろう。

うんにゃ、これは素敵な映画である。

主演のジュディ・デンチは、“Queen Victoria 至上の恋:Mrs. Brown”(監督ジョン・マッデン:1997年)でもヴィクトリア女王を演じているという。(残念!観てない)

確かに本作の監督が『彼女以外は考えられない』と言ったとか言わないとかが納得できる、気品と威厳と存在感と愛らしさを持った女優である。
イギリス元首って、昔からこんなのだろうか?
現ウィンザー朝第4代エリザベス2世(Queen Elizabeth II)のイメージが重なる。

お茶目で我が儘で、しかし人間味溢れる素敵な女性が銀幕の向こうにいた。

我が国の陛下も、この位自由にして頂ければ良いのにと思った次第。



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