GBのアームチェアCinema見ist:土を喰らう十二ヵ月

土を喰らう十二ヵ月

土を喰らう十二ヵ月(The Zen Diary)


監督 中江裕司
脚本 中江裕司
原案 水上勉『土を喰う日々−わが精進十二ヵ月−』『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』
出演 沢田研二/松たか子/尾美としのり/西田尚美/瀧川鯉八/檀ふみ/火野正平/奈良岡朋子
料理 土井善晴
音楽 大友良英
主題歌 沢田研二「いつか君は」
製作 2022


休日朝一番。カミさんに叩き起こされ、邦画初回上映に急ぐ。
孫達とお出かけ、前日まで逡巡していたが、天気予報の酷さと孫娘の体調を鑑み中止、観たかった映画に行くのだと。
まぁ、私も一寸気になっていた作品ではあるのだが。

2022年11月11日公開。
それ、あの何だか分からんけどバケモノアニメ作品と真っ向からぶつかってるじゃないか。
いや、映画館は朝一だというのに凄いことになっている。
凄い人はほぼそのアニメ作品の観客。

もうね、作品の善し悪しではなく、カネとTVの力を存分に使い切った“新海帝國”の物量絨毯爆撃作戦で、多分この時期に封切られた他の作品は全て撃墜されて劇場の隅っこの藻屑と化すのだ。

祝日とは言え早朝開映の客席は3割程の入り。
まぁ、撃沈だよな。

本作の原作、と言うか原案は『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』、『土を喰う日々−わが精進十二ヵ月−』。作家である水上勉によるエッセイ。

ストーリーには見るべきところがない。
そりゃそうだ。元が随筆なのだから。そんな事に期待してはいけない。

映像は結構上質である。
話の内容は…「ないよぅ!」と言ってしまっては酷だが…

飯作ってるか、喰ってるか、寝てるか。
老いた人を見送り、自分も(多分)同じように後に続く。
その食い物も魚さえも出て来ない動物蛋白無しの精進食。
ある意味非常に贅沢な食生活ではあるのだが。

但し、料理映画で良くある“帰りに無性に作中料理が食いたくなる”ような映像ではない。
風景は美しく、確かに山の幸は、白いご飯、特に羽釜のお焦げなどはは頗る旨そうなのであるが…
“アコガレのスローライフ”ではあろうが、私の欲している食い物はもっとギラギラした“体に悪そう”なもの、そして“便利な生活”なんだろうな。
“山で過ごす”なんてぇのは“時々やる”から良いんだよ。

主演のジュリーこと沢田研二は歳を重ねてなかなかの存在感を醸していた。
人のことは言えないが、しかし爺だ。
何となく、知り合いのグンマーの隠居爺ぃを思い浮かべる風貌だが、かのグンマーの隠居爺ぃはもっとスマートで格好いい。
って、ことは…
あの隠居爺ぃも50年前には娘達を沸かせるようないい男だったのか?

時の流れは…いや、なに。その…

撮影協力:白馬村
葬式で村のおばちゃん達が集まるシーンで何となく懐かしさを感じた。
お国言葉なのだが、しかし、一寸違和感。信州でも北の方は一寸言葉の印象が違うのかも知れない。

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