GBのアームチェアCinema見ist:忍びの国

忍びの国

忍びの国

監督 中村義洋
脚本 和田竜
出演 大野智/石原さとみ/鈴木亮平/知念侑李/マキタスポーツ/平祐奈/満島真之介/でんでん/きたろう/立川談春/國村隼/伊勢谷友介
語り 山崎努
音楽 見優
主題歌 嵐「つなぐ」 原作 和田竜『忍びの国』(新潮文庫刊)
製作年 2017


7月初頭はしご映画2本目

戦国時代に伊賀忍者と織田信長軍との間に起こった天正伊賀の乱を題材にした同名小説を映画化。

原作に関しては…

決して難読文体ではない、逆に軽妙というか些か軽い、時には軽すぎる傾向のある文体ではある。
しかし、読み辛い。
そして、この人の特徴的構成らしいが「状況が変わる毎に史実の説明」が入る。
本作もそうなのだが、これも果たしてどうなのだろう。
内容は史実を下地浮きにしているとは言え、極めて軽い少年少女小説(ラノベってぇヤツだ)、あるいは講談、立川文庫の流れなのだし。
結末は…
悪くない。
と言うよりもなかなか素敵なのだが、このラスト数十頁だけのために400頁近い労働を強いられるのは一寸割に合わない気がする。

悪い、と言っている訳ではない。
美術にしても音楽にしても文学にしても…

これは「良い・悪い」ではなく「好き・嫌い」が全て。
肌に合わなければ、それは仕方がないと言うしかない。
児玉清が薦めても、である。

と日記に書いている。

主演の青年、カミさんが大ファンなので、まぁおつきあいの意味合いも強かったのだが。
はっきり言ってしまおう。

「面白かった」(原作よりずっと)

脚本は原作者だということだが、映画の尺に合わせるためにかなり内容を減量している。
それが説明不足には陥らず、かえって作品そのものをすっきりした物にしている。
つまり、原作では「書きすぎ」なのである。

史実を下敷きにした時代劇…とは言え、本作は真面目に歴史上の事件を語るような代物ではない。
映像表現の方法からしても、従来の見せ方からすれば常識外れに近い形式を取っているし、ネタはその辺りにあるが、単純にアクション悲喜劇としてみるべきだろう。

本作、単純にただ何も考えずに観れば入場料に見合った幸福感は得られる。

多分、重厚な時代劇や社会派の映画好きのには酷評されるだろうし、原作のファンもどう評価するか微妙な所ではある。 そもそもアイドル映画。
アニメーションを観るつもりで観ればシアワセだと思う。
いや、アイドル映画と多寡を括っていたから、意外にも面白かったと感じるのかも知れない。

劇場には勿論アイドル目当ての女性客が多かったが、髪の毛が不自由だったり白くなっちゃったりした(あ、私もか)男性客が決して少なくない数座っていたのも印象的である。
彼らは本作をどうとらえたのであろうか?

一つだけ…
あの「がっずぃ〜ら」の女優さんのタコクチだけは、やっぱり余り好きでない。




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