GBのアームチェアCinema見ist:とある飛空士への追憶

とある飛空士への追憶

とある飛空士への追憶

監 督 宍戸淳
出 演 神木隆之介、他
脚 本 奥寺佐渡子
音 楽 浜口史郎
主題歌 新妻聖子「時の翼」
原 作 「とある飛空士への追憶」犬村小六
製作年 2011


キャッチコピーは「そこに自由はあるか。」「わたしを変えた、12000kmの恋」

観てきた。

結論から言うと…
充分に楽しめた。
お話はシンプルだし、アニメーション技術は優れているし…


とある飛空士への追憶 元はラノベと言われる軽小説。
ジュブナイルと呼ばれる物と同系列なのだと思う。

以前、劇場で予告を見て気になったので文庫版を読んだ。
アラを上げ連ねればきりがないが、なかなか良かった。


とある飛空士への追憶 劇場版映画封切りに先駆けて、ラノベ文庫から一般文芸書扱いになった新装版が出た。
かなり推敲が成されたのだろう、元が元なので甘さはあるが均整の取れた作品になっていた。

「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。
次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!?
...圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる! 蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。


小説は、幾分独りよがりにも感じる比喩表現の多用。
世界設定や固有名詞の選択の場当たり的安易さも気になる。

読み進むとウケを狙ったがのごときおちゃらけまで。

売りになるであろう挿絵は…
確かに女の子はそれらしい萌え調だが、この絵描きさん、飛行機の事知らない…と言うよりも機械そのものを描けない人かも知れない。

そもそもかなり荒っぽい。アラ探しをしようと思えば幾らでも指摘出来る。

しかし、物語そのものはまさに王道、超古典的な純愛小説。
そこに飛行機マニアの心をくすぐるなにかがある。
少年少女の純愛ストーリーもなかなか美味しい。

はっきり言ってしまうとね、古今の古典、名作と言われる作品であっても、それらが完璧であるかというと決してそうではないのだ。

こうした少年少女の趣味に寄った作品を、多分一生懸命に書いている作者の熱情は充分に伝わってくる。
と、言うよりも…

いや、細かい事気にしなさんな、これは面白いのだ。

と某所で感想を書いた。

とある飛空士への追憶


とある飛空士への追憶 身分違いの恋と一人の少女を守るための空戦が描かれており、著者によると『ローマの休日』と『天空の城ラピュタ』の切なさと爽やかさを意識しながら執筆されたと言う。

劇場版映画では、流石にきちんと機械が解る人間がデザインをしたのだろう。
荒唐無稽な空中戦艦の造形はともかく、レシプロエンジン飛行機(に見えるが、設定ではモーター駆動で作中では飛空機と呼ばれる)のデザインはなかなか美しい…
とは言え、全て第二次世界大戦中の実在機がモデルであることは見え見えだが…

ヒーローとヒロイン、そして渋い敵役。
更に、もう一人…と言うか一機の主人公、双尾翼引き込み式双フロート付き単発複座偵察機サンタ・クルスの造形はなかなか魅力的だ。
(モーター駆動と言う設定の筈だが、カウリング両脇にスーパーチャージャーのような物が付いているのが気になる…)

(Twitterの書き込みにあったが、あれはオーバーブースターなのだそうな)

とある飛空士への追憶 天つ上軍の先尾翼戦闘機“真電”はちょっと余りにマンマ過ぎる気がしないでもないが、モデルとなった旧帝國海軍の局地戦闘機“震電”よりもごついイメージで敵役としてはその無骨さがなかなか似合ってはいる。

空戦シーン、曲技飛行のシーンは飛行機マニアにとっても文句はない。

エンディング近く、姫君の「この子も一緒に連れて行きたい」のセリフに機械ヲタは涙するのであった。


アニメ・マニアの間では結構評価が厳しいようである。
そうかな?
良いんじゃないか?これ。
『ローマの休日』や『天空の城ラピュタ』だって、そんなに深遠な話しじゃないし。
シンプルなラブストーリーと速度感ある飛行シーンを楽しめば充分じゃないか。

音楽もなかなか良かった。
本作はストーリーも映像の作りも音楽も綺麗にまとまった王道路線だと思う。

だが、主人公にどうにもイカリシンジと綾波レイが重なって、どうなんだろうこういうデザインは…
キャラクターデザインはやはり、あのエヴァンゲリオンの人なのだとか…

と…何故か本作、PG12:12歳未満(小学生以下)の鑑賞には成人保護者の助言や指導が適当。なんだ…
どこが該当するんだろう?
もとが少年少女小説なのに。

ラノベ…ライトノベルは日本のサブカルチャーの中で生まれた小説のカテゴリの一つ。英単語のLightとNovelを組み合わせた和製英語であるが、現在では英語圏などでも日本の小説ジャンルを指す単語として使用されている。略語としてはラノベ、ライノベ。稀にではあるが、軽文学や軽小説と表記される場合もある。

ライトノベルの定義に関しては様々な説があり(後述)、明確にはなっていない。ただし、日経BP社『ライトノベル完全読本』においては「表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向けの小説」とするものがあり、また榎本秋は自身の著書における定義として「中学生〜高校生という主なターゲットにおいて読みやすく書かれた娯楽小説」としている。



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